井上瑞稀・橋本涼が江戸を舞台に大活躍!『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』【レポート】

当ページには広告が含まれています
『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

井上瑞稀・橋本涼主演の『劇走江戸鴉(ゲキソウエドガラス)~チャリンコ傾奇組(かぶきぐみ)~』が東京・新橋演舞場にて2024年10月5日(土)に開幕した。

目次

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』“デコチャリ”が舞台上を駆けまわる!

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

本作は、元禄時代の大坂に実在し、講釈や浄瑠璃等にも多くのインスピレーションを与えたといわれる「雁金五人男」を題材に、作・演出の横内謙介(劇団扉座主宰)が2013年に『元禄チャリンコ無頼衆 浪速阿呆鴉』として初演を行い、今回物語の舞台を江戸に移し、公演名も新たにブラッシュアップして上演される。

それぞれの事情により一度は道を外した若者たちが、派手な装飾が施された“デコチャリ”に乗り、暴走族のように舞台上を縦横無尽に駆け抜ける。己が信じる正義のため、仲間と共に巨大な悪に立ち向かう!

主演を演じる井上瑞稀は、同心の手先として十手を握り「江戸鴉」を追い詰める布袋数右衛門(ほていかずえもん)を、橋本涼は荒くれもの集団「江戸鴉」のリーダー雁金段七(かねがりだんしち)を演じる。異なる立場の2人が互いに力を認め、力を合わせて悪と戦う役に挑む。
「江戸鴉」のメンバーには浜中文一、押田岳、富本惣昭が、ヒロインのお露には武田玲奈、さらに山本亨、オレノグラフィティ、そして奉行役には山口馬木也と、華やかな顔ぶれが揃い個性豊かなキャラクターたちに命を吹き込む。
ド派手な衣装や時代劇らしい立ち回り、己の選んだ道を悔いなく貫く主人公たちの、エネルギッシュな青春活劇がいま紡がれる。

デコチャリで宙を浮く!?男たちの生き様を井上瑞稀・橋本涼らが熱演

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

舞台は元禄時代。江戸の町に荒くれ者の4人組・雁金段七(橋本涼)、黒鉄仟右衛門(押田岳)、庵平兵衛(富本惣昭)、神鳴庄九郎(浜中文一)がいた。「江戸鴉」と名乗る彼らは、馬より早い乗り物、”チャリンコ”を発明し、喧嘩代行を生業に日々乱闘騒ぎを起こしていた。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

眩しいほど光る“デコチャリ”にまたがり、元禄風暴走族のような出で立ちで現れた「江戸鴉」は素行も態度もまさしく無頼男。睨みを効かせ追手たちと見事な立ち回りを序盤から見せてくれる。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

そんな問題児たちを捉えるべく、同心の小田切直雪(山本亨)とその手先の布袋数右衛門(井上瑞稀)が弾七と切り合うものの、数右衛門の姉であるお露(武田玲奈)の仲介で弾七は命拾いをし、弾七とお露は運命の再会を果たした。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

捕らえられた弾七だったが、「江戸鴉」たちの悪行を不問に処す代わりに、同心と手を組み天下のために働くことをもちかけられ、苦心するも仲間の命を守るためにその提案を飲むことに。

これまでの行いを改め、同心の手先として“チャリンコ”を乗り回して町を守る。伊達な衣装を脱ぎ捨て、十手片手に盗人を追い詰めるシーンでは歌舞伎のツケ打ちも相まって堂々とした動きで楽しませてくれた。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

一躍町のヒーローになっていく「江戸鴉」たち。今まで悪行を行ってきたが初めて人に感謝され、戸惑う庄九郎。それぞれの事情があり悪さを重ねては来たが、根は優しく仲間想いの彼らなのだと思いを巡らせた。

そんな中、役人の吉岡慶ニ郎(オレノグラフィティ)より、江戸一のヤクザである野田藤一家の殲滅作戦という命の保証がない危険な任務を命じられることに。命をかけてでも、自分たちの役割を全うしようとする「江戸鴉」にこの時代の生き様を感じた。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

作戦決行の日、既に突撃に向け待機していた数右衛門らの元に、奉行の朝山伊衛門之丞(山口馬木也)より計画中止の命が届く。実は朝山と野田藤が通じており、すべて仕組まれた作戦だったというのだ・・・。

自分たちの正義の為に命をかけ戦いに挑む「江戸鴉」を傍で見ていた数右衛門は、彼らの思いの強さに魅かれていたことに気づき、同心や奉行らに背を向け仲間(江戸鴉)のもとに駆けていく。

仏頂面で荒っぽい段七演じる橋本だが、言動の無骨さと反してすらっとした手足が物語の核でもある大立ち回りのシーンでとても映えていた。また、時折見せる笑顔のギャップに、男も女も虜にしてしまう段七らしさを垣間見せた。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

キッとした目が印象的だった井上は、家族思いの数右衛門を熱演。奉行所での所作が特に美しく、しなやかな殺陣に見惚れた。チャーミングな笑顔を封じ、家族と仲間を思う真っ直ぐな気持ちに胸が熱くなった。

物語の後半、江戸鴉の登場で見栄を切るシーンでは花咲かりな伊達男たちに向かって歌舞伎の掛け声の様に思わず役名を叫びたくなった。それくらい、たった数時間でも「江戸鴉」たちの人生に触れただけで彼らを好きになってしまう求心力があり、気づけば観客を魅了していた。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

また前代未聞!?のデコチャリで宙を浮くシーンも必見。ド派手な演出だが、登場人物全員にそれぞれの物語がある。多くは語らないシーンでも登場人物たちの、その表情や動きの機微をぜひ見て感じて欲しい。エネルギッシュでセンチメンタル、元禄時代を生きた人々の鮮烈な生き様が現代に青春活劇が開幕した。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

『劇走江戸鴉(ゲキソウエドガラス)~チャリンコ傾奇組(かぶきぐみ)~』は2024年10月5日(土)から10月27日(日)まで東京・新橋演舞場にて、11月2日(土)から11月10日(日)まで大阪・松竹座にて上演。

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』公演情報(チケットなど)

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』公演情報(キャスト・チケット・配信など)

『劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~』舞台写真

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

演劇好きが功を奏してフリーの演劇ライターとして活動中。
演劇の面白さを垣根を超えて伝えたい!
舞台、映画、音楽、アート、全方向のエンタメ好きです。

目次