韓国ミュージカル俳優ミン・ウヒョクにインタビュー!「いつか『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンを演じてみたいです」

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韓国のミュージカル界で、急成長している俳優ミン・ウヒョク。現在34歳の彼は、2015年にミュージカル『僕らのイケメン青果店』の日本公演に出演し、翌年にはコンサートで来日した。野球選手出身の187センチの恵まれた体格と好青年ぶりに、日本の韓国ミュージカルファンの心を掴みじわじわと人気を集めている。

2015年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役以降、『ウィキッド』のフィエロ役、『アイーダ』のラダメス役、2017年秋には、日本版も上演された韓国オリジナルミュージカル『フランケンシュタイン』のスタッフによる最新作『ベン・ハー』のメッサラ役を演じるなど、韓国ミュージカル界における“キャスティング第1位”俳優としてオファー殺到中のウヒョク。2017年12月に1年ぶりとなるコンサートで来日した際に、日本のファンへのメッセージ、2018年の抱負を聞いた。

ミン・ウヒョク インタビュー

――1年ぶりの日本でのコンサートでしたね。韓国での活動だけで大忙しだと思いますが、準備が大変ではありませんでしたか?

去年来日コンサートをして以降、日本のお客さんが、かなり韓国へ僕の舞台を観に来てくださったんです。そんな皆さんにいただいた愛を少しでもお返しできるよう、プレゼントになればいいなと思って準備しました。新しい舞台や韓国でのコンサートの準備もあったりする中、日本でのコンサートは披露する曲の半分近くが初めて挑戦する曲ということもあり、正直大変ではありました(笑)。でも、新たな曲を知る機会にもなって楽しく準備できました。

――日本のファンも増えたということでしたが、この1年は韓国でも次々に大作に出演し、TV番組に出演するなど急激に活躍の場が増えましたね。

少し前だったら、僕を目当てに観に来てくれるというより、観に来たミュージカルに「ミン・ウヒョク、そんな俳優もいたね」というところだったと思うんですけど、2016年に来日コンサートをしたり、「不朽の名曲」に出演したことで、多くの人に僕自身のことを知ってもらえて、僕を観に劇場に来てくださるお客さんも増えました(笑)。今のように多くの皆さんに愛されるなんて、夢見てはいましたが、まさか現実になるとは思いませんでした。簡単に今の状況を得たと思う方もいるでしょうが、実はデビューから15年です。こうなることが夢だったし、そのために努力もしましたが、これまで大勢の皆さんにも助けていただきました。今はただ、感謝の気持ちでいっぱいです。

ミン・ウヒョク インタビュー_2

――変化は急に訪れた感じですよね。ご自身はどう考えていますか?

今の状況は、僕にとってはずっと夢でした。ミュージカル俳優をはじめた頃は、ただ人前で歌うことに満足していたというか・・・。でも続けていくうちに、ただうまく歌と演技を見せるだけの仕事ではなく、演じることは僕自身の人生にも混じり合っていきますし、僕を観た誰かの人生をも変えることができるんだということが分かってきました。今は、舞台に立つ喜びと共に責任感を持って舞台に立っています。

ミン・ウヒョク インタビュー_3

――2018年最初の舞台は、ミュージカル『アンナ・カレーニナ』ですね(取材時は稽古中)。今はどのような準備をされているんですか?

僕は役作りをする際、原作や映画などがあればすべてチェックします。軽く参考にする、方向性を確認するくらいの感覚ですね。そこで大枠を捉えたら、そこからは悩みながら一人で役を作っていきます。今回は、原作本を読んで、映画も観ました。今は台本を離さず持ち歩き、時間があれば研究をしています。共演者とも話しますね。アンナ役の女優さんとすでにたくさん会話をしていますよ(1月10日より、韓国・芸術の殿堂オペラハウスで上演中)。

――アンナと運命的な恋に落ちる青年将校ブロンスキーを演じますが、自分なりに役作りのイメージはできていますか?

アンナとブロンスキーの関係は、いわゆる不倫ですよね。でも、観ている皆さんには「ああ、あのブロンスキーなら愛してしまうよね」って思わせるような演技を見せなくてはならないということです。そう見えなかったら「なんでアンナはあんな男に・・・」って、作品の受け取られ方が変わってしまいますよね(笑)。ですから、アンナが愛するほかない役を作ることを目標に、ワイルドに、とにかく何も考えず一途にアンナだけを想うようなブロンスキーを思い切って表現してみようと思っています。

――日本でも『アンナ・カレーニナ』は舞台化されていますし、世界的に有名な作品ですから、韓国語ではあるものの、日本のお客さんにとって観劇しやすい作品かもしれないですよね。

日本から来た観客の皆さんは、韓国語の台詞が理解できないだろうと思うのに、むしろ韓国人の観客よりも作品の核心を理解してくれていると思うことがあります。すごく驚きましたし、感動しました。今回も日本のファンの方々にたくさん来て欲しいですね。

ミン・ウヒョク インタビュー_4

――この作品の後にも、今年出演される舞台が決まっていると聞いています。すでに様々な役柄を演じて来られましたが、いつかやってみたいミュージカル作品、やってみたい役というのはありますか?

『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンをいつか演じてみたいですね。この役は今の僕には無理ですが、もっと感情が豊かになり、もっと多くの人たちの心を動かせるようになったその時に演じてみたいです。

――観られる日が来るのが楽しみです!ちなみに、ミン・ウヒョクさんにとって目標としているミュージカル俳優さんはいらっしゃいますか?

ヤン・ジュンモさんですね。それこそ『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャンを演じておられます。日本のカンパニーにも出演しましたよね。僕が本当に尊敬している俳優さんです。観客がただの一人だったとしてもきっと全力で臨むであろう、ヤン・ジュンモさんの舞台にかける姿勢がすごく好きなんです。僕のミュージカル俳優人生には、彼の存在がとても大きく影響しています。

ミン・ウヒョク インタビュー_6

――さて、2018年はミン・ウヒョクさんにとって、どんな一年になるでしょうか?

2017年は僕の人生においてとても重要な1年で、すごく幸せでした。2018年も引き続き、これまで以上に舞台の上で歌って演技ができる1年であったらと思っています。

――舞台が中心であることは変わらないんですね。例えば、ドラマや映画に出ることはないんですか?

映画やドラマ出演の話はありますが、僕としては、お客さんから近い場所でコミュニケーションをとっていきたいという思いが強いので、舞台でがんばりたいと思います。その上でチャンスがあれば、映画やドラマにも挑戦してみたい気持ちはあります。

――今年も日本のファンの皆さんは、ミン・ウヒョクさんに会いに劇場へ行くことになりそうですね。最後に、日本のファンに向けてメッセージをお願いします!

僕たち俳優は、一つの台詞でもどうお客様に伝えようかすごく悩み、お客様に奇跡を届けるぐらいの気持ちで日々舞台に立っています。日本は舞台を鑑賞する文化において先進国だと思っています。そんな日本の多くの方々に、機会がありましたらぜひ僕の舞台を観ていただきたいですし、そのために僕もさらに努力したいと思います。これからも多くの興味と応援をいただけたら嬉しいです。

ミン・ウヒョク インタビュー_5

◆ミン・ウヒョク
1983年9月18日生まれ。野球選手から怪我のため芸能界に転身し、2003年、韓国ドラマのOSTで歌手デビュー。アイドルグループのメンバーなどでも活動した後ミュージカル俳優の道へ。初舞台は2013年の『若さの行進』。2015年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役より『ウィキッド』のフィエロ役、『アイーダ』のラダメス役と、次々に大作ミュージカルで好演。さらに韓国の人気音楽番組「不朽の名曲」に出演し、ミュージカル俳優ならではの歌唱に込めた演技表現が高く評価され、バラエティ番組「家事をする男たち」ではイクメンぶりを発揮し演劇界を超えて話題を集めた。2017年秋には、韓国オリジナルミュージカル『フランケンシュタイン』のスタッフによる最新作『ベン・ハー』のメッサラ役を好評のうちに終え、現在は1月10日に開幕した『アンナ・カレーニナ』で、アンナ・カレーニナと運命的な恋に落ちるロシアの青年将校ブロンスキー役にWキャストの一人として出演中。

(撮影/金本美代)

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