2022年9月14日(水)に東京・CBGKシブゲキ!!にて、三人芝居『オブセッション』が開幕した。本作は、加害者と被害者だったはずの男2人が、憑依した彼女を通し、不思議な絆を芽生えさせていく・・・そんなやりとりを描いたドタバタ憑依コメディ。出演は本田礼生、赤澤燈、大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)。脚本を映画『春待つ僕ら』『リベンジgirl』のおかざきさとこ、演出を演劇集団 Z-Lion の粟島瑞丸が務める。
物語の舞台となるのは、とある廃屋。事故で最愛の彼女を失くした三原雄吾(赤澤)は、親の力で事件を揉み消した加害者の曽根崎勇(本田)を恨み、監禁して殺そうとする。しかし、なんと曽根崎にはその最愛の彼女が憑依していた。曽根崎を殺そうとすると愛する彼女が出てきて、殺したいけど殺せなくなってしまう三原。同じく曽根崎の命を狙う柳(大内)も現れ、三原は殺したいほど憎い曽根崎を守る羽目になってしまう。
「おまえが今やるべきことはおれを殺すことじゃない。・・・おれを守ることだ!!」
不思議な協力関係となる三原と曽根崎。やがて彼女が曽根崎に憑依した衝撃の理由が明らかになっていく。思わぬ展開に、加害者と被害者だったはずの男2人は、憑依した彼女を通し、不思議な絆を芽生えさせていく。殺したいけど、殺せない。そのままでいてほしくないけど、そうじゃない。人と人はどうつながって、人は人を通じて、どう変わっていけるのか――。
昨今、さまざまな“バディもの”が人気を博しているが、こんなバディは見たことがない。結婚間近の恋人を失った男と、その恋人を車で轢いてしまった男。なぜ被害者の恋人と加害者が相棒になったのか。その理由に、この作品の面白さがつまっている。
最初は、復讐が目的だった。廃墟の一室に曽根崎を監禁し、銃口を向ける三原。だが突然、曽根崎の体に死んだ恋人・愛の魂が憑依する。ここで曽根崎を殺したら、もう愛と話せない。なぜ愛の魂は今も現世を彷徨っているのか?愛がこの世に残した無念の正体を、三原は曽根崎と力を合わせて探ろうとする。その中で生まれてくる2人の不思議な友情が、観客の心を温かく包み込む。
見どころは、本田と赤澤の息の合った掛け合い。愛との出会いから延々と熱弁する三原と、それを無理矢理聞かされる曽根崎。照明に照らされて自分の世界に浸っている赤澤と、それに対する本田のキレのいいツッコミが客席を温める。愛が憑依してからは、笑いのギアがさらに上がる。愛だと思って三原が近づくと、急に曽根崎の人格に戻
る。自分を殺そうとしている三原の顔が目の前にあることに驚く曽根崎のリアクションと、あっけにとられる三原の姿がコミカルで楽しい。何かあるたびに曽根崎の頭に銃口を突きつけて脅すなど、お約束のネタも散りばめられていて、安定感のある笑いにすっかり心がほぐされていく。
三原同様、曽根崎の命を狙っている柳が加わってからは、笑いの構造がより多層的に。曽根崎とタッグを組んだことを柳に知られたくない三原は、柳が顔を出すたび、曽根崎を痛ぶっているフリをする。そのドタバタ感に思わず笑いが漏れ出ることだろう。曽根崎役の本田は、愛が憑依した時の切り替えが実に見事。声はもちろん座り方や手の使い方まで女性らしくて、その愛らしさについ口元が緩んでしまう。
三原役の赤澤は思い込んだら一直線の性格と、奇想天外な状況に振り回される姿がおかしみを誘う。「悲劇は喜劇」とはよく言う話だが、三原が可哀相になればなるほどつい笑ってしまうところも、この作品の楽しさだ。曽根崎殺しにイキイキと顔を輝かせるベテラン・大内も、いいスパイス。飄々とした空気で作品に軽やかさをもたらしながら、終盤はピリッと引き締める。
公開ゲネプロ前に行われた会見には、本田、赤澤、大内、演出・粟島の4人が登壇。本田が「人と人が距離をとらないといけない時代なんですけど、より濃密なものを観てくださる方々に届けたいです」と口火を切ると、赤澤は「あらすじと出演者とスタッフのクレジットしか出てない状態でお客様にたくさんのチケットを買っていただいていることがとてもありがたいことだなと感じています。その期待に応えられるように、初日から千秋楽までがんばりたいです」と意気込んだ。
感染対策として、現在は客席での私語が禁止されているが、そんな中で「ついつい大声を出して笑っちゃうような初日になれば」と大内が胸を膨らませると、粟島も「“人を楽しませるためには自分たちが楽しまないと”をモットーに、全力で初日を迎えたいと思います」と意気込んだ。
さらに作品の見どころについて、本田は「物語がスタートから二転三転四転していくところ」と述べ、「観ている方によって感情移入するシーンも違えば人も違うと思うし、自分ももしかしたらこういうことがあったなって思うような瞬間もあります」と作品の普遍性を強調。その上で「普通じゃあり得ないズレやシチュエーションが面白い作品だと思っています」とドタバタコメディらしい魅力に自信を覗かせた。
赤澤は、死んだ彼女の魂が本田演じる曽根崎に乗り移るという物語の設定に触れ、「僕の彼女が本田礼生というところが見どころかな」とニヤリ。大内は「昨今、詐欺が横行していますけど、いちばん信頼できる人物に対して本当に信頼していいのかという、社会の問題に切り込んだ作品になっているかもしれません」とぶち上げ、共演者たちから「そうなの?」と笑いを誘っていた。
粟島は出演者の3人について「とにかく3人はお芝居が大好き」と語り、「個々で話し合って新しいものを稽古で出してくれる」とコメント。「3人から生まれたネタがたくさんあった。3 人の役者魂が魅力です」と胸を張った。
また、本作ではライブ配信の実施も決定している。本田が「見ていただきたいポイントを明確にカメラが抜いているので、作品の魅力がすごくストレートに伝わるんじゃないかな」とライブ配信の醍醐味を挙げると、赤澤も頷いて「配信だとおうちでリラックスした状態で観れますから。何か食べながら観たり飲みながら観たりもできるだろうし、細かいところも観ていただけると思います」と補足。アーカイブ配信なら観る時間帯も選べることから「劇場では開演時間が決まっていますが、『夜中に舞台が観たいんだ私は!』っていう人もいるかもしれません。そういう方にもいいかもしれない!」とフリースタイルな観劇の楽しさをアピールしていた。
ゲネプロを直後に控える本田は「コメディのゲネプロ。演劇界でいちばん怖い言葉なんじゃないかなと僕は思っているんですけど」と苦笑い。「少しでも面白いと思ったらぜひぜひ笑っていただけると、僕たちの自信にもつながるし。万が一ひとつも笑いが起きなかったときは初日押してもいいんじゃないかと思っている」と怯えつつ、「密な劇場で演劇を観ていただくことが難しい時代ですけど、空間を共有して楽しんでいただけたら」と笑顔で呼びかけた。
上演時間は90分とコンパクト。良質な笑いと、手練れの役者たちによるアンサンブルを楽しみたい人にオススメの1本だ。三人芝居『オブセッション』は9月14日(水)から9月19日(月・祝)まで東京・CBGKシブゲキ!!にて上演。ライブ配信は、初日9月14日(水)19:00公演と、千秋楽日9月19日(月・祝)の13:00公演と17:00公演の全3公演で行われる。各公演終了後7日後までアーカイブ配信あり。
また、本作品のDVDが12月23日(金)に発売することも決定。東映 ONLINE STORE(https://www.toei-onlinestore.com/)にて期間限定で限定予約版の受注受付が行われる。受付期間は11月27日(日)23:59まで。受注受付の限定特典として、全アフタートークを収録したDVD付き(2枚組の限定予約版の仕様)。同受注受付期間に、東映にて製作・上演した2つの舞台演劇作品、二人芝居『息子の証明』と、S-IST Stage『ひりひりとひとり』のDVD限定予約版の受注販売もあり。
三人芝居『オブセッション』公演情報
上演スケジュール
2022年9月14日(水)~9月19日(月・祝) 東京・CBGKシブゲキ!!
スタッフ・キャスト
【脚本】おかざきさとこ
【演出】粟島瑞丸
【出演】
本田礼生 赤澤燈/大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)
ライブ配信
【配信プラットフォーム】
Streaming+(https://eplus.jp/obsession/)
LIVE STREAMING(https://l-tike.com/obsession/)
【視聴チケット】4,400円(税込)
【ライブ配信公演回】
9月14日(水)19:00 特典映像付き配信(特典映像:メイキング)
アーカイブ視聴▶9月21日(水)23:59 まで
販売期間▶9月21日(水)22:00まで
9月19日(月・祝)13:00 特典映像付き配信(特典映像:本田礼生・赤澤燈 対談)
アーカイブ視聴▶9月26日(月)23:59まで
販売期間▶9月26日(月)22:00まで
9月19日(月・祝)17:00 千秋楽特別配信
アーカイブ視聴▶9月26日(月)23:59まで
販売期間▶9月26日(月)22:00
DVD情報
三人芝居『オブセッション』DVD限定予約版
【仕様】限定予約版:8,800円(税込)
【発売日】12月23日(金)
【受注受付期間】11月27日(日)23:59まで
※上記発売日はお届け予定日/発売日以降、随時発送
【限定予約版収録内容】
本編(約100分予定)
映像特典ディスク(計70分予定)
アフタートーク集
メイキング ほか
【受注販売】東映 ONLINE STORE(https://www.toei-onlinestore.com/)