ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』出演の馬場徹にインタビュー!「Wキャストの相手が矢崎くんで本当に良かった!」

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2010年の初演以降、再演の度に大ヒットを記録し続けるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』。エンタステージではキャスト5人のインタビューを敢行!第二弾はWキャストのひとりとして、ベンヴォ―リオ役を演じる馬場徹。「つかこうへい最後の愛弟子」と称された馬場が本作にかける意気込みとは?

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー

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――本作の製作発表会見を拝見したのですが、改めて潤色・演出の小池修一郎さんの独特な存在感に驚きました。小池さんに対する率直な印象からうかがえますか。

小池先生とお会いしたのは製作発表会見が初めてなのですが、ミニライブ(製作発表会見時に行われた歌唱披露)に向けてテキパキと指示をされているなか、時折、目の奥に光るものがあって「これが小池修一郎先生か~!」とブルっと震えたのを覚えています。稽古に入ったらどれだけ絞られるのか楽しみです(笑)。

――ミニライブでは馬場さんは「世界の王」を歌われていましたが、本作の楽曲についてはどのような感想をお持ちになりましたか?

本当にいい曲ばっかりだなあって思いました。『ロミオ&ジュリエット』で使用される楽曲は「フレンチロック」というジャンルらしいのですが、リズムもメロディーも良い曲ばかりで、自然とノレる感じが歌っていてとても心地良いです。実を言うと、全部の楽曲を歌いたいくらいです(笑)。ミュージカルに参加すると、いつも共演者の歌も全部歌いたくなっちゃうんですけど、今回は特にその想いが強いですね(笑)。

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――『ロミオ&ジュリエット』の楽曲は、2011年に馬場さんがヘルベルト役で出演されたミュージカル『ダンス・オブ・ヴァンパイア』のメロディーに近い雰囲気がありますよね。

たしかにそうですね!あの時も浦井健治さんと山崎育三郎さんが演じていたアルフレートの楽曲が好きで、イベントで個人的に歌わせてもらったりしたんです(笑)。

目次

「歌」には苦手意識がある!?

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー_2

――現在、舞台のジャンルを問わず活躍されていますが、初舞台となったミュージカル『テニスの王子様』では舞台に対して少し後ろ向きな気持ちがあったと聞きました。

そうですね。『テニスの王子様』で初舞台を踏むまでは、演劇のことを全く知らなかったので、間違った先入観だけで捉えていて。演劇には“稽古”というものがあることも知らなかったんですよ(笑)。演劇というものはテレビのリハーサルのようなものを数回繰り返して本番を迎えるのだと思っていて。だから、演劇に出演される方は数回のリハーサルで徹底された完成度にまでもっていける鉄人たちなんだと思っていました(笑)。そんな間違った認識でいたので、『テニスの王子様』の出演が決まった時は本気で狼狽えました。「自分に演劇は無理だ」って(笑)。

でも、実際に舞台に参加してみて、当たり前ですが稽古があることを知り、演劇ってみんなで作っていくものなんだということも分かったんです。それからだんだんと演劇の魅力にはまっていきました。

――特に演劇のどのような点に魅力を感じますか?

そうですね。挙げ出したらキリがないのですが、やっぱり観客の皆様からの反応が早いので作品に対して瞬時に実直な感想を頂けるところですかね。

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー_3

――制作発表時のミニライブではお客様からどのような反応があったように感じましたか?

いやぁ、今回に限っては、緊張していて客席の感触を感じる余裕がありませんでした(笑)。それと、実は製作発表がちょっと苦手で。役として舞台上にいられればいいんですけど、自分として舞台上にいるのは恥ずかしいんです。

――そもそも人前に出るのは苦手な方なんですか?

見られるのは嫌いじゃないと思うんです。小さい頃はサッカーをやっていたのですが、みんなに良いプレイを見せたいと思うことはモチベーションにもなっていたので。ただ、歌に関してはちょっと苦手意識があって。

――え!?そうなんですか?素晴らしい歌声でした。

ありがとうございます(笑)。歌については苦手というよりも、「言葉で伝えなくていいのかな?」って考え過ぎてしまったりするんです。でも、最近になって、言葉では表現できないこともメロディーに乗ることで伝わるんだって分かって。例えば、言葉で「愛してる」と言うのは恥ずかしくてなかなか言えないですけど、メロディーに乗せることで言葉以上の意味や気持ちを伝えることができる。そういう音楽の可能性を掴んでからは歌に対して苦手意識が以前ほどなくなりました。今は音符に対してどれだけ向き合えるのかということに意識しています。

「矢崎くんは役の奥に秘められた陰影が自然と出る俳優さん」(馬場)

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー_4

――原作の『ロミオとジュリエット』は世界中で幾度となく上演されてきたシェイクスピアの恋愛悲劇ですが、馬場さんは本作をどのように捉えていますか?

昔ならではのしきたりがあったりしますが、基本的には人と人の垣根を超えて成長していく人間模様が描かれている戯曲だと考えています。その成長譚が『ロミオとジュリエット』では悲劇として落とし込まれていますが、ほんの少しでもタイミングが違えば喜劇にもなりえる。なので、とても素直に演じたいと考えています。

――関係の垣根を越えるという意味では、ベンヴォ―リオという役はロミオが垣根を超えてしまうきっかけを与えてしまう人物ですよね。

ベンヴォ―リオ以外の役って抱える使命や責任が大きかったりして、そういったしがらみの中での人間性が描かれているのですが、ベンヴォ―リオは唯一と言っていいほど、明るさや気ままさが出せる役なんです。なので、役作りにおいても色々アグレッシブにトライしていきたいと考えています。なんて言ったって、ベンヴォ―リオは最後まで生き残っていますからね(笑)。それだけの陽気さのような必然性が必要ですよね。

――今回のベンヴォ―リオ役は矢崎さんと馬場さんのWキャストですが、お互い外見の印象が違うので、それぞれどのようなベンヴォ―リオになるのかとても興味深いです。

そうですね。Wキャストの相手が矢崎さんで本当に良かったなって思っています。矢崎さんって、僕と違って役の奥に秘められた陰影が自然と出る俳優さんだと思うんです。だから、役の共通認識はお互い持ちながらも全然違うベンヴォ―リオになるんじゃないかなって。…Wキャストってお互い思うことが色々ありそうじゃないですか?(笑)。でも矢崎さんとはタイプが違うので、色々意見交換もしやすいですし。優劣など抜きにして、役の人間性を共有しながらお互いの表現を尊重できそうだなって思っています。

――他出演者にも、ジュリエット役を演じる現役高校生で最年少の木下晴香さんやキャピュレット卿役を演じる名優の岡幸二郎さんなど多彩な俳優陣が揃っていますよね。刺激的な稽古場になるような予感がしています。

僕は岡さんの歌声を間近で見て聞けるのが楽しみでならないです。香寿たつきさんとは『スーザンを探して』というロックミュージカルでご一緒したんですけど、本当に優しい方ですし、シルビア・グラブさんとは食事でご一緒させていただいたのですがとても面白い方で(笑)。バラエティーに富む出演者のみなさんとご一緒できて、本当に稽古場が楽しみです。

芝居だけでなく歌でもしっかりと伝える

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー_5

――本作は公演期間も長く、体調管理も重要な仕事のひとつになると思います。自分の健康を管理する上で馬場さんは何か気をつけていることはありますか?

やはり、取れるときに睡眠をとっておくのと……、僕、結構ビタミン取るんですよ…。あ、すいません、なんかすごい深刻な感じで言ってしまって(笑)。いや、肌にもいいと聞きますし、風邪にも効くそうなので、毎朝ビタミンはしっかり取るようにしています(笑)。

――なるほど(笑)。馬場さんはつかこうへいさんの舞台で鍛えられていたので喉が強そうですよね。

そうですね~、喉は鍛えられましたね。つかさんの舞台に出始めたばかりの頃は、喉を潰してしまうことも幾度となくあったんですけど、なんとか工夫して乗り越えられるようになりました。

――俳優は舞台に臨む上で自分の課題を持っていくと思うのですが、今回はどのような課題を持っていて、結果それはどのような意気込みに繋がっているのか教えてください。

非常に現実的な答えになってしまって申し訳ないのですが、今作の楽曲はキーが高くて、中でもベンヴォ―リオが歌う楽曲は特にキーが高い(笑)。なので、無理をしないでちゃんと声が出るようになるのが課題です。ミュージカルなのでお芝居だけではなく、ちゃんと歌でも伝えるということに重きを置きたいと考えています。お芝居に関しては小池先生の演出に身も心も委ねつつ積極的にベンヴォ―リオという人物について考えて、新しい『ロミオ&ジュリエット』を表現したいです。

――本日はありがとうございました。本番を楽しみにしています!

『ロミオ&ジュリエット』馬場徹インタビュー_6

◆ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』
2017年1月15日(日)~2月14日(火)東京・赤坂ACTシアター
2017年2月22日(水)~3月5日(日)大阪・梅田芸術劇場 メインホール

◆プロフィール
馬場徹(ばば・とおる)
1988年6月17日生まれ。東京都出身。中学生の頃から俳優活動を始め、2006年にミュージカル『テニスの王子様』で舞台デビュー。その後自ら門を叩き、2010年の舞台『飛龍伝2010ラストプリンセス』のオーディションでつかこうへいに見いだされ起用される。その後、舞台を中心に映画、TVでも活躍。舞台の主な出演作には『SAMURAI7』、『タンブリングvol.3』、『ザ・ビューティフル・ゲーム』、『熱海殺人事件 Battle Royal』、『引退屋リリー』等がある。『99.9-刑事専門弁護士』(TBS系)『スニッファー』(NHK)にも出演。

(撮影/高橋将志)

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