2016年9月14日(水)より東京・シアター1010を皮切りに、4都市で上演される『新版 国性爺合戦』。本作は、人形浄瑠璃という伝統芸能に演劇ユニット30-DELUXが独特のアレンジを加え、新しいエンターテイメントとして贈る「Dynamic Arrangement Theater」の第2弾。また、宝塚歌劇団の雪組時代からステージを共にしてきた、緒月遠麻と大湖せしるが久しぶりに共演することにも注目が集まっている。
今回は、久しぶりに対面したという二人に、共演に対する思いや宝塚時代の思い出、今作品に対する意気込みなど、たっぷり話を聞いた。
――まず、今回のご出演が決まった際のお気持ちを教えてください。
緒月:(宝塚を)卒業してから、このような時代物に出演することがなかったので、とても楽しみです。せしるも出るって聞いて、さらに嬉しかったですね。30-DELUXさん(企画・製作)は殺陣がすごいって聞いていたので、そういった演出に間近で触れられるのも楽しみ。今は楽しみなことしかないですね。
大湖:私も宝塚時代には挑戦したことがない時代のお話だったので、楽しみにしています!衣装もすごいんですよ。私の衣装には被り物があるんですが、当時はその被り物を脱ぐ=裸になるくらいの重要なもので、常に身につけていなければならないんです。そういう時代背景を反映した衣装も楽しみですね。
――今、お話にも出ましたが今回は時代物の作品ですね。お二人は、歴史はお好きですか?
緒月:実は、NHKの歴史番組が大好きで・・・毎回録画して観ています(笑)。
でも、観る分には楽しいしすごく興味深いんですけど、自分が演じるとなると難しい部分もありますね。所作の一つ一つに意味があったりするので、その時代特有の繊細な部分がすごく重要になるなと思っています。まずは、そういう部分を研究して大切にしながら、役に挑みたいですね。
大湖:私も衣装面での所作に、特に気を配っていかなければと思っていますね。宝塚時代のお友達に相談したりしつつ・・・。お勉強が必要な部分も多くあると思うので、しっかり時代と役に向き合っていきたいです。
――お二人が演じられるのは、どのような役どころですか?
緒月:私は、主演の佐藤アツヒロさんの「母親」役です。まず、母役を演じるのが初めてなんですよ。でも、『ロミオとジュリエット』の乳母役とか、母的な存在の役が持つ魅力をこれまでも感じてきたので、母性のある役柄を自分はどう表現するのか、「演じている時にどんな感情や表情が出てくるんだろう」って、今から楽しみにしています。
大湖:私は、佐藤さん演じる主人公の「異母姉」役です。宝塚の現役時代もそうだったんですが、お芝居って毎回が違うものになるんですよね。もちろん、同じ「異母姉」という立場を演じるので根本は同じだけど、声のトーンや表情、気持ちだってまったく一緒にはならないと思っているんです。逆に言ったら、一緒のことができたら人間として嘘になっちゃう(笑)。だからこそ、その場の皆さんの空気を感じながら、1回1回を大切にやっていきたいですね。
――雪組時代は男役同士のご共演だったと思いますが、今回は、初めて女役同士でのご共演ですね。そういった意味では何かお気持ちの変化などはあるものなのでしょうか?
大湖:私は宝塚時代に男役から娘役に転向したんですけど、その時は男役としてファンの方がついてくださっていたので、どう受け止められるか不安な気持ちが大きかったんですね。でも、皆さん「せしるさんには変わりない」と言ってくださって・・・。宝塚を卒業してからも、そんなエールをくださった方々に応えられるように、一つ一つの役を精一杯がんばりたいっていつも思っています。
緒月:私はあまり、性別は意識していないんです。男役も女役も、役に入るスタンス自体は同じなので、せしるも普通のいつもの状態でいてくれるんだろうなと思って安心しています(大湖さんに目配せ)。だから、特別な気持ちはあまりないかな。逆に、観てくださる方の方が見慣れなくてドキドキするでしょうね(笑)!
――新たなお二人のご共演、宝塚時代からのファンの方々もとても楽しみでしょうね!
大湖:そうですね~!私の中では、出演が決まった時から、とにかくキタさん(※緒月の愛称)とご一緒できるってことへの喜びが大きかったです。
雪組時代は男役で一緒にやらせていただいていたんですが、私が娘役に変わった時には、キタさんは宙組に行かれていたので。役としての存在の仕方を下級生の頃からずっと見ていて尊敬していますし、共演に憧れていたから一緒のシーンを演じることが今からすごく楽しみです。
緒月:稽古場に同じ劇団出身の方がいると安心しますね。気軽に話せる人が一人いるだけで全然違うし。しかも今回、私は稽古に少し遅れて参加するので・・・。
新しい作品に遅れて入るって不安だけど、せしるがいると思うととっても安心です。
大湖:キタさんが遅れてくるその間、私はすごく不安に駆られてますよ~(笑)!
緒月:あはは!そこは先に入ったせしるが、周りの人との関係を温めておいてくれると(笑)!
――こうやってお話しされている様子からも、お二人の間の信頼関係がひしひし感じられます。雪組時代の思い出エピソードも聞かせていただけますか?
大湖:数え切れないくらい、たくさんありますよ!キタさんとは一緒のシーンがとても多かったんですよね。私もキタさんも、踊りや動きを何度も確認するタイプなので、休憩時間や稽古が終わってからも、よく一緒に確認していましたね。
緒月:せしるはできていても不安になるタイプなので、何回でも付き合ってくれました。そういう仲間がいてくれるって、本当にありがたかったですよ。でも、ダンスが不安な者同士でやってるもんだから、結局同じところで止まったりして(笑)。おもしろかったね~。
大湖:今回もキタさんと一緒に稽古できると安心です。だから、早く稽古場に来てください~(笑)!
――では最後に、公演を楽しみにしている皆さんに一言お願いいたします。
緒月:せしるとの共演はもちろん、こんなにキャストがたくさんいらっしゃる作品に出ることは今までなかったので、そういう意味でも新たな刺激をたくさん受けると思います。観に来てくださる方にも、その熱気のようなものを感じてもらえると嬉しいです。
大湖:私とキタさんの久しぶりの共演を楽しみにしてくださっている方にも、初めて観る方にも楽しんでもらえるよう、がんばりたいと思います。登場人物の人間関係や心の動き、そういう心の奥の深い部分を表現していきたいです。作品の隅々まで、しっかり勉強して挑みます!
◆公演情報
30-DELUX Dynamic Arrangement Theater『新版 国性爺合戦』
【東京公演】9月14日(水)~9月18日(日) シアター1010
【愛知公演】9月24日(土)・9月25日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
【福岡公演】9月30日(金) 福岡市民会館 大ホール
【大阪公演】10月14日(金)~10月16日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【作】西森英行
【演出】伊勢直弘
【出演】佐藤アツヒロ/馬場良馬/緒月遠麻/大湖せしる/
名塚佳織(Wキャスト)・加藤雅美(Wキャスト)
森大/田中精/林明寛/山口大地/武藤晃子/谷口敏也/川口莉奈
湯田昌次/大山将司/金田瀬奈/中村悠希/村瀬文宣/大成翔輝/大塚晋也/安藤佳祐
清水順二/陰山泰