2023年7月9日(日)に東京・よみうり大手町ホールにて高橋悠也×東映シアタープロジェクト TXT vol.3『TQY(トイ)』が開幕した。初日前には公開ゲネプロと会見が行われ、小西詠斗、近藤頌利、木原瑠生、中山咲月、田倉暉久(THE SUPER FRUIT)、高本学、松本利夫(EXILE)、高橋悠也(作・演出)が登壇した。
本作は、高橋悠也×東映シアタープロジェクト TXT vol.1『SLANG』(2019年)、vol.2『ID』(2021年)に続く、“TXT(テキスト)”シリーズの第3弾作品。現在テレビ朝日系で放送中の『仮面ライダーギーツ』や、『仮面ライダーゼロワン』『仮面ライダーエグゼイド』などでメインライターを務める高橋と、仮面ライダーシリーズを手掛ける「東映」が手を組み、新たなコラボレーション作品を生み出していくプロジェクトの完全オリジナルの新作となる。
出演は、ヘロー役に、舞台『刀剣乱舞』維伝 朧の志士たちへの出演以降、映画・舞台で活躍する小西詠斗。バン役に、「劇団 Patch」メンバーで数々の舞台・ミュージカルに出演している近藤頌利。フォワードエムブイピー役に、『魔進戦隊キラメイジャー』キラメイイエロー/射水為朝で人気を博し、俳優・シンガーとしても活躍する木原瑠生。スキー役に、『仮面ライダーゼロワン』で亡/仮面ライダー亡を好演し、映画・舞台と活躍の幅を広げている中山咲月。ジューシー役に、舞台初出演、俳優デビューの男性版清純派グループ”THE SUPER FRUIT”の田倉暉久。ゼット役に、ミュージカル『ヘタリア』プロイセン役で注目を浴び、以降も話題作に立て続けに出演を果たしている高本学。ドクターエックス役に、「EXILE」のパフォーマーを卒業後も役者業を中心に活躍する松本利夫。
舞台は、色とりどりのTOY(おもちゃ)があふれる一室に、6人の男たちがいるところから始まる。誰もがTOYで遊ぶことを卒業した大人たち。わけも分からない6人に、謎の声が響く。その部屋はある不審死事件が起きた現場で、集められた彼らは皆、その部屋を出入りしたことがある事件の重要参考人だという。そして、その部屋の大家に仕組まれて集められていたという彼らは、不審死事件の真相解明を課せられる。それぞれの事情を抱えた彼らによる舌戦が繰り広げられる中、やがて彼らは部屋に仕組まれた秘密に気付いていく・・・。
TXT vol.1『SLANG』では夢を配信する世界、vol.2『ID』では感情をIDとして与えられたアバターが存在する世界を舞台としていたが、本作は色とりどりのTOY(おもちゃ)があふれる一室で繰り広げられる密室推理劇。人の心の中に宿るTOYを解き明かす新感覚サスペンスに、高橋がある一種の哲学とファンタジーを加え、現実(リアル)と物語(フィクション)が交錯するドラマを言葉巧みに表現し、7人のキャストたちと、劇場のライブ体験の中で生まれる演劇ならではの“言葉”を届ける。
演出の高橋は、本作への手応えについて「上演決定の告知から開幕まで、舞台というカテゴリーの中でも異例な速さだと僕は思っているんですが、“鉄は熱いうちに打て”という言葉もありますが、“舞台も熱いうちに打て”という言葉があるとしたら、こんなにホットな状態でお客さんに届けられる舞台はこの作品においてないと思ってますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。それと同時にまだ冷めてないんで、観る人によったら火傷しちゃうかもしれないです」と笑顔で自信を覗かせた。
松本が演じるドクターエックス以外の密室に集められた6人は、それぞれがワケありで、見た目や性格もバラバラの個性豊かすぎるキャラクターたちとなっている。座組の印象について、高橋は「全体の印象としては稽古の初期の頃は比較的皆さんおとなしいというか、僕もあんまり社交的なほうではないので、お互い距離感を探りながら稽古をしたような感じがしました。だけど、場当たりの後にいろいろキャラ作りが盛り上がって、小屋入りしてから急に空気が引き締まって、距離感が縮まって、これから本当にこのメンバーで作っていくんだっていう実感が湧いています。スロースターターでもエンジンかかったらすごいトップスピードなんじゃないのというようなメンバーになっています」と褒め称えた。
物語の中心的な役回りとなるヘローという役について、小西は「とても元気でとてもまっすぐな青年で、純粋なんですけどすごい不器用。子どもの頃からヒーローに憧れていて、すごい正義感もあるんですけど、ヒーローのアルファベットの綴りを間違えちゃうようなそんなアホな子です(笑)」とアピール。
また、見どころについて「悠也さんの個性的な世界観に皆さん巻き込まれながら、劇場で投げかけられる問いを一緒に考えてください。そして、僕たちが稽古でテンポや間とかの有効な使い方をすごく意識して作ったので、そういうところを観ていただきながら、僕自身には感情的なシーンだったりが多いので、そこはぜひ観ていただけたらなと思います」と挙げた。
そんな小西に対して、高橋は「詠斗が今回、ヘローという役をやってくれて、本気の大人のごっこ遊びを舞台でやるというコンセプトにあたって、普通に大人がごっこ遊びをやるだけだと寒い雰囲気になってしまうかもしれないですし、危険性もある中で、彼の中にある少年性っていうか、その本気の子供心とか童心というものを表現してくれて、もう彼がいなければこの舞台は成り立たなかった、そういう舞台だと思います」と絶賛。
フォワードエムブイピー役の木原は、自身の役柄について「役名からサッカーにまつわる役ではあるので体育会系のところだったり、仲間思いな部分もありつつ、ちょっと天然なところが愛らしいなとは思っています」と解説しつつも、「場当たりが終わってゲネプロまでの間で、たくさんのことをキャストの人たちからアドバイスを頂いて、すごく研究をさせていただきまして、この役は僕自身どうなるか分かっておりません(笑)。そういうのもあるんですけども、フォワードエムブイピーの良さを残しつつ、日々新しいものを見つけていけたらいいなと思っております」と意気込みを語った。
バン役の近藤は「ものすごい説明台詞だったり、急にいろいろ推理しだしたりと難しい言葉とか使ったりしていて、見てのとおりスーツ姿なのでわりと堅い役で、なかなかない経験なのでそういうのも楽しみながら本番へ挑めたらと思っております」と意気込みを披露。続けて、推しのキャラクターについて「一番の推しはフォワードエムブイピーです(笑)。ものすごい笑いを取れたり、そういう愛しいキャラなんです。僕のキャラは笑いを取るシーンはありませんので笑いを取るといつも嫉妬の目で少し、心の目はそっちに向いてるのかなと思ってます」と笑顔でコメント。
スキー役の中山は「スキーは物語を動かしていくというよりかは、動かしていくみんなの感情を一緒に共感していくいくようなキャラクターです」と役柄について語り、本作の見どころについて「スキー自身がいろんなキャラクターに感情移入して共感していくキャラクターなので、スキーの目線になっても面白いですし、他のすべてのキャラクターの目線で観ても面白いと思いますので、何度でも観ていただけてるような作品になったんじゃないかなと思います」と語った。
ジューシー役の田倉は「最年少感がありながらも少しちょっと背伸びした大人になるぐらいの僕のイメージではそういう感じの男の子です。僕が今19歳でちょうどその時期かなと思っていて、非常に演じていて興味深くて今も楽しく演じさせていただいてるキャラクターなので、そういった部分で見守っていただけたらなと思います」と期待を寄せ、「個性が本当にバラバラな登場人物たちなんですけど、そういった人たちがこの90分くらいの舞台の中でどういう風に変化して成長していくのかそういった部分を楽しんでいただけたらなと思います」と訴えた。
ゼット役の高本は「ゼットという役は暴力的というか、アクティブなキャラクターなので、そこを前面に押し出していきつつも、始めの方は結構ふわっと笑えるシーンとかあったりするので、始めのシーンでちょっと皆さんの心をつかんで、後半どんどん密室推理劇を届ければいいなと思います」と期待を抱きつつ、「お客様がこの推理劇を一緒に考えて、謎解いていくというのがすごく面白いなと思うので、僕らと登場人物になったつもりで一緒に観劇してくださると嬉しく思います」と呼びかけた。
そして、謎の存在であるドクターエックスを演じる松本は、本作の魅力について「ある意味、群像劇のワンシチュエーションの芝居なので、キャラクターが立っていく、そしてセリフのやり取りがある中で、そのセリフの表面的な部分もそうですけど、やっぱり裏側を見ていくと、観ている人も次どういう展開になっていくんだろう、どう変わっていくんだろうっていう面白い目がどんどんでてきて引き込まれていくんじゃないかなと思っております」と語り、「その中で、初日を迎えるということでいろいろと修正しながらも1ステージ、1ステージを大切に、そしてクオリティーの高いものを作り上げていきたいです」と意気込んだ。
シリアスなサスペンスさとコメディー的な笑いのバランスが生み出す、6人プラス1の目の離せないワンシチュエーション密室推理劇。心の中に宿るカラフルなおもちゃ“TOY”と問い“Q”によって、物語(フィクション)から現実(リアル)が徐々に、そして後半はジェットコースター的な展開で明かされていく。
現実(リアル)と物語(フィクション)が交錯し、何が真実で何が虚構なのか。TXTシリーズ最新作として、高橋演出によるライブ感あふれる演劇ならではの“言葉”が劇場で綴られる。
高橋悠也×東映シアタープロジェクト TXT vol.3『TQY(トイ)』は、7月19日(水)まで東京・よみうり大手町ホールにて上演。上演時間は約1時間30分(休憩なし)を井予定。
(取材・文・撮影/櫻井宏充)
あらすじ
色とりどりのTOYで溢れる一室。
そこに集められた6人の男。誰もがTOYで遊ぶことを卒業した大人たち。
その部屋はある不審死事件が起きた現場──いわゆる事故物件だった。
集められた彼らは皆、その部屋を出入りしたことがある事件の重要参考人であり、その部屋の大家に仕組まれて集められていた。
彼らに課せられたのは不審死事件の真相解明。
この問題を無視できないそれぞれの事情を抱えた彼らによる舌戦が繰り広げられる。
やがて彼らは部屋に仕組まれた秘密に気付いていく。
──やがて浮き彫りになるのは、人を玩具のように弄ぶ者の業。
──大人になっても心の中に住んでいる子供は、純粋に、残酷に、玩具を弄ぶ。
──玩具を手放すことが、僕たちの生きる道なのか?
高橋悠也×東映シアタープロジェクト TXT vol.3『TQY(トイ)』公演情報
上演スケジュール
2023年7月9日(日)~7月19日(水) 東京・よみうり大手町ホール
スタッフ・キャスト
【作・演出】高橋悠也
【出演】
小西詠斗 近藤頌利
木原瑠生 中山咲月 田倉暉久(THE SUPER FRUIT)
高本学/松本利夫(EXILE)
公式サイト
【特設サイト】https://www.txt-theater.jp/
【公式Twitter】@project_txt