2022年3月に、加藤シゲアキ主演、横山拓也作、ウォーリー木下演出の舞台、PARCO PRODUCE『粛々と運針』の上演が決定した。初タッグで、小さなドラマに隠れた大きな命の物語に取り組む。
脚本を手掛けた横山は、演劇ユニットiakuを主宰し、鋭い観察眼と綿密な取材を元に人間や題材を多面的に捉え、緻密な会話を丁寧に積み上げながら、時にはコミカルに小気味よいタッチの会話劇を得意とする劇作家。
そして、演出のウォーリー木下は、海外の演劇祭、国際フェスティバルでも高く評価されており、“人間”に温かいまなざしを向けた豊かで緻密な描写が持ち味。
『粛々と運針』では、2つの家庭を通して、命とは誰のものか、そして、どんな始まりと終わりが望ましいのか、答えの出ない根源的な問いかけがなされる。
主演の加藤が演じるのは、描かれる二つの家庭の一つ、築野家の長男・一(はじめ)役。今年4月に上演されたパルコ・プロデュース『モダンボーイズ』で、葛藤する主人公の心情を繊細にそして熱く演じた加藤が、横山、ウォーリー木下と初顔合わせで、さらなる新境地を切り開くか、注目だ。
また、築野一の弟・紘(つなぐ)役には須賀健太が決定。このほか、徳永えり、多岐川裕美らが出演する。
PARCO PRODUCE『粛々と運針』は、2022年3月8(日)から3月27日(日)まで東京・PARCO劇場、4月8日(金)から4月10日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
チケットは、東京公演が2月5日(土)、大阪公演が3月13日(日)よりスタート予定。
コメント紹介
◆加藤シゲアキ
時間は人に寄り添い、しかし無情に、一定のリズムで進んでいく。
全ての人はそれに翻弄され、喜劇と悲劇を知らず知らずのうちに生み出している。
運命めいたいくつもの時が織りなされて、描かれる家族の物語。
演劇でしか表現できないこの「粛々と運針」という戯曲に、ひとつの編針として参加できること、心より光栄に思います。
◆横山拓也(作)
2017年に新宿の小さなギャラリーで生まれた『粛々と運針』が、加藤シゲアキさんを主演にPARCO劇場で上演されることになるなんて、そんなスケールアップのパターンがあるのかと驚いています。加藤さん演じる長男・一(はじめ)という役は、僕自身であり、誰にも思い当たるところがある「情けない自分」です。本作に登場する人物たちは、みんな強さに憧れながら、自身の脆さと戦っています。きっとどこかに皆さん自身を感じるはずです。旧知の中でありながら、劇作家と演出家の関係でガッツリと組むのは初めてのウォーリー木下さんが、どんな手つきで立ち上げてくれるのかも楽しみです。
◆ウォーリー木下(演出)
初演の『粛々と運針』を見た時のことはよく覚えている。会場は新宿の小さなギャラリーで、道に迷いながら辿り着いた。お客さん同士の肩が当たるくらいの大きさで、その親密性もあいまって、その芝居は「秘密のお茶会」のような緊張と優しさに溢れたものだった。今まで見たどの横山くんの作品とも違っていて驚いたし嬉しかった。その興奮で帰り道もまた迷った。
横山くんとは20年以上の付き合いだと思うけど、はじめて彼のホンを演出させてもらう。人物を描きながら世界の歪みと明るさを同時に描ければと。
加藤さんをはじめとする一癖も二癖もあるキャスト陣と、濃密で温かな空間を作り出せることを今から楽しみにしている。
あの時の僕のように観客の皆さんを帰り道迷わすつもりで。
PARCO PRODUCE『粛々と運針』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年3月8(日)~3月27日(日) PARCO劇場
【大阪公演】2022年4月8日(金)~4月10日(日) 森ノ宮ピロティホール
スタッフ・キャスト
【作】横山拓也
【演出】ウォーリー木下
【出演】
加藤シゲアキ
須賀健太 徳永えり/多岐川裕美 ほか
あらすじ
築野家。一(はじめ)は弟・紘(つなぐ)と二人で母を見舞う。病室で母から紹介されたのは、「金沢さん」という初対面の初老の紳士。父が死んだあと、親しい仲らしい。膵臓ガンを告知された母は、金沢さんと相談の結果、穏やかに最期を迎えることを選んだという。まだ治療の可能性はあるのに。
田熊家。平均寿命くらいまで支払いを続けたら自分のものになる小さな一軒家を去年購入した沙都子と應介。その家のどこかで子猫の鳴き声がする。早く助けてあげたいけど、交通事故で頸椎を痛めた應介はケガを理由に探してくれない。そしてお腹に新しい命を宿しているかもしれない沙都子は不思議なことにこの話の切り出し方が分からない・・・。
平凡な生活の内に潜む二つの家の葛藤を、周到な会話で縫い合わせるように描き出す命の物語。
【パルコ公式サイト】https://stage.parco.jp/