2016年11月に東京と大阪にて上演される『ハンサム落語 第八幕』。『ハンサム落語』とは、通常の落語とは違い二人一組で一つの演目に取り組む人気シリーズである。古典の落語を現代風にアレンジしたこの新型“掛け合い落語”に今回挑む“ハンサム”の中から、米原幸佑と西山丈也にインタビュー!すでに本シリーズへの出演経験を持つ二人が語る、『ハンサム落語』の魅力とは?
――米原さんと西山さんは、今日が初対面なんですよね。
米原:そうなんですよ!
西山:共通の知人はいっぱいいるんですけど、お会いするのは初めてなんです。
米原:同い年なんだよね。西やんって呼んでいい?
西山:じゃあ俺、幸ちゃんって呼ぶわ(笑)。
――お互いの呼び方が決まったところで(笑)、お二人は『ハンサム落語』経験者ですが、『ハンサム落語』にどのようなイメージを持たれていますか?
西山:僕は観客として第六幕を拝見させていただいた上で、前回の第七幕への出演となったのですが、率直に「こういう形もあるんだな」と思いました。これまでずっと出演してきた方々も言っていましたが、落語とはまったく似て非なるもの。改めて自分でやってみて、また別の娯楽だという感触を持ちました。役者が丸裸になるというか、得意不得意、人となりがすぐに分かってしまうんですよね。
米原:僕は、第五幕と第六幕と2回出演させていただいているんですが、すでに作り込まれた世界というイメージがありまして、そこに入っていく怖さが結構ありました。落語は本来一人でやるものなので、一人芝居に近い形じゃないですか。でも『ハンサム落語』はどちらかというと漫才に近い形ですし、人によってやり方も全然違うんです。台本を丸暗記する人もいれば、ポイントだけ押さえてやる人もいる。相性もあるので、組み合わせ次第ではすごく跳ねる回もあるし、まったく噛み合わない回もある(笑)。たくさんペアがありますが、稽古では本番では組まない相手と稽古をするということもあるんですよ。
西山:僕は実際にペアを組む人としか稽古をやらなかったけど、そういうこともあるんだ・・・!
米原:あるある(笑)。稽古は、舞台のお芝居みたいに細かいところまで詰めていく感じではなくて、期間もそんなに長くないから、その場の空気を読まないと成立しないところもあるんですよね。そういう状況から生まれるヒリヒリした感じが、『ハンサム落語』の良さになっているのかなと思います。
西山:確かに、そういう感覚はあるかも。相手のことをよく知っているから「いける!」って思う時と、もうちょっと稽古したかったなとジレンマを感じる時と(笑)。
米原:あるよね~。でも、そういうヒリヒリ感を持ちながら、舞台の上でワッ!と出たものがおもしろかったりするからさ。やってみて、お客さんも出来上がりすぎたものを求めていないようにも感じたんだよね。あまりにもグダグダだと成立しないけど、その場で生まれるペアのノリとか、噛み合わなさから生まれるおもしろさとか、そういうことを楽しんでいる節もあるのかなと。
西山:お客様も『ハンサム落語』の性質を知ってくださっている方が多いので、いい雰囲気を作ってくださるんですよね。もう七幕やってきているから、一つのジャンルのような強味が出てきているのかなと思いますね。
――経験した方ならではの実感ですね。
米原:初めての時はめっちゃ緊張しましたけどね。どうしたらいいか、まったく分からなくて。全然台本通りやらない人もいるし、きっちり台本通りやる人もいるし・・・正解がない戸惑いがたくさん(笑)。
西山:そうだね、いろんな球を投げてくる人がいるからね。僕はそれをできるだけ拾おう、気持ちは負けないようにやろうと、必死に臨んでました(笑)。
――印象に残っているペアの方とかはいらっしゃいますか?
西山:磯貝(龍虎)さんは、とりあえず脱ぐ・・・。
米原:脱ぐ!
西山:あと平野 良さんは、とりあえず女になる・・・。全然そのキャラ、女ちゃうやん!っていうところでも、女になる(笑)。
米原:癖があるよね、ボケの癖が!西やんが例に出したように、意味が分からないボケをしてくる人がいっぱいいる(笑)。それに戸惑いつつ、意味が分からない・・・!って思いながらもとにかく進めていくんです。ある意味やりたい放題な人達もいる(笑)。前回まではそれに食らいつかなきゃっていう使命感がすごく強かったんですけど、今回はいろいろ楽しみたいですね。多少狙いつつも、トリッキーすぎず・・・相手を泳がせながら、うまいことできるような視野の広さを持って挑戦していきたいですね。
――もし米原さんと西山さんがペアになったらどんな回になりそうですか?(※このインタビューは配役発表前に実施)
米原:どんな感じになるんでしょうね~!西やんはまじめそうだから、僕がツッコミかな。
西山:僕も割とツッコミだよ。
米原:僕、揚げ足取るタイプ(笑)。
西山:それタチ悪いやん(笑)!
米原:二人ともトリッキーなボケをするタイプじゃなさそうだから、じわじわくるシュールな感じになりそうだね。
西山:こればっかりは、やってみないと分からないからな~どうなるかな~。
米原:とりあえず、本番中に西やんの眼鏡は割ろうかなと。
西山:なんでや、落語に関係ないやん(笑)!
――もう始まっている感じですね(笑)。本番でも、落語の演目に入る前に枕で会話をするところがありますけど、あの部分は毎回アドリブなんですか?
米原:一応、台本はあるんですけど・・・。
西山:僕は、割とお話の時代背景とかを話すようにしていました。時代を知ってもらった上で、演目を始めたいという思いがあるからなんですが・・・、ペアの相手に「それ、おもんない!」って言われてから始まったりしてました(笑)。あそこは、まだ模索している部分でもあります。
米原:そうやってまじめに時代背景を説明するのはお客さんに対して優しいし、意味が分からない話からお客さんを世界に入れるっていうのもありだろうし、そこも役者の個性が光るところだよね。お客さんの反応も影響してくるし。反応が良かったら、そこの話にいろいろ足してみたりとか・・・。
ほんと、『ハンサム落語』って何が正解か分からない(笑)。観た回によって全然印象が違うだろうから、諸刃の剣じゃないけど、ギャンブルなライブ感があるよね(笑)。
西山:それすごく分かる!本当は、「何が起こるか分からないこと」って稽古で消していきたい部分じゃないですか。でも枕の部分を含め、分からないまま(本番に)持っていく感じなんですよね。
――ちなみに、噺家さんの『落語』を観たりもしますか?
西山:観ます観ます。
米原:西やん観てそう~。
西山:やっぱり、噺家さんはおもしろいんですよ。同じ演目でも、噺家さんによってイメージがまったく違うし。僕は、勉強できる部分は勉強させていただきたいと思っていまして・・・。とはいえ、『ハンサム落語』は二人でやるから、まるで別物なんですけどね。
米原:でも、知っていて損はないよね。演目の名前は同じでも、僕らの台本はだいぶ脚色されているから。お客さんも、発表された演目を先に知っていても、『ハンサム落語』を観るとまた違うおもしろさが感じられるかもしれないよね。
――『ハンサム落語』は、舞台を飛び出してテレビ(『ブタイモン』)にもなっていますが、お二人はそちらにもご出演されていますよね。
西山:はい、テレビは、平野 良さん、宮下雄也さん、磯貝龍虎さん、植田圭輔さんが主にやっている番組なんですが、助っ人としてお邪魔しまして。
米原:僕も先日、助っ人として碕 理人くんとよみうりランドに行ってきました。
西山:テレビを観て、『ハンサム落語』を知ってくださる方が増えたら嬉しいですね。そういう活動からも、また広がっていくんじゃないかなと思っています。
――最後に『ハンサム落語 第八幕』を楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いいたします。
米原:第八幕まで続いているということは、それだけお客さんが楽しみにしてくれていて、求めてくださる作品なんだなと感じています。僕は今回が3回目となりますが、僕なりの挑戦をしつつ、皆さんに『ハンサム落語』という時間を思いっきり楽しんで帰っていただけるようにがんばりたいと思います!
西山:僕も、『ハンサム落語』史上一番ハンサムではない人として(笑)、再び挑みたいと思います。おもしろい先輩方とも、新しく加わる方とも組んでみたいと思いますし、どんな化学変化が生まれるのか、楽しみに待っていてほしいです!
◆公演情報
『ハンサム落語 第八幕』
11月1日(火)~11月6日(日) 東京・CBGKシブゲキ!!
11月11日(金)~11月13日(日) 大阪・テイジンホール
チケット情報、組み合わせ発表!
公式HP:http://www.clie.asia/hr8/
◆プロフィール
米原幸佑(よねはらこうすけ)
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。
2001年にRUN&GUNのメンバーとしてCDデビュー。2015年からはシンガーソングライター・サカノウエヨースケとのデュオ「ヨースケコースケ」としても活動中。歌手活動のほか、TV、映画、舞台など幅広く活躍。主な代表作は、映画『どうしても触れたくない』、『のぼうの城』、『キリング・カリキュラム』、舞台『Club SLAZY』シリーズ、『SHOW BY ROCK!! MUSICAL~唱え家畜共ッ!深紅色の堕天革命黙示録ッ!!~』、ミュージカル『魔界王子 devils and realist』など。
西山丈也(にしやまたけや)
1985年10月9日生まれ、静岡県出身。主な出演作は、ミュージカル『テニスの王子様』金色小春(Aキャスト)役、『PERSONA3』シリーズ、ミュージカル『八犬伝-東方八犬異聞-』、増田こうすけ劇場 『ギャグマンガ日和』、おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』など。