東野圭吾の小説を舞台化した、藤田俊太郎演出によるミュージカル『手紙』2025の上演が決定した。4度目の上演となる今回は、2022年の上演より村井良大、spiが続投する。
東野圭吾の小説「手紙」を日本初のオリジナルミュージカルに
ミュージカル『手紙』は、これまで映画やドラマとして映像化されてきた東野圭吾の小説「手紙」(文春文庫刊)を、日本発のオリジナルミュージカルにしたもの。2016年に初演され、2017年、2022年と再演を重ねてきた。脚本・作詞は高橋知伽江、作曲・音楽監督・作詞は深沢桂子が担当。
2025年版では、2022年度版から一部シーンの変更や新たな演出が盛り込まれ、これまでとは異なるミュージカル『手紙』を仕上げる予定だ。
主軸となるのは、弟の進学費用のために空き巣に入り、強盗殺人を犯してしまった兄・武島剛志と、高校生の弟・直貴。兄が殺人を犯した事実はすぐに広まり、加害者家族となった直貴に向けられる周囲の目は一変する。高校卒業を控えたある日、直貴の元に服役中の兄から 手紙が届く。
兄からの手紙には獄中での穏やかな生活が書かれている一方、直貴は「強盗殺人犯の弟」という肩書により、バンド・恋愛・就職と次々に夢を奪われ苦しみ続けていた。年月が経ち家族を持った直貴は、ある出来事をきっかけに大きな決断をする――。
ミュージカル『手紙』2025のキャストは?
兄弟役には、2022年版にも出演した村井良大とspi。弟の直貴に思いを寄せ、彼の人生に大きな影響を与える女性・由実子役は、シンガー・ソングライターとしての活動に加え、藤田演出のミュージカル『VIOLET』(2020年)のオーディションで主役を射止めた選ばれた優河に決定。優河は、これが自身2作目のミュージカル出演となる。
また、直貴と同じバンドを組む3人組には、少年忍者の鈴木悠仁、青木滉平、稲葉通陽。さらに、2022年版より青野紗穂、染谷洸太、遠藤瑠美子、五十嵐可絵、川口竜也が続投する。
ミュージカル『手紙』2025は、2025年3月7日(金)から3月23日(日)まで東京・東京建物 Brillia HALL、2025年3月29日(土)から3月31日(月)まで大阪・SkyシアターMBS、2025年4月5日(土)・4月6日(日)に岡山・岡山芸術創造劇場 ハレノワ大劇場にて上演される。
ミュージカル『手紙』演出:藤田俊太郎コメント
『ミュージカル「手紙」2025』上演決定に寄せてオリジナルミュージカル『手紙』はいつも私の心の大切な場所に寄り添い続けている作品です。また、演出家としてこれからも時間をかけて創り続けていきたいと決意している演劇作品でもあります。この素晴らしい演目を再び演出するチャンスをいただけたことに大きな幸せを感じています。
今回の上演は、特にオープニングとエンディングに 2025 年版独自の演出を考えました。これまでなかった役も舞台上に登場します。上演台本は変化と、進化を続けています。新たに参加するメンバーが与えてくれた影響を元に、新曲、曲の新しいアレンジが加わりました。2025 年のこのメンバーでしか創れない鮮烈な『手紙』を上演したいと思っています。
2016 年の初演から 9 年が経ちました。たくさんの方の想いと愛がつまったミュージカルです。2016 年、2017 年、2022 年それぞれの上演を共に創った仲間たちに心からの敬意と感謝を込め、思いを胸にしっかりと刻み、一歩一歩大事に進んでいきたいと思います。
創作にあたっては、東野圭吾さんが原作に込めたメッセージに座組一丸となって向き合っていきたいと考えています。舞台は 1990 年代から 2010 年代までの日本、とある兄弟を中心とした物語です。日常、そして音楽が大きなテーマです。
話は冒頭、兄が犯した強盗と、兄が人を殺めてしまう罪が描かる場面から始まります。兄弟の姿を通して、人は誰しも被害者、加害者、被害者家族、加害者家族になり得るのだということ。日常はいつも突然変わる可能性を秘めているということ。そして、私たちの日々は、もっとこうすればよかった、もう少し他の行動ができたはずだという、在り得たかもしれない現在を願う後悔の連続ではないかと作品が教えてくれます。兄も弟も全てを失い、他の登場人物も一人一人が必死にもがき生活する中、音楽が寄り添い、今を照らす、かすかな希望の光になります。
たった一人だけの肉親である兄による犯罪。音楽という夢を一度は諦めた弟。劇中、胸が締め付けられる多くの出来事を経て、兄、弟、そして他の人物たちは、経験も、立場も、状況も違う中で、自分の人生の在り方を考えます。そして’帰るべき場所’、ホームはどこにあるのかと問い、生きていきます。帰るべき場所を見つけた弟と、帰るべき場所が今はない兄の別れ。ラストシーンでは、深く豊かな家族の愛の姿を、観客席に手渡したいと強く願っております。
最後になりますが、上演の継続を決めたプロデューサー、製作の皆様、作品の礎を作った、脚本・作詞の高橋知伽江さん、作曲・音楽監督・作詞の深沢桂子さんをはじめとする全カンパニーメンバーと素敵な仕事をしたいと思っています。言葉の強さと音楽の楽しさや温もりを大切に紡ぎ、最愛のお客様にお届けしたいと思っております。全国の劇場にて、お待ちしております。
ミュージカル『手紙』2025 公演情報
【公式サイト】https://musical-tegami.srptokyo.com/
【公式X(Twitter)】@musical_tegami