2017年2月3日(金)より劇団少年社中 第33回公演『アマテラス』が東京・紀伊國屋ホールにて上演される。様々なファンタジー作品を送り出し好評を得てきた少年社中が新たに挑戦するモチーフは「日本神話」。高度にコンピューターが発達した時代で自堕落に暮らしていた青年が、ひょんなきっかけから「日本神話」の世界にタイムスリップしてしまうという。
その“神無き国の創世神話”を、劇団主宰で脚本・演出を手掛ける毛利亘宏が新たに生み出す。そして、『仮面ライダー電王』の桜井侑斗/仮面ライダーゼロノス役で人気を博し、舞台でも活躍する中村優一がゲストキャストとして、キーパーソンとなる因幡の白ウサギ役を演じる。少年社中『アマテラス』インタビュー第1弾として、毛利と中村に、二人の出会いから「仮面ライダー」トーク、本作へかける思いなど、色々と語ってもらった。
――今回の『アマテラス』は、少年社中の劇団員が初めて全員揃って出演するという集大成的な作品ですね。
毛利:そうですね、何年かぶりにフルメンバーになります。集大成と言いますか、「これが少年社中だ!」というカラーを押し出していけたらと思っています。
――このタイミングで、全員が揃った経緯は?
毛利:実を言うと・・・偶然なんです(笑)。うちの劇団は、それぞれの活動があればそちらを優先してもいいと、自由さがありまして・・・。今回も狙ったわけではないんですよ。ただ、再来年が20周年イヤーなので、それに向けて盛り上げていこうという思いはありますね。
――20周年へ弾みをつけるということですね。
毛利:そうです、さっき偶然って言いましたけど、偶然ではありません(笑)。そこへ向けて勢いをつけていこうという思いですね。
――毛利さんは東映特撮の脚本や、2.5次元ミュージカルの脚本・演出も手がけられていますが、そのことによって少年社中の作品に何か変化はありましたか?
毛利:結果的になんですけど、色々なところで手に入れた技術を家(劇団)に持って帰ってきて「こんなの手に入れてきたよ~」と劇団員と遊ぶようなイメージで、色々な経験を積ませていただいてる感じです。特撮の脚本で経験した「台詞一行一行を粘って作り上げていく」という感覚は、舞台の脚本だけを書いている時には、あまりなかった経験でした。ミュージカル『黒執事』やミュージカル『薄桜鬼』などの2.5次元作品では、少年社中だけやっていたら経験できないことも、たくさんやらせてもらいました。
そういう経験を積ませていただくことで、そのノウハウを転用して、もっと劇団が豊かになるという、とても良いサイクルになっています。
――中村さんは少年社中作品に初出演となりますが、少年社中のお芝居の印象は?
中村:僕は2015年に公開された映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』で井俣太良さんと共演させていただいたんですね。それから、次の『仮面ライダー4号』にも出演させていただいたんですが、その脚本を毛利さんが書かれていたんです。その現場で、毛利さんに初めてお会いして。少年社中さんの公演は、『リチャード三世』を拝見したんですけど、その時すごい衝撃を受けたんですよ・・・!皆さんお芝居が素晴らしくて、簡単な言葉かもしれないですけど、ずっと心の中で「すごい!すごい!すごい!」って呟いてしまうほど、興奮と感動が止まらなくて。それ以来、少年社中さんのファンです!
毛利:ありがとうございます(笑)。
中村:それ以降も『パラノイア★サーカス』、『三人どころじゃない吉三』と、一観客として楽しんでいたんです。だから、こうして出演させていただけることになって、すごく幸せです。ただ、嬉しいという思いと共に、劇団の皆さんの演技を目の当たりにしてきたので一緒の舞台に立つと思うと、とても緊張します。とにかくファンなので、嬉しさが勝りすぎている状況ではあるんですけど(笑)。
――毛利さんは、中村さんにどんな印象を持たれていますか?
毛利:すごく真っ直ぐで、お芝居に対して全力で向かっていくタイプの役者さんだなと思いました。『仮面ライダー4号』に出演されていた時もそうでしたし、舞台を観させていただいた時も真っ直さがいいなと思いましたね。実は、『仮面ライダー4号』の脚本で中村くん演じる桜井侑斗という役を書けたことがすごく嬉しかったんですよ。企画をもらった時に、ガッツポーズしたぐらいです(笑)。
中村:そうだったんですか?!すごく嬉しいです!
毛利:その時の印象がすごく良くて。それで、ぜひ少年社中の舞台に出演して欲しいって思ったんですよ。
――中村さんから見た毛利さんの印象は?
中村:『仮面ライダー4号』の脚本もそうですけど、毛利さんの頭の中は本当にどうなっているんだろう?と思うぐらい、すごい方だと思っています。普通じゃないというか(笑)。ストーリー展開も、一転どころか二転三転もするように、こだわり抜いていると感じていて。少年社中さんの作品を観ていてもそうなんですけど「こんな展開になるの?!」という驚きが毎回、自分の中で生まれるんですよね。それが楽しくて、ハマっていくんです。
毛利:『仮面ライダー4号』のお話もそういうタイプだったね。
中村:東映特撮の作品で、あの展開に持っていくはすごいと思いました。ヒーロー全員が一度は死ぬという点は、絶対に毛利さんじゃないと書けない脚本だなと思いました。
毛利:『仮面ライダー4号』は、企画の段階で「『仮面ライダー3号』という冬映画で、2号ライダーを殺してしまったので、生き返らせないといけないんです」という要望をいただいたんです。その時は「えっ」と思ったんですけど(笑)。でも、物語についてわりと任せていただける部分が多かったので「『仮面ライダー555』とかも使っていいですか?」って提案して。それにOKをいただいたので、『仮面ライダー555』を中心に持ってきつつ、海堂直也(スネークオルフェノク)役の唐橋充くんを出しちゃおうって話になったんですよ。
中村:そうだったんですね!『仮面ライダー555』を観ていたファンの方たちにとっても、唐橋さんが演じる海堂が出てきた時は衝撃的だったでしょうし、僕も観ていたのでとても嬉しかったですね。
毛利:唐橋くんは『仮面ライダー555』の放送の頃からあまり変わっていなかったね(笑)。
――今回の『アマテラス』ですが、あらすじだけでも少年社中らしい作風を感じます。
毛利:自分の中に持っている「少年社中はこういう芝居をやるべきだ!」というイメージのド真ん中を行こうと思っているんですよ。最近、劇団の公演では『リチャード三世』や『三人どころじゃない吉三』のような古典を取り上げていたんですが、オリジナルのファンタジーが、少年社中のメインストリートだなと思っていて。今回も、古事記を取り上げていますが、ストレートに舞台化するわけではないんです。手塚治虫的と言いますか、SFファンタジーのようなね・・・。そういう意味で、ちょっと挑戦をしてみたいと思っている作品です。
中村:なるほど、確かにそうかもしれない・・・。
――中村さんは、因幡の白ウサギというキーパーソンを演じられるんですよね。
毛利:そうですね。西洋、東洋を問わずに、ウサギというのは異世界に誘う役割を持つことが多いのでね。中村くんのこの柔らかい雰囲気でウサギを演じてもらうのが、すごく楽しみなんですよ(笑)。
劇団色を強く出した公演のゲストですが「中村くんなら大丈夫だ、こっちの色に染まってもらおう」という気持ちでいます。
中村:僕も少年社中さんの色と、毛利さんの色に染まりたいです!ぜひ染めてください(笑)。
――若い方は、古事記の内容をこの作品で知る方も多いかもしれません。
中村:僕自身も、最初は馴染みがなくて因幡の白ウサギについて自分でも色々と調べました。ビジュアル撮影の時に衣装を着て「俺、ウサギだ」って実感したり(笑)。
毛利:中村くんに演じてもらう白ウサギは、導き手として観客をを導く存在なんだけど、自分も古事記の世界について何も知らない、みたいな感じでいいかなと思っているんだよ。
中村:は~、なるほど~!
毛利:そう、その「は~」ってリアクションをする、そんな感じ(笑)。「お前は知ってるだろ!」というツッコミを受けるような感じですね。古事記を知らなくても、観客の方が置いてけぼりにならないようにしようと思っています。
中村:分かりました(笑)!
毛利:それから、中村くんと井俣太良と組ませたかったんですよね。
中村:もう、本当に嬉しかったです!
――それでは最後に、舞台を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
中村:僕自身、少年社中さんのファンだったので、今回出演できることが本当に嬉しいです!役者として、100%成長できる機会だと思うので、それをぜひ皆さんに見届けていただきたいです。
毛利:“ザ・少年社中”と言いますか、久しぶりの完全オリジナル作品、劇団員フルメンバー、中村くんをはじめとする豪華なゲストに出演していただく作品になりますので、絶対におもしろい作品に仕上がると思います。ぜひとも、劇場にお越しください。
◆公演情報
少年社中 第33回公演『アマテラス』
2月3日(金)~2月13日(月) 東京・紀伊國屋ホール
【脚本・演出】毛利亘宏
【出演】井俣太良、大竹えり、岩田有民、堀池直毅、加藤良子、廿浦裕介、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、川本裕之
中村優一、三上俊、高崎翔太、田上真里奈、橋本祥平、ザンヨウコ、高木俊、ラブオ