2024年9月11日(水)に東京・東京ドームシティ シアターGロッソにて、『戦隊大失格』ザ・ショーが開幕した。初日前には公開ゲネプロと取材会が行われ、富永勇也、菊池修司、まるぴ、関隼汰、宮脇優、エル・デスペラード(新日本プロレス)、武子直輝が登壇した。
話題の人気漫画『戦隊大失格』が舞台化!
原作の『戦隊大失格』は、シリーズ累計2,000万部を突破した大人気作品『五等分の花嫁』の著者・春場ねぎによる最新作。
毎週末に地上侵攻を繰り返して敗れ去る怪人の下っ端戦闘員・戦闘員Dと、ヒーロー像とはかけ離れた竜神戦隊ドラゴンキーパーとの対決を描いている本作は、悪役視点で展開されるその独特な世界観、高いストーリー性が、連載開始から高い評価を受けている。今春にはアニメ『戦隊大失格』が放送され、さらに2nd seasonも2025年に放送を予定しており、話題となっている。
主人公・戦闘員D役に『暴太郎戦隊ドンブラーズ』ソノイ役など幅広いジャンルで活躍する富永、もう一人の主人公である謎めいた戦隊員・桜間日々輝役を舞台『ブルーロック』御影玲王役など、多くの2.5次元作品で活躍を続ける菊池がW主演を努める。
そして、錫切夢子役をまるぴ、朱鷲田隼役に関、碧流亜乱役を宮脇、戦闘員F役にエル・デスペラード、レッドキーパー(赤刎創星)役を武子が演じ、ウルトライガー役に高橋光、ブルーキーパー役に北村海、イエローキーパー役に細川晃弘、グリーンキーパー役に佐藤賢一、ピンクキーパー役に林本奈々も名を連ねた。
富永勇也「自分の中ですごく自慢のカンパニー」&菊池修司「“ザ・ショー”にふさわしい」
開幕に際し、登壇した富永は脚本について「シンプルに面白いなと思いました。脚本を読んでみて、今回は原作の1巻、2巻のところですけど、そこをこうパッケージ化して舞台化するということにあたって、僕らなりにどういう風な見せ方をしたらいいかっていうのをすごく考えてやってこれたかなと思っていますし、それがよく出たらいいなと思います」と期待を抱きつつ、原作の魅力について「原作が秀逸というか、やり取りの掛け合いであったりとか、すごく伏線になっているようなセリフとかもすごくあるなという風に感じました」と語った。
同じく、菊池も脚本について「すごく素敵でまとまっているなという印象で、この表現をどうやってこの舞台でやるのだろうと考えた時に、“ザ・ショー”と今回のタイトルについているんですけど、本当に“ザ・ショー”にふさわしい舞台ならではの表現方法で、お客さんも楽しんでいただけると思いました」と称賛。
続けて、いろんな人物に擬態できる能力を持った戦闘員Dならではとして「自分の役が台本で、戦闘員D、人間体D、桜間D、赤刎DみたいないろんなDがいて、『これはどこの誰だ?』みたいな感じで、最初はちょっと不思議に台本を読んでいましたけど、実際に衣装を着たりだとか、そういう仕組みを理解した上でこの作品を観た時に、すごく見応えある作品になっているなと思ったので、その辺もぜひ楽しみにしていただきたいです」と期待を寄せた。
スーパー戦隊のヒーローショーも行われているシアターGロッソに対して、今回が初シアターGロッソだという武子は「高低差がすごくあって、他の劇場とはまたちょっと違う仕組みになってるんだなというのがあります」と解説し、「昨今の2.5次元の舞台やらせていただいて、いろんな演出の方々がプロジェクションマッピングとか、パネルを使ったりとか、いろんな表現をされている中で、今回はステージが3階まであるということで、その大きなアクションがこのシアターGロッソならではの醍醐味と思います。なので、『戦隊大失格』のたくさんの素晴らしいアクションを活かせる場所だなと思いました」と絶賛した。
作品の見どころについて、まるぴは「この作品は一応主人公に戦闘員Dだったり桜間くんがいるんですけど、全員が主人公になるような壮大なストーリーだと思っています。観てくださる方が誰に注目するかによって、この作品の楽しみ方がすごく変わると思っているので、ぜひ何度でも見ていただきたいです」と挙げ、役柄の見どころについては「夢子がメインのキャラクターではあるんですけど、いろんな役を務めさせていただきますので、いろんなギャップを観ることができると思います。まるぴ自身もそうですし、夢子のことも大好きになってもらえるように、大切に演じたいなと思っております」とアピールしながら意気込んだ。
パンダのような目に顔の前面が白塗りという朱鷺田を演じる関は、見どころについて「やっぱり朱鷺田のこの顔ですかね」と即答し、登壇者たちも大笑い。改めて「なかなかこういったメイクをさせていただくことがないですが、すごく光栄に思っていることは本当にあります」と思いを明かした。加えて、作品の見どころについて「自分もレッド部隊の役柄ということで、レッドキーパーの神具神降のシーンが見どころです。舞台ならではの演出が加わるというところで、どういった見せ方ができるのかすごく楽しみにしていただきたいです」と本作における必殺技的な位置づけのアクションを挙げた。
宮脇は、本作の見どころを「見どころはたくさんで、ちょっと選ぶのが難しいんですけど、1つ強いて言うとすれば。ヒーローショーがとてもすごいショーで、戦隊と戦闘員(ダスター)の戦いがステージの3階から1階まで使っていて、迫力あるステージになっているので、そこはぜひ見ていただきたいです」と訴えた。
エル・デスペラードも、本作の見どころを尋ねられると、「ストーリーや殺陣などの全てが素晴らしいです。皆さんが言ってくださったことは本当に素晴らしいですし、僕自身も殺陣の中において全力で役作りに漬かっています」と他の登壇者たちに同調。その中でも印象的なシーンとして、「昨日、僕とアンサンブルの井本(涼太)くんで場当たりを客席で観させてもらっていた時に、菊池さんとまるぴさんのとあるシーンで、2人して菊池さんがエッチだったと言っていたんです(笑)」と挙げると、菊池が「俺がですか(笑)?」と驚き、まるぴは「褒められるつもりで聞いていたのに、そっか、足りないですね(笑)」と答えて、会場の笑いを誘った。
最後に、W主演の2人から初日に向けての意気込みが語られた。菊池は「無事にこうして初日を迎えられることをとても嬉しく思っております。お芝居が楽しいことはもちろんなんですけども、本当に“ザ・ショー”とついていることで、また別のエンタメとしてお客さんに楽しんでもらえる作品だなと思っています。今回、桜間と戦闘員Dの2人でW主演を務めさせていただきますので、その責任も持って、この作品が第1弾と言いますか、最初の『戦隊大失格』を観せられる機会だと思っています。そのためにたくさん愛されるよう努力して、今後もこの作品が愛されるよう頑張っていきたいなと思っていますので、ぜひ最後まで応援よろしくお願いします」と力を込めた。
富永は「稽古期間からこの座組が熱量を持って、稽古が終わった後もみんなで残って、誰が止めることもないんですけど、ずっとこの作品を良くするためにと奔走しているような作品です。この作品が終わった後に、自分の中ですごく自慢のカンパニーだったなと思うのと同時に、そのカンパニーの一員になることができたことをとても光栄に思っております。その熱量がお客さんにきっちりと届くような作品になっていると思うので、ぜひご期待ください」と会見を締めた。
スーパー戦隊ヒーローショーの聖地でアンチヒーローな戦隊作品を上演【ゲネプロレポート】
13年前に、突如として空に現れた巨大浮遊城から悪の怪人幹部たちと下っ端戦闘員(通称:ダスター)が世界征服をもくろみ、侵攻を開始。彼らを迎え撃つ大戦隊は人類の存亡をかけて今も戦いを続けていた。
しかし、この戦いは実は茶番劇だった!? すでに浮遊城は竜神戦隊ドラゴンキーパーによって陥落状態で、怪人幹部も全滅。残された戦闘員たちは、ドラゴンキーパーと「日曜決戦」というショーとして毎週日曜日に侵攻して敗れるという協定を極秘に結ばされていたのだった。
そんな人生に嫌気がさした戦闘員Dは裏の顔がヒーローとは思えないアンチヒーローなドラゴンキーパーをぶっ潰すため、擬態能力を使って人間体となり、大戦隊に潜入するのだが・・・。
原作の序章部分を描く本作。ヒーロー側も純粋な正義ではないアンチヒーローではあるものの、スーパー戦隊の特撮テイストをまとった作品だけに、スーパー戦隊のヒーローショーの聖地であるシアターGロッソで上演するにふさわしい作品となっている。
アンチヒーローがコントロールする世界で、悪役の視点で描かれるユニークな世界観とストーリーを持つ原作。舞台化にあたって脚本を務める毛利亘宏はスーパー戦隊シリーズの脚本経験もあり、シアターGロッソでもスーパー戦隊のヒーローショーの脚本を担当していることもあって、原作の魅力を解像度高く舞台へと落とし込んでいる。
さらに、開幕直前取材でも武子らが述べたように、シアターGロッソの機構を活かした数々の演出が非常に目を引き心躍る。「神具」と呼ばれる武器によるアクションや必殺技が魅力的な殺陣の数々に、ステージ3階からの奈落落ち、スモークやプロジェクションマッピングなどの映像・照明効果も交わり、そこにパネル操作やアンサンブルによるマンパワーなどの演劇的表現が加わることで、スーパー戦隊のヒーローショーも顔負けのアクションとショーが繰り広げられる。
その演出を手掛けるのは、『仮面ライダー鎧武/ガイム』で特撮番組に、舞台『仮面ライダー斬月』-鎧武外伝-で特撮作品の舞台化作品に出演経験もある久保田悠来。彼によって、特撮出演の経験も活かされた迫力あるステージングが展開する。
W主演となる富永と菊池。富永は、敵組織の戦闘員でありながら、やさぐれているなど非常に人間くさく、スーパー戦隊シリーズのレッドばりの熱血な面もあるなど、深みのあるキャラクターの戦闘員Dを熱演。菊池は 大戦隊に所属してはいるものの階級が最底辺の「無色」ではあるが、正統派なヒーローらしく正義感を持つ主人公として高潔な桜間を好演。
そして、レッドキーパーとしてヒーローとしてのオーラをまといながら、スーパー戦隊シリーズのレッドらしい熱血さと、裏に潜ませる冷徹な怖さを武子が巧みに演じ分け、まるぴはチャーミングさとミステリアスさを併せ持つ夢子を魅力的に演じるだけでなく、複数の役を演じるという初舞台とは思えない芸達者ぶりも披露。
加えて、大戦隊のレッド部隊に所属する朱鷲田を演じる関と、ブルー部隊に所属する碧流を演じる宮脇が、戦闘員Dの前に立ちはだかる敵としてストーリー展開に関わり、神具レプリカの設定説明も兼ねて、物語に起伏をもたらしてくれている。
さらに回替わりゲストとして、中村嘉惟人、鈴木裕樹、横山涼、タカハシシンノスケ、松本寛也、渡辺碧斗、谷口賢志、細貝圭、南圭介、久保田悠来が出演。ゲネプロでは中村が登場するなど、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズといったニチアサに出演したキャストたちがゲストにラインアップされているのも見どころだ。
スーパー戦隊ヒーローショーの聖地でアンチヒーローな戦隊作品を舞台化した本作。原作ファンや舞台ファンだけでなく、スーパー戦隊シリーズのファンにもオススメできる舞台となっている。
『戦隊大失格』ザ・ショーは、9月16日(月)まで東京・東京ドームシティ シアターGロッソにて上演。
『戦隊大失格』ザ・ショー 公演情報(チケットなど)
【公式サイト】https://officeendless.com/sp/daisentai_show/https://officeendless.com/sp/daisentai_show/
【公式X(Twitter)】@stage_sd
(C)春場ねぎ・講談社/『戦隊大失格』ザ・ショー製作委員会