青春POP ROCKミュージカル『ルーザーヴィル』が、2023年3月5日(日)に東京・新橋演舞場にて開幕した。初日前には会見と公開ゲネプロが行われ、主演の井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)、本髙克樹(7 Men 侍/ジャニーズJr.)、高月彩良、青野紗穂、山本涼介らが登壇した。
本作は、イギリスのロックバンドSon of Dorkのデビューアルバム「Welcome to Loserville」の曲を使用したジュークボックスミュージカルで、“ヲタク”な高校生たちの日常や恋愛模様を明るくコミカルに描く。まるでライブを観ているかのような臨場感あふれる演出は、ロンドン・ウエストエンドで上演されるやいなや大ヒットとなり、2013年にオリヴィエ賞・ベストミュージカル賞にノミネートされ高い評価を得た。
物語は1971年のアメリカ。“負け犬”の名前がついた町「LOSERVILLE」で暮らす主人公でコンピューターヲタクのマイケルが、SFヲタクの親友ルーカスをはじめとする個性豊かな仲間に支えられて奮闘する。
主人公マイケルを演じるのは、本作で単独初主演となる井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr.)。親友ルーカスは本髙克樹(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)が演じる。また、マイケルの恋の相手で頭脳明晰な転校生・ホリーを高月彩良、マイケルと対立する町一番の金持ちで学内でも権力を持つエディを山本涼介が、エディの恋人でチアリーダーのレイアを青野紗穂が務める。演出は、多種多様な舞台作品を手がけ、東京2020パラリンピック開会式の演出でも大きな話題を呼んだウォーリー木下が担当。
初日前に行われたゲネプロでは、70年代のテクノポップを彷彿とさせる舞台セットと、Son of Dorkの爽やかで疾走感のあるキャッチーなサウンドが物語の世界観を引き立てる。スクールカーストの中で“好き”な物や事を大声で言えない“ヲタク”高校生たちがもがき、ぶつかいり合いながらも、夢に向かって奮闘し成長していく姿は観る人たちの心を熱くする。
また、作中に潜んでいるSFワード(映画スタートレックシリーズの台詞など)には作者のSF愛をそこかしこに感じる。人からどう観られるかの評価よりも、自分の好きなものを信じる主人公たちがハンドマイクを手にして客席に向かって歌う姿に胸が打たれた。
会見では、初日を迎えた意気込みを主演の井上が「無事に初日を迎えられたことを嬉しく思います!今回はライブ感と言いますか、ハンドマイクを持って歌うシーンもあったりするのでそこにもぜひ注目していただけたらなと思っております」と熱く述べた。続いて本髙が「同世代の方が多い舞台ですし、みんなと仲良くして、もちろん井上とも仲良くやっていますので!親友の関係性もぜひ舞台で注目していただけたらなと思っております!」と語った。
本作が単独初主演となる井上だが、座長という立場にたいして「非常に緊張してますね!プレッシャーと言いますか。『少年たち』という舞台で新橋演舞場には何回か立たせてもらったのですが、その時は“みんなで座長”(2021年、2022年にHiHi Jetsと美少年が主演を務める)という感じでやらせてもらったので。今回は初の単独ということですごくプレッシャーと責任を感じています。だけど、本当に皆さんにたくさん助けていただきながら何とかここまで来れたという感じ。座長っぽいことが何一つ出来ていなくて、千秋楽までには皆さんに恩返しできたらな、と思っています」と語る井上だが、恩返しのプランでTシャツを作っていると吐露する。
「僕も半分出資してるんで、僕も入ってます!」と本髙が食い気味に話すと、「昨日、本髙にあのTシャツ僕も作ったことにしていい?って言われて(笑)」と井上が暴露するシーンも。
また、今年1月に行われた制作発表会で井上はメンバー(HiHi Jets/ジャニーズJr.)に、本髙は坂本昌行(20th Century)にそれぞれ楽屋のれんをお願いしたいと口にしていたが、初日を迎えどうなったかを尋ねると・・・。井上は笑顔で「くれなかったです!僕の楽屋、今丸見えです!のれんなしです!」と言い切った。「一応お願いはしたんですけど(笑)。でも、今ありがたいことにメンバー全員色んなお仕事をさせてもらっていて忙しいので、少し寂しいですけど・・・。まぁまだ2ヶ月あるので、待ってます!」と話した。
また、本髙も「そうですね、大先輩ですし・・・。ふわっと言わせて頂きますけど、3月5日時点で僕の入り口の通気性はめちゃめちゃいいです(笑)!もしかしたら後々届くかな、と・・・まぁお忙しいので!」と2人ともそれぞれ笑いを含みながら、のれんを心待ちにしている様子を伺わせた。
人見知りで有名な井上だが、“本髙と気まずい”と制作発表で話していた様子は今ではもう無いらしく「もう大丈夫?」と本髙が聞くと、「もう・・・っていうか!その時も全然気まずいとかじゃなくて!今は本当に頼りっきりですね。マイケルとルーカスの関係性に近い。タイピングとか分からないので、どこにどの文字があるとか本髙に聞いたりして練習しました!」とすっかり打ち解け様子を見せた。
最後に作品の見どころとファンへのメッセージを井上が「それぞれの(登場人物の)パッションといいますか、キャラクターの熱が出ている。冒頭でも言わせていただいたんですが、ライブ感満載。客席に向かって歌うシーンもすごく多いですし。今回銀テープが出るんですよ!ミュージカルで銀テープが出るって新しいのかなって。本当に、客席の皆さんが手拍子だったり身体が動いてしまうような楽曲がたくさんあるので!皆さまが心踊るような作品になっていると思うので、ぜひ劇場に足を運んでくださったらなと思っています!皆さん僕たちに会いに来てください!」と熱く締め括った。
青春POP ROCKミュージカル『ルーザーヴィル』は2023年3月5日(日)から3月22日(水)まで東京・新橋演舞場にて上演後、大阪・広島・愛知を巡演する。
(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)
青春POP ROCKミュージカル『ルーザーヴィル』公演情報
【東京公演】2023年3月5日(日)~3月22日(水) 新橋演舞場
【大阪公演】2023年4月6日(木)~4月16日(日) 大阪松竹座
【広島公演】2023年4月20日(木)・4月21日(金)上野学園ホール
【愛知公演】2023年4月26日(水)~4月30日(日) 愛知県 御園座
スタッフ・キャスト
【脚本・音楽・歌詞】エリオット・デイヴィス&ジェイムズ・ボーン
【演出】ウォーリー木下
【翻訳・訳詞】福田響志
【音楽】NAOTO
【振付】梅棒
【出演】
井上瑞稀(HiHi Jets/ジャニーズJr)
本髙克樹(7 Men 侍/ジャニーズJr)、高月彩良
塩田康平、島太星、高嶋菜七、柴原直樹、鈴木凌平、Ema
青野紗穂、山本涼介
熊澤沙穂、鳥居留圭、焙煎功一、東倫太朗
森本さくら、山本咲希、横山祥子、米澤賢人
<スイング>
伊藤里紗、西尾郁海