紅ゆずるがレットからスカーレットに!五関晃一、寺西拓人らによる朗読劇『風と共に去りぬ』レポート

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2024年2月2日(金)に東京・I’M A SHOWにてClassic Movie Reading Vol.2『風と共に去りぬ』が開幕した。初日前日には公開ゲネプロと囲み取材が行われ、紅ゆずる、五関晃一、寺西拓人、野坂実(演出)が登壇した。

邦画・洋画問わず、世界で語り継がれているような名作映画を、映像や創作的な演出で朗読劇としてシリーズ化している「Classic Movie Reading」。第1回目は2023年11月に『ローマの休日』と『自転車泥棒』を上演し、今回が第2弾となる。

紅ゆずるがレットからスカーレットに!五関晃一、寺西拓人らによる朗読劇『風と共に去りぬ』レポート

『風と共に去りぬ』はマーガレット・ミッチェルの同名ベストセラーを、ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルの共演で映画化し、1939年に製作。翌1940年の第12回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞など10部門に輝いた不朽の名作。

主演のスカーレット・オハラ役を演じるのは元宝塚歌劇団星組トップスターの紅。レット・バトラーを演じるのは五関、アシュリー・ウィルクス役に寺西。そして、メラニー・ハミルトンを平田裕香が演じる。

演出は、ノサカラボの代表であり、『アガサ・クリスティ作品』や『神津恭介シリーズ』などミステリー作品を多数手がけ、緻密な伏線を敷いたシチュエーションコメディにも定評のある野坂、脚本をClassic Movie Reading Vol.1『ローマの休日/自転車泥棒』の脚本も手がけた開沼豊が務める。

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囲み取材では、まず紅が、ゲネプロと合わせて5回目の稽古が朗読劇としては多いほうだということに驚きつつも、「お稽古は朗読劇にしては十分にしているみたいでございます(笑)。なんですけれども、まだまだ課題がございますので、初日の3分前ぐらいまで練りたいなと思ってますので、よろしくお願いいたします」と挨拶。

人見知りだという五関は、課題について「稽古5日目ということで、まだ5日間しか共演者の方やスタッフの方たちと会ってないので、心を通わせられていない方が何人かまだいるので、その方たちにバレないように、気づいたら心を通わせてるという、カンパニーとして1つになりたいなというのか課題ですね(笑)」と挙げると、「ギクシャクした感じは絶対に見せないっていうのが意気込みです(笑)」と意気込んだ。

寺西は「本番は本当に風のように過ぎ去ってしまうぐらい、あっという間に終わってしまうと思うので、噛み締めてやりたいなと思います」と意気込みを披露。

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野坂は笑いの絶えない稽古場だったと振り返りながら、ダメ出しの量が多かったという話しになると、五関から「ダメ出しが多いのは僕らとしてもありがたいんですけど、野坂さんのダメ出し(のスピード)がほんと速くて」とコメントした。

その点について、野坂が「最速で出さないと、皆さんの拘束時間が長くなっちゃうと思って。でも、皆さん誰1人置いてかれることもなかったと思います」と答えたものの、寺西からの「僕は完全に置いてかれてました。やっと言えた(笑)」との言葉に登壇者たちも爆笑。

そして、「Classic Movie Reading」という本作の演出について、野坂は「小説が映画化されたものなので、本当なら小説から持ってくるのが筋なんでしょうけれども、映画で抽出されたものを朗読に置き換えるということなので、本作の最初に映像として映画のフィルムが流れてから朗読の本に切り替わって物語が展開していく。それで、物語が全部終わったら、朗読の本が映画のフィルムに戻っていくという、映画からお話を借りていくというコンセプトにしました」と解説した。

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宝塚の現役時代にはレット役を演じていた紅。今回のスカーレット役について、「最初に台本を見た時に、どうしてもレットのとこを読んじゃうんですよ(笑)」と思い返しながら、スカーレットを演じることについて「私がレットだったらスカーレットのこういうところが可愛いなと思うだろうなとかいう風に考えたりしました。2人は生きてるペースが違う感じで、レットは大きな視野で見てるんですけど、スカーレットはその時その時を喜怒哀楽で激しく感情を出しているんです。その姿がレットから見たらものすごく可愛く見えるんだと思います。レットを演じたからこそのスカーレットが演じたいというのはあります」と打ち明けた。

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続けて、「私のファンの方、そして宝塚ファンの方は、『風と共に去りぬ』と『ベルサイユのばら』は2大作品だと思いますので、私もレット・バトラーをさせていただいた時にめちゃくちゃプレッシャーを感じた思い出があるんです」と当時を振り返り、「懐かしいなと思いながら、だけど懐かしがってる場合じゃないので、頑張ります(笑)」と気を引き締めた。

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そのレットを演じた紅のコメントを受けて五関は、「たくさんの方々に愛された役だったので、プレッシャーもちろんあったし、こうやって実際に演じた方がいらっしゃるっというのはすごく意識しました。もしかして(紅が)心の中で『レットはそうじゃないんだよな』って思われてるかなとか、『私のレットだったらこうするけどなみたいな』と思われていたんじゃないのかなと(笑)」と告白しつつ、「ただ、だんだん僕の中でのレットというのは作れてるかなとは思いますね」と自信を覗かせた。

その一方で、役作りの課題として五関は「稽古中に野坂さんから、声色から入るのではなく、リアクションとかでそこからついてくるものだから、声を変えるっていう役作りはしなくていいですとおっしゃっていただいたんですけど、今日、どうやったらイケメンに聴こえるだろうかと声を探しちゃいました(笑)。本番ではやらないようにします」と笑顔で語った。

以前に出演した朗読劇の経験から、寺西は「当時の朗読劇の稽古は2、3週間やったんです。めちゃくちゃ動いて、セットもあって、なんならもうちょっと振り付けじみたこともしてっていうのがあって、読む力だけじゃない表現ができたんですけど、今回は本当に立つ、座る、読むしかないので、そこに対する自分の中での挑戦がすごく大きいかなと思います」と本作への思いを語った。

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この3人について、野坂は「五関さんはこういう役をなかなかやられないということでチャレンジで、紅さんは逆のことやられるのでチャレンジだということで、この2人でしか出来上がらないものをやろうと作ってきました。寺西さんは素朴な中の魅力みたいなものを持ってらっしゃる方だと思ったので、今回のアシュリー役となった時に『この人来た!』となりました。最強の布陣でお届けできると思ってワクワクしています」と自信を見せつつ、期待を寄せた。

紅ゆずるがレットからスカーレットに!五関晃一、寺西拓人らによる朗読劇『風と共に去りぬ』レポート

囲み取材の最後に、それぞれからメッセージが送られた。寺西は「最強の布陣でお届けさせていただきます(笑)。作品自体とても有名ではあるんですけど、実は見たことないっていう方も結構いらっしゃるんじゃないかなとも思うので、この朗読劇というのをきっかけにして、この作品がまた広がっていったら、僭越ながら嬉しいなと思います。最強なので頑張ります(笑)」とコメント。

五関は「今回、このリーディングという形になることによって、映画の名シーンがギュッとなっていて映画のダイジェスト版みたいになっているので、知っている方も知らない方も絶対に興味を持っていただいて、映画も見たいなと思っていただけると思いますので、ぜひこれをきっかけに興味を持っていただきたいです」と呼びかけた。

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紅は「改めて、『風と共に去りぬ』という作品がこれだけ名作として残っているという意味が今回のリーディングでより感じました。紳士淑女と言われる時代に、スカーレットという人が大暴れして、でも自由気ままにやっていたら、結果、1番大切なものが気付いた時にはもう帰ってこないんだよって。でも、このリーディングでは必ず取り戻すと言ってるので、スカーレットは取り戻すと思います。人間のとても大切なことを教えてくれる作品で、皆様もご自身に置き換えて考えていただける作品だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」と締めた。

「南北戦争」前後のアメリカ南部を舞台に、南部側から見た当時の状況を描き、上流階級のお嬢様であったスカーレットの激動の半生を描く本作。この不朽の名作映画を、当時の南部の紳士淑女を思わせる豪華で煌びやかな衣装、照明やスモークなどのステージ演出により、新しいコンセプトのリーディング作品として、ミステリー作品などの朗読劇を数多く手がけている野坂がステージ上に作り上げている。

アカデミー賞主演女優のヴィヴィアン・リーが演じたスカーレットを、紅が彼女だからこその感情豊かな言葉で紡ぐ。特に2幕目からの深紅に黒のアクセントが映えるドレス姿は、勝ち気で世間知らずのお嬢様から、南北戦争によりたくましく生きなければならなくなった南部女性としてのスカーレットの意志の強さと変化として、彼女の演技をより一層際立たせていて印象的だ。

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そんな紅を中心として、名優クラーク・ゲーブルが演じたレットを南部の伊達男として五関が新境地を見せれば、スカーレットが憧れる青年アシュリーを寺西が優しげな眼差しと言葉で表現。そしてスカーレットの友人でアシュリーの妻であるメラニーを慈愛に満ちた言葉で平田が演じきる。

野坂が囲み取材で語ったように、映画から朗読劇へ、そして朗読劇から映画へとトリップさせる映像演出が、原作映画を知る者には懐かしさを、そして原作映画を見たことがないという者には斬新さを感じさせる新感覚のリーディングスタイルとなっている。

紅ゆずるがレットからスカーレットに!五関晃一、寺西拓人らによる朗読劇『風と共に去りぬ』レポート

Classic Movie Reading Vol.2『風と共に去りぬ』は2024年2月2日(金)から2月4日(日)まで東京・I’M A SHOWにて上演。上演時間は約2時間(休憩あり)。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

目次

Classic Movie Reading Vol.2『風と共に去りぬ』公演情報

上演スケジュール

2024年2月2日(金)~2月4日(日) I’M A SHOW

キャスト・スタッフ

【出演】
紅ゆずる
五関晃一
寺西拓人

平田裕香
ほか

【演出】野坂実
【脚本】開沼豊

あらすじ

舞台となるのは、1861年に開戦した「南北戦争」前後のアメリカ南部ジョージア州。美しくもたくましく生き抜いた女性「スカーレット・オハラ」の激動の半生を壮大なスケールで描いた物語です。大地主を父に持つ勝ち気な娘スカーレットは、思いを寄せる幼なじみアシュリーが彼のいとこと婚約したことにいら立ちを募らせていた。

そんな彼女の前に、素行の悪さを噂される男レット・バトラーが現れる。スカーレットはレットの不遜な態度に激しい憎しみを覚えながらも、なぜか彼に惹きつけられていく。

そんな中、奴隷制度を存続したいがために独立した南部と、合衆国に残った北部とで争いとなる、アメリカ史に残る南北戦争が勃発。

激動の時代の中でスカーレットの運命は大きく翻弄されていく・・・。

公式サイト

【公式サイト】https://gwtw-reading.com/

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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