作家・岩井秀人が実の家族をモデルに描いた現代家族劇『て』が、岩井が主宰するハイバイの劇団20周年の節目に上演されることが決定した。
岩井秀人が実の家族をモデルに描いた現代家族劇『て』
『て』は、2008年に初演され、何度も再演を重ねている岩井の代表作の一つ。過去の関係を清算しきれず、お互いの分かり合えなさに沈んでいく家族の様を壮絶に描いた厚みある悲喜劇は、上演される度、劇場前に当日券を求める観客が列をなす人気作となった。
ハイバイ流の「笑うしかない」を確立させた作品
物語の中心となるのは、山田家。4人兄妹は、かつて自分たちに手を上げていた横暴な父の元を離れ暮らしていたが、祖母の認知症をきっかけに、実家に再集合した。
父の過去の暴力について騒ぐ次男。それについて一向に触れようとしない長男。「家族をやりなおそう」と希望を見せる長女。そして兄妹たち集まる。
酒に酔った父の発言を元に、山田家に再び、暗く熱を持った活気が蘇ってくる・・・。
次男と母、二つの目線で同じ時間を繰り返す構造が、「家族」という切っても切れないはずの関係を力づくでねじ切り、その傷跡を観る者に見せつける。
ハイバイ流の「笑うしかない」切実さと悲惨さのバランスは、この作品で形成されたと言っていいだろう。
20周年を迎えるハイバイとして、キャスト一新の「完全版」を上演
今回の上演は、劇団20周年の節目としてキャストを一新した「完全版」として上演。
出演は大倉孝二、伊勢佳世、田村健太郎、後藤剛範、川上友里、藤谷理子、板垣雄亮、岡本昌也、梅里アーツ、乙木瓜広、岩井秀人、小松和重。
なお、岩井は自身が演出・出演する『て』は「これが最後」とコメントしている。
ハイバイ20周年『て』は、以下の日程で上演される。
【東京公演】2024年12月19日(木)~12月29日(日) 本多劇場
【富山公演】2025年1月8日(水) 富山オーバード・ホール 中ホール
【高知公演】2025年1月18日(土) 高知県立県民文化ホール グリーンホール
【兵庫公演】2025年2月1日(土)・2月2日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
なお、9月12日(木)18:00から9月17日(水)23:59まで、劇団先行(メルマガ会員限定・抽選)が行われる。
※対象は9月12日(木)18:00までにメルマガ登録をされている方
ハイバイメルマガ登録:https://hi-bye.net/contact/mailmagazine
※東京・富山・高知・兵庫全公演対象
※一般チケットのみ対象
※ほか先行・一般発売は後日発表
岩井秀人よりコメント
2008年に初演し、ハイバイとわたくし岩井のその先の方向を決定づけた作品『て』の再演となります。
ご覧いただいた方からは、「我が家の風景、なんで知ってんだあ!涙」と、ありがたい悲鳴をいただけるこの作品も、誕生から15年経ち、さすがに家族って進化したのかなと思いきや、全然世の中の家族問題、なくならないっすね。
「家族だから許せ」的な考え方をやめたらいいのに、と思いながらも、それでも最終的にこの作品が「願い」や「許し」について扱ってることに救いを感じつつ、またイチから作り直したいと思います。
「なんか面白いらしいけどどうなんだ」と思ってる方は、身近な人で見たことがある人に聞いてみてください。面白いぞと、説得されてください。
見たことない方は、とにかく見に来てください。後悔はさせません。させたらすみません。
僕自身が演出し、僕自身が出演するのはこれで最後にするので、見納めとしてもお勧めです。
お待ちしております!
ハイバイ『て』公演情報(チケットなど)
【公式サイト】https://hi-bye.net/