『マクベス』出演鈴木砂羽インタビュー「マクベス夫人を花にたとえて表現したい」

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野村萬斎演出による『マクベス』が、6月15日(水)より、東京・世田谷パブリックシアターを皮切りに全国7カ所にて上演される。今回で4度目の上演となる本作で、野村からマクベス夫人に抜擢されたのは、女優・鈴木砂羽。舞台、映像問わず、数々の作品で存在感を放つ鈴木が、マクベス夫人にどう挑むのか、早くも注目が集まっている。そして、鈴木にとってはこれが初のシェイクスピア作品への挑戦でもある。新境地にかける思いや意気込みを、本人に聞いた。

『マクベス』鈴木砂羽インタビュー

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――今回の出演の経緯をお聞かせいただけますか?

年齢的なことと、やりたいという素直な気持ち、あと、野村萬斎さんから声をかけて頂いたということが決め手になりました。萬斎さん自身がすごく魅力的で不思議な方なので、この方が『マクベス』を手掛けられるとどうなるのかな、と興味がありました。

――――年齢的なことというと、「この年齢で挑戦しよう」と決めておられたということですか?

『マクベス』鈴木砂羽インタビュー_3

と言うよりは、タイミングかな。20代のときは右も左も分からないまま、とにかく頂いたお仕事をやってきたんです。今振り返ると、全然真剣にできてなかったな(笑)。30代になってようやく、「この世界で生きていかなきゃ、女優をしっかりやっていかなきゃ」って思うようになったんです。でも、そうは思ったものの、自分の“ビジョン”っていうものが、今ひとつ掴みきれないまま時が過ぎて・・・。

――なるほど。

「それが何かわかるまで、この生活を続けていくしかないな」って思って。ドラマや映画や舞台に出演したり、漫画を描いたり、恋をしたり、結婚したくなったりもしながら、色々やってきて。そんな30代を経て、「40代は本当に好きなことをやろう」って思ったんです。20代、30代で今まで自分が感じてきたことや経験を、すべて役者の感性に注ぎ込んでいきたいって。そんな時に頂いたお話だったので、自分自身とのタイミングもよく、作品との縁も感じましたね。

――いろんな巡り合わせがあってのご出演なのですね。そんな砂羽さんについて、野村萬斎さんが「(自分の思い描いていた)マクベス夫人像にぴったりハマった」とおっしゃっているのを聞きましたが、ご自身ではどういう風にお考えでしょう?

いや、なんでだろう?って思っていました(笑)。肉体がある感じがするのかな? なんというか、実存する感じっていうか。私って、儚いとか夢、幻っていうイメージが自分の中にないタイプだから。この“肉”をまとった感じが生々しいというか、現実味があるのかなと思いますね。

――ポスターもすごく素敵でした! 衣裳に実際袖を通されてみて、どうでしょうか?

衣裳、入るのかなって思ってました(笑)。前回マクベス夫人を演じられたのが、秋山菜津子さんで、すごく華奢なお方なので、衣裳プランナーの方に「大丈夫かな?」とか言ってたんですよ。なので、入ってよかったです(笑)。この萬斎さんの『マクベス』は和の『マクベス』ということで、衣裳にも和のイメージが入っているのですが、着心地も良かったです。

『マクベス』鈴木砂羽インタビュー_2

――シェイクスピアのような、現代とは掛け離れた世界の場合、砂羽さんは、どういったことをソースに役作りをされるのでしょうか?設定こそ違いますが、感情の部分では現代に通じる部分があるとは思うのですが・・・。

私もそのように考えています。ストーリーもセリフも重厚だけど、夫婦の絆を始め、愛や欲望など人間模様の中にある感情そのものは、今私たちが感じることと何ら変わらないと思うんですよね。もちろん、私は王を殺したこともないし、旦那に王を殺せってそそのかしたこともない。だから分からない部分があって当然だとも思っています。

――たしかにそんなシチュエーションは有り得ないし、想像がつかないです。

ただ、いろんな役をやってきて思うのは、“そうせざるをえないような感情”を作り出すのが俳優の仕事なんじゃないかなということ。“王を殺さざるをえないような感情”。それをシェイクスピアの台詞に乗せて演じるということが、俳優にとってはすごく大きなことだと思います。この作品で、偉大な劇作家のフィルターを通して、現代にも通じるような普遍的な感情を探っていきたいですね。

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――台詞一つにもいくつもの装飾がつけられていて、そこがTHEシェイクスピアといったところでもありますもんね。

そうなんです。でも、だからってただ大仰にやればいいってわけじゃないんですよね。私自身は、その“装飾の台詞”そのものを楽しんでいけたらと思っています。こんなことは今までやったことがないので、チャレンジしたい。シェイクスピアのファンの方にとったらやっぱり台詞は醍醐味だし、台詞のやり取りを楽しみにされていると思うんです。だから語り継がれて、何度も上演されているんじゃないのかな。ただ難しい台詞だなって思ってると、そこで終わっちゃう。面白がって取り組みたいです。

――この間、初めて読み合わせをされたということですが、実際シェイクスピアのセリフを口にされてみていかがでしたか?

大きい声を出そう!と思いました(笑)。まだ稽古はこれからで、この間は勉強会を開いていただいたのですが、とりあえず、大きい声で台詞を言わなきゃなって思って、会議室みたいな部屋で、大きな声を出してたんですよ。恥ずかしいなぁと思いながら・・・。ああいう時結構恥ずかしいんですよ、私たち(笑)。

――本番を楽しみにしています!最後に見どころと、作品に対する意気込みをお聞かせください。

萬斎さんが、四季、季節感になぞらえてこの作品を考えていらっしゃって。この夫妻の栄華を四季で表現していくというか・・・。なので、私もマクベス夫人を“花”に例えて表現できたらと思っています。どんな花かは、これからの稽古で探っていけたらと。私にとって、初のシェイクスピア作品への出演になりますが、萬斎さん達とこれまでにないような作品に仕上げていこうと思っていますので、是非楽しみにしていてください!

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◆プロフィール
鈴木砂羽(すずきさわ)
1972年生まれ。静岡県出身。94年に映画『愛の新世界』の主演で映画デビュー。同年、ブルーリボン賞キネマ旬報新人賞など、多数の映画賞を受賞。以降、舞台・映画・ドラマなど幅広い作品で、欠かせない存在に。最近の出演作は、映画『夢売るふたり』、『しあわせカモン』、『俺物語』ドラマ『まれ』『オトナ女子』など。月刊マンガ誌「YOU」でエッセー漫画「いよぉ!!ボンちゃんZ」連載中!

◆『マクベス』公演情報
6月15日(水)~6月22日(水) 東京・世田谷パブリックシアター
6月25日(土)・6月26日(日) 豊橋・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール 
6月28日(火)・6月29日(水) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
7月1日(金) 札幌・札幌市教育文化会館 大ホール
7月5日(火)・7月6日(水) 名古屋・名古屋市芸術創造センター
7月9日(土) 滋賀・滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール
7月12日(火) 宮崎・メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール

原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:河合祥一郎
構成・演出:野村萬斎
音楽監修:藤原道山

出演:野村萬斎、鈴木砂羽、小林桂太、高田恵篤、福士惠二

『マクベス』メインビジュアル撮影:澁谷征司
ヘアメイク:真知子(エムドルフィン)
スタイリスト:寳田マリ

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