宝塚歌劇団での初演から、再演のたびに観客を魅了し続けるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。エンタステージではキャスト5人のインタビューを敢行!第4弾は、愛の為ならどんな高い障壁も越えんとするロミオ役(Wキャスト)の大野拓朗。開幕を控え、稽古真っ只中の大野から本作の魅力と意気込みを聞いた。
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――『ロミオ&ジュリエット』は、大野さんの一番好きなミュージカルだと聞きました。初めて観劇した時の感想を聞かせてください。
舞台は俳優業を始めてから観るようになったのですが、特にミュージカルは好きで。『ロミオ&ジュリエット』も初演の時に観に行ったんです。そうしたら、全ての楽曲がとにかく素晴らしい。そして、小池(修一郎)先生の演出が衣装やダンスも含めて痺れるほどかっこいい。
日常を忘れるくらい突き刺さる恋模様がフレンチロックのエネルギーに乗って表現されていて「なんだ、このミュージカルは・・・・・・!」って、凄い衝撃を受けたんです。再演も観に行きましたし車の移動とか空き時間はいつも『ロミオ&ジュリエット』の楽曲を聞くようになりました(笑)。
――2012年にミュージカル『エリザベート』にルドルフ役で出演されましたが、小池修一郎さん演出のもと、大野さんにとっては初めてのミュージカルだったんですよね?
『エリザベート』はデビューして2年目に出させていただいたのですが、芝居とは何かが分からない状態で、歌のレッスンも始めて間もない頃だったので、声の出し方ひとつままならなかったと思います。なので、稽古も本番も・・・・・・、大変な日々でした。日々成長だと言い聞かせていましたが、あまりに高い壁でした。
でも、『エリザベート』の公演が終わった時、小池先生が「もしまだ、ミュージカルへの気持ちが残っているなら、地道にレッスンを頑張りなさい」と仰ってくれたんです。なので、折れずに頑張ろうと、それからも歌のレッスンは続けていました。
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――それで今回、念願の『ロミオ&ジュリエット』のロミオ役に抜擢され、出演が決まった時はどのような心境でした?
ロミオ役って年を取ってしまうとできない役だと思っていたので、今回がラストチャンスのつもりでオーディションを受けたんです。なので、ホント・・・、びっくりしましたし、ものすごく嬉しかったです!
「雄大さんのいいところはたくさん盗んでます」
――Wキャストでロミオ役を共にする古川雄大さんとは、『エリザベート』でもトリプルキャストでご一緒されていますよね。大野さんにとって、古川さんはどのような存在なのでしょうか?
もの凄く心強い存在です。僕自身、(古川)雄大さんの大ファンですし、『エリザベート』の時は未熟な僕をいつも支えてくれて。プライベートでも地方公演の時は毎晩一緒にご飯食べたり、休演日は一緒に漫画喫茶に行って漫画読んだり(笑)。尊敬する先輩が座長として引っ張っていただけるというのが頼もしくもあり、とても嬉しいです。
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――2013年の前公演でも古川さんはロミオ役を務めていますが、古川さんのロミオはご覧になりましたか?
観させていただきました。スケジュールが詰まっていて相当ハードな時期だったんですけど、どうしても観たくて、なんとか調整してもらい、雄大さんが出演される公演日に伺うことができて。ジュリエットに優しく寄り添うロミオ演じる雄大さんの姿が素敵でしたね。
――今回、ご自身がロミオ役を演じる上で、古川さんとどのような違いがあるように感じますか?
それが、自分ではわからなくて・・・。これからの課題でもあるのですが、まだ自分の演技に関して客観的な認識を持てていないんです。ただ『エリザベート』出演時に小池先生が「同じ振り付けのダンスを同じように踊っても個性が違うから全く見え方が変わる。だから、同じことしていいんだぞ」と仰っていて。だから雄大さんの良いところは稽古の中でたくさん盗んでます(笑)。
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――現時点で大野さんの考えるロミオの人物像を教えてください。
一目惚れした途端、真っ直ぐに突っ走る若さがある。そして、短い時間のなかで多くの悲しみや喜びを知り、どんどん成長していく。だから、とにかく真っ直ぐで素直な人物だと思うんです。でもそれって、普段の僕と変わらない(笑)。じゃあ、ロミオと僕は同じなのかと考えると、もちろん全く違うわけで。似ているからかとても難しい役です(笑)。
僕は今作に限らず、役作りのために演じる人物の履歴書を作っているんです。どんな学校に行ったのか、親からはどんな教育を受けたのかなど大枠の部分から、お風呂に入ったらどこから洗うんだろう? なんて細かいことまで(笑)。そういう風に人物のことを考えると、仕草とか台詞の言い方が微妙に変わってくるんですよ。ただ、ロミオの履歴書作りは、難しくて・・・。原作のイメージをベースにすると、『ロミオ&ジュリエット』の感じと少しずれてきますし。ただ、ロミオの造形に関してはこれからもっともっと深く掘っていきますので、ぜひご期待ください。
――ヒロイン・ジュリエット役を演じる生田絵梨花さんと、木下晴香さんにはそれぞれどのような印象を抱いていますか?
二人ともジュリエットらしい純白な感じがあるのですが、生田さんは若さいっぱいで無邪気な可愛らしさがあって、木下さんは大人っぽいしっかりした印象があります。木下さんは今回がミュージカル初出演なのにもかかわらず、堂々としていて肝が座ってるんですよ(笑)。
――稽古場はどんな雰囲気ですか?
和気あいあいとしていて、すごく良い雰囲気です。小池先生も真顔で冗談を飛ばしたりして(笑)。
――本作の制作発表時に、小池さんが前公演から少し演出を変えると仰っていましたが、どのように変わっているのでしょうか?
衣装や振り付けは前とガラッと変わりますので、そこはお楽しみいただければと思います。ダンスの感じは少しヒップホップっぽいかもしれません。
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自慢したくなるような存在を目指して
――本作は公演期間も長く、体調管理も大事な仕事のひとつになると思います。健康管理の秘訣などあれば教えてください。
殺菌効果の強いはちみつを朝晩取っています。喉は強い方だと思っているのですが、油断は禁物と言われているので、首回りを温めるなど、常にケアは欠かさないようにしています。
3時間も舞台の上で歌いっぱなしなので、今は、身体を強張らせて体力を浪費しないよう、力の抜き方を勉強しています。
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――2017年も『ロミオ&ジュリエット』から始まって、お忙しい一年になると思います。最後に抱負と本作の意気込みを教えてください。
2017年の抱負は「挑戦」です。昨年一年、色々な役をさせていただいたのですが、精神的にも肉体的にも忙しい一年だったので、目の前の仕事をただただ頑張るだけで精一杯だったんです。なので、様々な角度から役を吟味して、一つひとつの仕事に向き合っていきたいと思います。
また、『ロミオ&ジュリエット』を通して改めて応援してくださるファンの皆さんに、成長した姿をお見せして恩返ししたいですね。「『エリザベート』の頃から応援してるんだ!すごいでしょ」って自慢したくなる存在になれるように頑張ります。そして、僕の役者人生で初めて二枚目の役なので、ロミオの力を借りて、新しい一面をお見せできるよう頑張りたいと思います。
◆ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
2017年1月15日(日)~2月14日(火)東京・TBS赤坂ACTシアター
2017年2月22日(水)~3月5日(日)大阪・梅田芸術劇場 メインホール
(撮影/高橋将志)