久保田秀敏×佐々木喜英インタビュー!ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇で見える“鬼”の人間味

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久保田秀敏×佐々木喜英インタビュー!ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇で見える“鬼”の人間味

また、桜舞い散る春がやってきた。2024年4月13日(土)に開幕したミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇について、土方歳三 役の久保田秀敏と風間千景 役の佐々木喜英にインタビューを行った。

「真改」シリーズから土方役を担ってきた久保田と、土方役から風間役まで足かけ9年「薄ミュ」に携わってきた佐々木。二人が感じる「土方歳三 篇」ならではの醍醐味を聞いた。

久保田秀敏×佐々木喜英インタビュー!ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇で見える“鬼”の人間味

目次

久保田秀敏、佐々木喜英ともに以外だった「土方歳三 篇」

――また、「薄ミュ」の春がやってきました。「真改」シリーズもついに「土方歳三 篇」ということですが、上演することを聞いた時はいかがでしたか?

久保田:僕は「土方歳三 篇」を上演することを、前作の「山南敬助 篇」の打ち上げで聞いたんですよね。ちょうど1年ぐらい前になるのかな。「次は、『土方篇』ではないだろう」と自分の中で勝手に思っていたので、まさかそんな!という驚きが大きかったです。一つの作品の幕を降ろしたはずなのに、降ろそうと思った打ち上げで、降りきりませんでした(笑)。そこからいろいろと準備を重ねましたので、今はもう楽しみしかないです。

――佐々木さんも同じタイミングで知ったんでしょうか?

佐々木:僕は打ち上げよりは後だったと思います。楽しく打ち上がりました(笑)。

――(笑)。次が「土方歳三 篇」というのは、佐々木さんも意外でした?

佐々木:そうですね、僕も「土方歳三 篇」が来るとは思っていませんでした。無印の初演から、いろんなルートをやってきていますが、「土方篇」はわりと最近もやっていたじゃないですか。ほかにも久しくやっていないルートがたくさんあるので、予想していませんでしたね。

久保田:だよね、そう思うよね。

佐々木:うん。同時に、「風間千景 篇」じゃなかったか・・・って(笑)。

久保田:あはは(笑)。

佐々木:「土方篇」の風間は、僕が今まで演じてきた風間の中でも、ボリュームのある作品なので、予想はしていなかったけど楽しみだなって思いました。

――お二人とも「土方篇」は意外とのことですが、何篇が来ると思ってました?

久保田:「黎明録」とかやってみたいなという気持ちがあったり、新キャラクターが登場するんじゃないかなと思ったり。「真改」の最初が「相馬主計 篇」で、「斎藤一 篇」、「山南敬助 篇」とやってきたから・・・既存ルートより新キャラクターが続くんじゃないかなと思ってました。

――久保田さんは2021年から「薄ミュ」にご出演されてきて、いよいよ中心に立つことになりますが、どう気持ちを作ってこられましたか?

久保田:早く本番をやりたい!という気持ちでいっぱいです。一応、主演という形にはなりますが、『薄桜鬼』という作品において、土方はやはりベースのキャラクターであり、常に真ん中にいなければいけない人間なので、そういう意味では、主演だろうとなかろうと、気持ちの在り方としてはそこまで変化はないかな。いつもどおり真ん中に、物語の軸としてしっかりと地に足をつけて、しっかりとそこに存在する、まとめることが大事だなと。

ただ、物語的には土方の恋模様や生き様が深堀りされているので、内側の解釈や解像度を上げないといけない。そこはちょっと今までとは違うかなと思います。でも、基本的には変わらず、どっしりと構えていようと思います。

――佐々木さんは、「HAKU-MYU LIVE 3」でカムバックとなりましたが、風間千景として見える景色に変化はありましたか?

佐々木:もう9年経つので、いろんな想いがあります。僕の「薄ミュ」は2015年の「黎明録」に土方役として参加したところから始まりました。演出は毛利さんで楽曲には「ヤイサ!ヤイサ!ヤイサ!」があって。次が2年後、2017年の「原田左之助 篇」から風間役になって、その時も演出は毛利さんで楽曲に「ヤイサ!~」があって。

その次が「真改」シリーズになって、楽曲もガラリと変わった「相馬主計 篇」。でも、残念ながらその年(編集部註:2020年の公演は中止となってしまった)の桜は咲くことがなくて。それが本当に悔しくて、いつか絶対にカムバックをしたいなと思っていました。それが「HAKU-MYU LIVE 3」で叶って、やっぱり「薄ミュ」っていいなと感じたんです。毎回、同じキャラクターを演じていても、ルートによって少しずつ違うのが楽しいです。戻ってきたからには、またしばらく風間を演じられるといいなと思っています。

――ルートによる違いは、「薄ミュ」の醍醐味の一つですよね。

佐々木:ですよね。風間って、いつも最強の立ち位置にいるので、涼しい顔で他を圧倒していたと思うんですけど、「土方歳三 篇」の風間は、なんというか、より人間らしい風間だなと思うんですよ。その違いも、皆さんにお見せしたいです。

――「土方歳三 篇」は、土方と風間の殺陣が見られるという楽しみもあります。

佐々木:二人の殺陣の量は過去イチだと思うので・・・。今までの公演でも、土方と風間の最後の戦いは少し描かれていたんですが、今回は最後まで演じることになるので、お互いきっと舞台袖でゼーハーしてると思います(笑)。

久保田:お互いもういい歳なのでね、いたわりながら(笑)。

――お二人の共演は?

久保田:ちゃんと共演したのは2018年の舞台『血界戦線』だね。

今回の「薄ミュ」は今までで一番(土方と風間の)絡みがあるので、お客さんの目の届かないところでも、二人のバチバチ具合を高めていって、それをうまく舞台上に反映できたらなって思います。稽古段階から、お互い意識し合いながら芝居を作っていかないと、ただなぞって終わりになってしまうので。

台本に書かれていることの内側、台詞と台詞の行間を各々が自らの中で作って埋める芝居をして、それを詰め込んだ作品にしないと、この「土方篇」は失敗で終わってしまう。だからこそ、そこを突き詰めていきたいです。

役者によるキャラクターの見え方の変化

――お互いが演じる「土方歳三」「風間千景」にはどのような印象を持たれていますか?

久保田:僕は、土方役として、本公演では鈴木勝吾演じる風間と、ヒデ演じる風間と対峙しましたが、そうですね・・・。

勝吾は熱量の人間なので、その瞬間、瞬間でこっちを潰しにかかってくるような風間だなと。一方、ヒデの風間は、冷静さを潜ませて鋭い針を刺してくるような圧があるんです。怖さの面では、ヒデの方が怖いかも・・・。

佐々木:(笑)。

久保田:ほら、怒られる時も、わっと沸騰するように怒られるより、ちょっと一線引いて淡々と怒られる方が怖かったりするじゃない。静かに周りから責められる感じ(笑)。ヒデの風間からは、そういう怖さをすごく感じます。

佐々木:僕は、自分自身が土方歳三を演じたことのある身でもあるので・・・。

久保田:それ、すごくおもしろいよね。

佐々木:うん。みんな違うのがよく分かる。くぼひでの演じる土方は、泥臭さの中にすごい優しさを感じる土方なんですよね。近藤さんをはじめ、隊のみんなのことをすごく考えているのが伝わってきます。

僕が土方を演じた「黎明録」は、新選組が誕生するまでのお話なので、がむしゃらに必死に進んでいく土方だったんですけど、 新選組が出来上がった後、みんなを率いていく土方には逞しさと、その中にも優しさが必要になってくると思うので、くほひでの土方はすごくぴったりだなと思います。

――同作品で複数役を経験している佐々木さんは、「薄ミュ」に関しては誰にもない視点を持ってらっしゃいますよね。

佐々木:不思議な感じです(笑)。自分が昔演じていたキャラクターを目の前にして、その対極となる役を演じるって、なかなかないことだと思うので、すごく貴重な経験をさせていただいています。

――その経験があるからこそ見えてくるものもありそうですね。

佐々木:そうですね。こういう感じで台詞を発したら相手は食らいついてくるだろうとか、こういう球が欲しいんじゃないか?っていうのが分かるので。いいキャッチボールをしていきたいです。

久保田秀敏:「土方歳三 篇」では、本当に鬼にならないと

――長く愛されている「薄ミュ」シリーズですが、お二人はその魅力をどうとらえていらっしゃいますか?

久保田:お客様の感想などを観ていると、「真改」っぽい土方だと言われることが多くて。僕は、もともと原作にはあまり詳しくなかった人間なんですが、ルートごとの見え方の違い、演じる役者の違いは、長く作品を観ている皆さんにとって魅力の一つになっているのかなと思いました。

僕の勝手なイメージなんですが、「真改」の土方の方が大人のイメージなんですよね。無印の土方は、ザ・鬼の副長という荒々しさや、猪突猛進な感じがある。「真改」では、より深みを増した描かれ方をしているのかなと思ったりしました。

だから、「相馬主計 篇」は振り返ると反省ばっかりなんですよ。役作りとして、ちょっと飲み込まれすぎちゃったなって。映像で見返すと、気持ち悪いぐらいおとなしくて。なんで、これで出来たつもりでいたんだろうって思うぐらい。でも、きっとこれは僕が「真改」シリーズの土方を続けてきた中で生まれた変化なのかもしれない。作品を重ねれば重ねるほど、多面的な見方ができるのも、魅力なんじゃないかなと思います。

佐々木:分かる、そういうのあるよね。

久保田:「相馬主計 篇」の土方は、ただのお節介野郎でしかなかったからね。

佐々木:あはは(笑)!

久保田:人の恋路を気にして、好きなのかどうなのかはっきりしろよ!みたいなスタンスだけど、お前に言われたくないよってね(笑)。そこから「斎藤一 篇」「山南敬助 篇」を経て、自分の中に荒々しさがどんどん出てきている気がする。その勢いで、「土方歳三 篇」は本当に鬼にならないとね。

佐々木:僕は、「真改」以前から「薄ミュ」を経験してきて一番変化を感じたのは、楽曲がガラッと変わったことでした。「真改」前の風間の楽曲は「HAKU-MYU LIVE 3」で歌っただけなんですが、やっぱり勝吾のキーだなと。

僕が演じた風間の楽曲は、低く太い声で話すように歌う感じだったので、「真改」の楽曲は僕自身とすごくマッチしていたんだなと思いました。でも・・・たまに、「ヤイサ!~」を歌いたくなるんですよね(笑)。

久保田:あれは本当にキャッチ―だもんね。頭に残るもん。「HAKU-MYU LIVE 3」で歌って、コレコレ~!ってなったもんな(笑)。

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇 舞台写真

――では、「真改」の「土方歳三 篇」ならではの楽しみにしていることは?

久保田:今まで3作を振り返ると、ぶっきらぼうに見えるような土方だったイメージがあるんですが、それがやっと、内面の恋心もちゃんと表現できるのはとても楽しみです。恋に対する不器用さももちろんあったと思いますし・・・。なんでも器用にこなせない、むずがゆい面もどんどん出していきたいなと思いますね。でもそれが難しい!

最初は千鶴のことを全然気にも留めていなかったのに、気づいたら自然に心を奪われている。最近、彼女のことをよく見ている。これは何だ?恋なのか?いやいや、そんなわけない。そういう、誰しもが共感できるような心模様もいっぱい描かれているので、“鬼の副長”のそういう部分もちゃんと出していけたらという気持ちでおります。

佐々木:風間は、「土方篇」以外だと「最強の存在」であり、一太刀も浴びることがないんです。でも、今回はそうはいかない。その時、どういう感情になるのかが、今からすごく楽しみです。

僕は、2017年から風間を演じているので、7年経っての一太刀目。この一太刀を浴びた時、生まれるのは怒りなのか、何なのか。普段の冷静な風間にはない、鬼だけど人間っぽい部分が出てくるまでの感情を作るのが、すごく楽しいなと思っています。

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇 舞台写真

――「“鬼”の副長」である土方と、「鬼の頭領」である風間ですが、どちらも“人間っぽさ”というのが逆説的なキーワードとしてお二人から出てくるのがおもしろいですね。カンパニーとしての結束も、もう十分ですよね?

久保田:そうですね。毎回、稽古が始まると「ただいま」っていう感覚になります。新しいストーリーに向き合う時は、夢の続きが始まったようなちょっと変わった感覚に陥るのもおもしろいです。みんなが同じ方向を向いているので、すごく居心地がよくてワクワクする現場です。

佐々木:毎年戻ってこれる場所、だよね。家族みたい。特に、演出の毛利さんと近藤勇役の井俣太良さんは、本当に家族みたいだなって思います。

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇 舞台写真

――また、「薄ミュ」で春を感じる日を楽しみにしています。

佐々木:ここまで9年関わらせていただいて、過去に演じたことのある土方と、「土方歳三 篇」で風間として対峙するというのは、巡り巡る中でのご縁だと思っています。そのご縁に感謝しつつ、今までにない、感情を爆発させる風間をお見せします。ぜひ、桜の季節に会えるのを楽しみにしています。

久保田:満を持しての「土方歳三 篇」なのでね。基本的なストーリーはベーシックで、誰もが知っているようなお話ですが、その中での意外性や恋模様から、「こんな土方もありなんだな」「これが『真改』の『土方篇』なんだ」「こういう見せ方もあるんだ」って思ってもらえるようにしたいです。

最後の風間とのシーンまで、丁寧に紡いでいって、最後は桜の花を咲かせます。どっちが散るか分かりませんが(笑)!ステージ上で、満開の桜をお見せしたいと思います。なので、もう黙って劇場に見に来いっ!

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇 公演情報

【兵庫公演】2024年4月13日(土)・4月14日(日) AiiA 2.5 Theater Kobe
【東京公演】2024年4月19日(金)~4月29日(月・祝) 天王洲 銀河劇場

スタッフ・キャスト

【出演】
土方歳三 役:久保田秀敏 雪村千鶴 役:竹野留里/
沖田総司 役:北村健人 斎藤一 役:大海将一郎 藤堂平助 役:樋口裕太
原田左之助 役:川上将大 永倉新八 役:小池亮介 山南敬助 役:丸山龍星
山崎烝 役:田口司 近藤勇 役:井俣太良 大鳥圭介 役:飯山裕太/
天霧九寿 役:横山真史 不知火匡 役:末野卓磨 雪村綱道 役:川本裕之/
風間千景 役:佐々木喜英

<アンサンブル>
笹原英作 堀直人 SHIMa 鼓太郎 坂本和基 橋本征弥 相田真滉 川合立統

【原作】オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
【脚本・演出】毛利亘宏
【音楽】坂部剛
【振付・ステージング】本山新之助
【殺陣】六本木康弘

来場者イベント

アフタートーク

【対象公演および登壇者】
4月22日(月)13:30 樋口裕太、川上将大、小池亮介、丸山龍星、川本裕之
4月24日(水)12:30 北村健人、大海将一郎、井俣太良、横山真史、末野卓磨
4月25日(木)13:30 久保田秀敏、竹野留里、田口司、飯山裕太、佐々木喜英

カーテンコール撮影タイム

【対象公演】
4月19日(金)18:00、4月24日(水)18:00、4月27日(土)18:00
※撮影タイム以外での撮影は、開演前も含め一切禁止

スペシャルカーテンコール

対象公演限定で、通常のカーテンコールの後、スペシャルカーテンコールとして特別楽曲を披露
【対象公演】
4月20日(土)18:00、4月26日(金)18:00、4月29日(月・祝)12:00

公式サイト

【公式サイト】https://www.marv.jp/special/m-hakuoki/
【公式X(Twitter)】@m_hakuoki

(C) アイディアファクトリー・デザインファクトリー/ミュージカル『薄桜鬼』製作委員会







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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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