シェイクスピア4大悲劇のひとつを、佐々木蔵之介がほぼ一人芝居で20役演じきるという注目作『マクベス』。2015年7月13日(月)に東京・パルコ劇場にて初日直前囲み会見が行われ、佐々木と演出を務めるアンドリュー・ゴールドバーグが登壇した。前日に行われたプレビュー公演の話もふまえ、二人は初日前の心境をマスコミに語った。
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開幕前は“いつでも逃げる用意ができている”などと弱腰だった佐々木だが、現在の心境を聞かれると「いよいよお客さんの前でできることがすごく嬉しいですし、どんな風に感じて頂けるのかとドキドキしています。すごく楽しんでもらえる作品になっていると思います」と一転して自信を覗かせた。しかし、前日のプレビュー公演では「お客さんの反応を見る余裕はなかった」と苦笑い。
そんな佐々木を演出のアンドリューは、「昨日も本当に素晴らしく、大きく前進したものを見せて頂いた」と絶賛。アンドリューは、2012年6月にスコットランドでの初演時もジョン・ティファニーとともに演出を行っている。初演で同役を務めたアラン・カミングと佐々木について「蔵之介さんを観ているとアランを思い出させるところがとても多くて。それは芝居が似ているということではなく、どちらも知性的で役者としての直感が鋭いということ」と評した。
そのアランから、稽古に入る前に動画メールをもらったという佐々木。(アランのメールには)“僕が今までで一番しんどかった作品であると同時に、最も輝かしくもあった作品。非常に孤独な作業だけれど、これを知るのは蔵之介さん(と私)だけなので、終わったらそれを分かち合いましょう”というメッセージがあり、それがすごく励みになったと明かす佐々木だった。
本作の舞台は精神病院。佐々木演じる患者の中に内在する『マクベス』の登場人物たちを介して、観客はあの忌まわしい悲劇を追体験していく。約100分の上演時間の中で、佐々木は約20役を一人で演じきる。「稽古に入るまでは、すごく孤独でした。観てくれる人もいないし、返してくれる人もいなくて…」と振り返った佐々木。
一人芝居の難しさについては「日々発見なんですけど。(他の芝居も)突き詰めたら一緒なんですけどね。ただ、誰も助けてくれない…」と笑いつつ、「でも、アンディやスタッフの方が徐々に入ってくれることで、一緒に作れているという感じがして。こんなに穏やかに初日を迎えらえるのはそうそうない」と晴れやかな表情を浮かべていた。
公演に合わせ、佐々木が『マクベス』の舞台であるスコットランドを訪問した様子を追ったフォトブック『動く森』(扶桑社)も発売されるという。最後に佐々木は「初めて観た人でも、50回観た人でも面白い作品です。100分間やり通します。是非、劇場に僕の姿を目撃しに来てください。お待ちしています」と決意あらわに呼びかけた。
『マクベス』は、2015年7月12日(日)から8月2日(日)まで東京・パルコ劇場で上演ののち、豊橋・大阪・横浜・北九州でも上演されている。日程は以下の通り。
東京公演 2015年7月12日(日)~8月2日(日) 東京・パルコ劇場
豊橋公演 2015年8月8日(土)~8月9日(日) 愛知・穂の国豊橋芸術劇場PLAT主ホール
大阪公演 2015年8月12日(水)~8月17日(月) 大阪・森ノ宮ピロティホール
横浜公演 2015年8月22日(土)、8月23日(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場ホール
北九州公演 2015年8月28日(金)~8月30日(日) 福岡・北九州芸術劇場・中劇場