『僕等の図書室 特別授業』三上真史×滝口幸広×原田優一インタビュー!「皆さんの期待に応えつつより良いものを」

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2016年12月24日(土)に東京・有楽町朝日ホールにて開幕する『僕等の図書室 特別授業』。“ぼくとしょ”と呼ばれ親しまれる本シリーズは、まるで国語の授業のように展開するリーディング公演として人気を博し、これが4作目の上演となる。約2年ぶりの上演となる今回、“国語の先生”として登場するのは、三上真史、滝口幸広、中村龍介、井深克彦、木ノ本嶺浩、原田優一の6名。

シリーズ初期から作品を支えてきた三上と滝口、そしてこれが初登場となる原田に、“ぼくとしょ”の魅力や本にまつわる話を聞いた。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー

――今日は、僕らの図書室の先生たちにお話を伺います。第一弾の大阪限定上演から、早くも4年くらい経ちましたね。

滝口:もうそんなに経つんですね。

三上:早いなぁ。

滝口:当時は、まだ劇場の客席が埋められなくて。僕と三上くんは、公演が終わったあと一緒にマッサージを受けに行ったんですけど、施術を受けながらずーっと悔しいなって話をしてたんですよ。

三上:その時見つけたマッサージ屋さんがすごく怪しかったんだよな(笑)。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_3

滝口:そうそう(笑)。「マッサージ当てます」って書いてあったんだよね。これは怪しいし、おもしろいから入ってみようって話になって。エレベーターで上がった先にすごく厳重な扉があったんですけど、開けたらそこに招き猫が50匹くらい飾ってあって・・・。

三上:これ、本当なんですよ!大げさじゃなくて。人がいないのに、招き猫が全力で招いてるんです。

滝口:これだけしゃべる二人が、黙って静かにドアを締めたという・・・。しかも、もう一回そこに行こうと思っても見つからないんです。

原田:夢だったんじゃない(笑)?

三上:そんな、ちょっと『不思議の国のアリス』みたいな物語がありました(笑)。

――そんな物語的な出来事が(笑)。ちょっと悔しい思いもあったという初演から、回を重ねるごとに人気公演になってこられたわけですが。

三上:皆さんのおかげですね。

滝口:だんだんと新しい先生も増えてね。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_4

三上:実は第2弾で“まさし問題”が発生したんですよ。新任の大山真志と僕、どっちも“まさし”だからどうしようっていう・・・。僕の初演の演目名が『まさしの「桃太郎」』だったから、僕が「まさし」で真志が「まぁくん」になってたんだけど、ややこしいからって、今回からまさかの「三上」になってしまいました(笑)。

――苗字で呼ばれる先生に(笑)。今回、初参加の原田さんも、苗字表記の先生ですね。

原田:はい、某有名私立高校から赴任した新しい先生です。

滝口:エリート先生が来るぞ!っていう設定ですね。

原田:そんな先生が来てやる演目は38歳の『マッチ売りの少女』なんですが(笑)。

滝口:あれ?今何歳?

原田:34歳。

滝口:えっ、これ実年齢じゃないの?

原田:うん、上に見積もられてるみたい。

三上:・・・ちょっと待って!ボケが複雑過ぎて渋滞してる!!

原田:しかも、皆は「○○の~」って前に名前がついてるのに、僕だけ後ろに付いてるから、最初ミスかなと思った(笑)。

――そんな鮮烈な赴任となるわけですが(笑)。原田さんは、この『僕等の図書室』というシリーズをどう捉えていらっしゃいますか?

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_5

原田:映像で拝見させていただいたんですけど、まずアイデアがおもしろいなと。朗読なんですけど、見せるという点においての構成もしっかりしていて、おしゃれだなと思いました。お客さんを“生徒”として見立てて、劇場全体で一体となるエンターテイメントとしての一つの在り方を提示していますよね。

朗読劇だと、普通の芝居に比べて、個人の人生の情報量が少ないじゃないですか。情報が少ない分、お客さんが持っている情報で消化される部分が多くあると思うんです。「ありがとう」っていう台詞一つでも、本当に感謝だけなのか、ちょっと卑屈な意味がこめられているんじゃないかとかで、話の持って行き方が変わってくるから。

三上:確かに。僕、実はラジオがすごく好きで。舞台で芝居をつけると、すべて視覚的に説明がありますけど、‟声”だけで見せる場合、観る方一人一人に違う絵が浮かぶ。“ぼくとしょ”では、あえてその絵を皆で共有する形で見せている。だから、「授業」っていう言葉がハマるのかもしれない。お客様に頭を使っていただく参加型なので。
僕らこれまでの公演に出ていたキャストも、回を重ねるごとにパワーアップしていて、毎回違うことをできているって実感がありますしね。原田さんが加わって、またどんな変化が生まれるのか楽しみです。

――“ぼくとしょ”はリーディング形式ですが、メインの先生がお一人いらっしゃって、アシスタントの先生が二人ぐらいつかれますよね。いわゆるリーディングとはまた一味違う味わいがあるなと思います。

滝口:「授業」という言葉が、ピタッとハマっている気がしますね。題材も、学校にあまりにもそぐわない作品はやらないし、教育っぽい仕掛けもあるし。今回の題材に共通しているのは“愛”というテーマですが、これまでやってきたものの中には“夢”や“友情”がテーマになっているものもありました。何か学べるという意味で“授業”というコンセプトがぴったりなんじゃないかと思います。

――今回、それぞれがご担当されるお話はすでにご存じでしたか?

原田:『マッチ売りの少女』は、今回の演目の中で一番ご存知の方が多い作品かもしれませんが、実は「最終的にこの子どうなったんだっけ?」という部分まで内容を覚えている方は、もしかしたら少ないんじゃないかなと思ってます。

滝口:僕の担当する『奥の細道』は、国語だけじゃなくて歴史の授業とかで目にする人は多いかもしれないけど・・・。僕自身も、学生時代に読んだ気がするんですが、ほとんど記憶にないかも。前回やった『星の王子さま』も同じような感じだったんですけど、実際に原作を読んだのは演じた後でしたね。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_6

三上:僕は、知っていてもいなくても、原作を先に読んでから臨むタイプなんですが、今回の作品に関しては読まない方がいいのかなって思っています。

滝口:聖書だもんね。

三上:そう!だから、最初に演目聞いた時はほんとに驚いた。でも、クリスマスの時期にやる公演だから、ぴったりなのかも。考えてみたら、皆クリスマスを祝っているけど、実際にクリスマスがどうやってできたのかって、詳しく知らない方も多いんじゃないかなと。難しい物語だとは思いますが、ポップに作るということなので楽しんでもらえれば。

原田:小さい子が“ぼくとしょ”観に来たら、これがマッチ売りの少女だってなるのかなって(笑)。

三上:そうね、マッチ売りの少女って38歳なんだよって思っちゃうかもしれない(笑)。

滝口:確かに、観に来る人全員が物語を知っているとも限らないもんね(笑)。だから、あまり原作ありきの情報でやってしまうと、不親切になってしまう部分もあるのかなと思うので、あくまで誰が観てもおもしろく伝えるということを意識していますね。

――ちなみに、皆さん子どもの頃に読んだ本で記憶に残っているものはありますか?

滝口:僕、偉人の伝記とかも好きだった。だから、自分で言うのもなんだけど偉人に異様に詳しいの(笑)。あとは、「かいけつゾロリ」シリーズとか読んでましたね。

三上:僕も「かいけつゾロリ」読んでた!あと、「ズッコケ三人組」とか好きだったな。

原田:僕は、赤川次郎さんが好きでしたね。

三上:赤川次郎って、ちょっと高度じゃない?

原田:小学校高学年ぐらいで読んでたよ。おもしろかったな。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_7

滝口: そうそう、これはWikipediaにも載ってるんですが、僕、島崎藤村の遠縁にあたるらしいんですよ。島崎藤村って二回結婚していて、一人目の奥さんが僕の遠縁の方で。子どもの頃、原本だったのか分からないんだけど、島崎藤村が実際に書いたものを見せてもらった記憶があるんです。でも、子どもだったから島崎藤村がどんな人か知らなくて。大人になって改めて聞いて、すごい人なんだなと。

三上:へぇ。で、何読みました?

滝口:読んでないです。

三上:・・・嘘でしょ!この話の流れで(笑)。

滝口:あ、「破戒」は読んだよ。

――三人三様の読書歴が明らかに(笑)。今回、本公演のほかにクリスマスの特別公演とカウントダウン公演があるんですよね。

三上:そうなんです。この二日間は、本公演とはちょっと違った感じになると思います。スペシャルコントあり、本編の物語あり、ライブ的な要素もあり、大阪ではカウントダウンもあり・・・。

原田:コントもあるの?

三上:テーマは「職員室」です。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_8

原田:すごい、本気のお笑いライブみたい(笑)。

三上:やることを言われるのが、前日だったりするんですよ。鍛えられますよ~。

滝口:才能を持ってる僕らなので、毎回それに応えちゃうんですよね(ドヤ顔)。

三上:・・・って言ってますけど、全部任せっきりですからね!全部、僕らたっきー以外のメンバーが振ってなんとかなってるんだから!!

滝口:僕は覚えられないから。

一同:(爆笑)!!

――それでは、この公演を楽しみにしている方々にお一人ずつメッセージをお願いします。

滝口:2年ぶりに“ぼくとしょ”が帰ってきます。これまで、たくさんの方が劇場に来てくださって、皆さんが楽しみにしてくれるからこそ、こうやって4作もやることができました。皆さんの期待値に応えつつ、期待しているものよりもっともっといいものをお届けできるように、がんばっていきたいと思います。ぜひ、楽しみにしていてください!

原田:朗読という世界を広げるのは、自分自身であり、お客様自身でもあると思います。私は初参加になりますが、自分の中で世界を広げられた分だけ、お客様の中でも物語が広がるのかなと思います。初参加になりますが、他のキャストの皆さんと交流して、演出家の方と意見を交わし合って、良い特別授業にしたいです。

三上:何より、皆さんの愛によって4作目までつながったことに感謝しています。それに応えられるように、先生同士で作品を磨きあげていきますので、すべて観ていただきたいですし、細かいところまで楽しんでもらえれば幸いです。それから、さっきも話に出ましたが、実際の作品を知らなかったり、結末を忘れてしまったりしていることもあると思うので、そういう点からも楽しんでもらえたらなと思います。

『僕等の図書室 特別授業』インタビュー_2

◆公演情報
『僕等の図書室 特別授業』
【東京公演】12月24日(土)~12月27日(火) 有楽町朝日ホール
【大阪公演】12月31日(土) サンケイホールブリーゼ

【授業内容】
◆三上の『クリスマス物語』
脚本:西森英行
出演:三上真史 ft.木ノ本嶺浩&中村龍介

◆たっきーの『奥のほそ道』
脚本:吉増裕士
出演:滝口幸広 ft.三上真史&木ノ本嶺浩

◆りゅうの『たけくらべ』
脚本:登米裕一
出演:中村龍介 ft.滝口幸広&井深克彦

◆かっちの『不思議の国のアリス』
脚本:ほさかよう
出演:井深克彦 ft.全キャスト

◆みねの『細川忠興とその妻』
脚本:赤澤ムック
出演:木ノ本嶺浩 ft.原田優一&三上真史

◆『マッチ売りの少女』原田
脚本:加藤啓
出演:原田優一 ft.中村龍介&滝口幸広

(撮影/エンタステージ編集部)

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