尾上菊之助「名シーンのオンパレード!」ゲーム初の歌舞伎化『ファイナルファンタジーⅩ』フォトコールレポート

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尾上菊之助「名シーンのオンパレード!」ゲーム初の歌舞伎化『ファイナルファンタジーⅩ』フォトコールレポート

2023年3月4日(土)から、東京・IHI ステージアラウンド東京(豊洲)で、木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』が開幕する。3月2日(木)に初日前会見後と公開フォトコールが行われ、尾上菊之助、中村獅童、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗、中村芝のぶ、坂東彦三郎、中村錦之助、坂東彌十郎、中村歌六が登壇した。

2001年に「ファイナルファンタジー」シリーズの第10弾として発売された「ファイナルファンタジーX」。続編を含め世界累計出荷・DL販売本数は、2,110万本以上(2022年3月末時点)のシリーズ屈指の人気ゲームタイトルを新作歌舞伎として初上演する。

出演は、自ら企画と演出を担当する尾上菊之助をはじめ、中村獅童、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎、中村米吉、中村橋之助、尾上丑之助、上村吉太朗、中村芝のぶ、そして坂東彦三郎、中村錦之助、坂東彌十郎、中村歌六、声の出演に尾上菊五郎と豪華な顔ぶれが揃っている。脚本は連続テレビ小説『おちょやん』などを手掛けた八津弘幸、共同演出は、『ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー』や大規模なライブショーを成功させている金谷かほりが務める。

会見ではまず、主人公ティーダを演じる菊之助が「2020年から始まりましたこのプロジェクトが、いよいよ初日を迎えます。原作の『ファイナルファンタジーX』の世界を尊重しつつ、歌舞伎の世界と融合し、ダイナミックで美しく、心に響くメッセージをお届けできると思っております。原作は日本のみならず、世界にもたくさんのファンがいらっしゃいます。その世界に向けて、互いを思いやり、愛し、諦めない心、前向けな姿勢、亡くなられた方への鎮魂、そして未来への元気をお届けしたいと思っています。演出の金谷かほり先生をはじめ、こころにいらしゃる出演者の皆さん、お一人お一人のお力添えのもと、一場面一場面作って参りました。ぜひ劇場にお越しください」と挨拶。

続いて、アーロン役の中村獅童は「伝説の剣士アーロン!」とキメた後に、「・・・劇場で待ってるね♪」というキメ顔からのお茶目なコメントで、会場を笑いに包んだ。さらに、シーモア役の松也も「エボンの老師となりましたシーモアです」と神妙な自己紹介から、「絶対に面白いよ! 観に来てね♪」と獅童のコメントにかぶせるようなコメントで、会場の笑いを誘った。

原作の再現度も高いと言われている本作。オススメのシーンについて、菊之助は「名シーンのオンパレードになっております。私が関わっているブリッツボールの試合ですとか、ユウナと心を交わすマカラーニャの森のシーン、最後に父親のジェクトと心を通わすシーン、ここはぜひ期待してください」と挙げ、「原作ゲームをお好きな方には、『このシーンを再現してくれたんだ』という感動をお届けできると思っておりますし、歌舞伎ファンの方にも『これが名場面だね』と思ってもらえるような、歌舞伎ならではの、音や立ち回りを工夫しております」と自信を覗かせた。

さらに、歌舞伎ならではの見どころとして、獅童は「『ファイナルファンタジーⅩ』の世界に、歌舞伎の醍醐味である立ち回りや、踊りも入っておりますし、音楽として長唄、そして義太夫といった歌舞伎の醍醐味が原作の世界の魅力を増していると思いますので、歌舞伎を見たことがないお客様も、歌舞伎の上級者の方にも楽しんでいただける舞台となっております」と解説。

アジア初の360度客席回転劇場という特殊な機構を持つIHI ステージアラウンド東京は本年がラストシーズン。出演者の中で、唯一の同劇場での公演経験者である松也は「お久しぶりにこの劇場に立たせていただきますけども、改めてこの劇場の面白さというものを実感しております。この劇場はやはり、お客様が一体となってより没入感を体感していただける劇場だと思っております。この回ることによって、移動ですとか、場面転換の中、一緒に移動しているような感覚になれるんです。それは改めて楽しいですし、僕個人としては前編の最後のバトルの中、まさにこの劇場の特性というものを活かした立ち回りになっております」と魅力を語った。

本作は家族の物語も1つの軸として語られる。その点について、リュックの父であり、ユウナのおじであるシド役の歌六は「私たち親子は他の親子とは違って、そんなに複雑な関係はなく、ただひたすらに娘のリュックが可愛い、姪のユウナが可愛い。心配で心配でしょうがないという、ごくごく普通の親子関係、おじ・姪関係を築いていけたらと思います」と意気込んだ。

ティーダの父親役ジェクトを演じる彌十郎は「子どもに対して、非常に不器用な父親のジェクトパパです(笑)。今月もパッパと呼んでください(笑)」と自己紹介をし、登壇者たちを笑わせた。

ユウナの父ブラスカ役の錦之助は「ブラスカはもうこの世にはいない人間なんですけど、性格が私にそっくりで、家族思いで、娘思いで、こんな聖人君子みたいな人物はいないと思います。まさに錦之助そのものでございます。ぜひその錦之助の姿をブラスカに重ね合わせてご覧ください」と呼びかけた。

原作を尊重しながら歌舞伎としてアレンジされた衣装も見どころの本作。その衣装について、キマリ役の彦三郎は「原作の世界観を壊すことなく、衣装とメイク全てに関わってくださった方々にまず拍手をお送りしたいです」と感謝を述べると、「非常に良い再現ができていると思います。テレビゲームの中から2.5次元を超えて3次元に具現化されたと感じています。その中で、みんなで魂を込めてやっていきたいです」と初日に向けて気を引き締めた。

艶やかな和装アレンジとなっているルールーを演じる梅枝は「ルールー自体は、原作では真っ黒なドレスを着ていますけど、本作の衣装は少し紫の色になっているところが気に入っております。裏地も照明が当たるととても綺麗に光るので気に入っております」と衣装のこだわりを説明。

原作では、非常にきわどい姿のユウナレスカ。演じる芝のぶは「ゲーム自体は非常に薄着と申しますか、やはり歌舞伎の女方としてはちょっと・・・」と原作衣装の説明に言葉が詰まると、登壇者たちからも笑いが起こった。そして、改めて「(原作の衣装そのままは)無理かなという形でございましたので、デザイナーの方が、原作のユウナレスカの第2形態、第3形態を混ぜたようにアレンジしていただいて、本当によく考えていただいたと思います。よく見ていただくとユウナレスカのすべてが詰まっているようになっていますので、その辺もぜひご覧頂けるとありがたいと思います」とアピール。

ユウナによる「異界送り」のPVがSNSで大きな反響を呼んだが、公演内ではどのようなものになるかと尋ねられたユウナ役の米吉は、「PVでは、多くの方に見ていただきまして、見ていただいた数だけ感心、ご興味があるというのはありがたいとのと同時に、本当に期待というか、自分がしっかりと務めていかなきゃいけないという怖さも感じるような次第でございます」と胸の内を明かすと、「PVでは、映像と私の踊りを融合させたものになりましたが、本作では、舞台機構と映像と音楽、あらゆるものが詰まっておりまして、最終的にどうなっているかはぜひ劇場でご覧ください」と訴えた。

ゲーム本編でも印象的な球技ブリッツボールが、どのように歌舞伎として表現されるかを質問された橋之助は「歌舞伎ってかなりぶっ飛んでいることが多いですが、歌舞伎のぶっ飛びらしさを面白く使った演出となっております。殺陣師の方々がいろいろ考えてくださって、菊之助兄さんのティーダも、萬太郎兄さんのルッツも、僕のワッカも見せ場があります。そして歌舞伎作品をオマージュさせるような演出もあります」と解説した。

本作は、歌舞伎初心者には分かりやすい新作歌舞伎となっているが、冒頭に歌舞伎講座もあるという。その歌舞伎講座にも出演する、ルッツ役と23代目オオアカ屋役の萬太郎は、「演出の金谷さんから、最初にお客様とお友達になってほしいとご指示を頂きまして、冒頭のほうに簡単に歌舞伎の決まり事などを解説させていただきます」とコメント。

そして、2月26日に誕生日を迎え、ゲームの『ファイナルファンタジーX』と同い年というリュック役の吉太朗は「僕もゲーム自体は好きで、普段から遊んでいるほうなんですけども、今回初めて『ファイナルファンタジーX』という作品をプレイさせていただきました。今回、皆さんに本作をご覧いただいて、またもう一度ゲームをプレイしていただいたら、もう1つ面白くなると思いますので、ぜひまたプレイしてください。そして、もう一度本作をご覧いただいたら面白いと思います」と本作の楽しみ方を語った。

自ら企画と演出を務めた菊之助。心血を注いだ本作について「2020年のコロナ禍の中、私自身も先行きが見えない中、逆に不安な気持ちになりました。その不安な気持ちを前向きにさせてくださったのが『ファイナルファンタジーX』の世界観でした。パーティーたちが様々な葛藤を描きつつ、一丸となってシンという強大な魔物に立ち向かっていくその心というものが、私生活で落ち込んでいた私に元気をくれました」と振り返ると、「コロナが収まってきて、規制も緩和がなされる未来が見えてきて、明るい希望が見え始めています。その中で、まだ元気がない方、痛手を負ってしまった方や、今、苦境にあえいでる方に対しても、もっと前向きに未来に向けて元気になって、進んでまいりましょうということも含めて、『ファイナルファンタジーX』に含まれているメッセージを私たち人間が演じることによって、より深くお伝えできるのではないかと思っております」と期待を寄せて会見を締めた。

フォトコールでは、オープニング映像と、「シーモアとの戦い」、そして「異界送り」という、前編からの3シーンが公開された。オープニング映像は、楽曲「ザナルカンドにて」をBGMに、荒廃したザナルカンドの映像から、ゲームの冒頭と同様のティーダのセリフが入りタイトルが映し出されるという、IHI ステージアラウンド東京の超巨大スクリーンを余すことなく使用した迫力あるものとなっていた。

次は、「シーモアとの戦い」というバトルシーン。シーモアを演じる松也の口上から始まり、歌舞伎のぶっ返りによりシーモアの衣装が舞台上で一瞬に変化。そして歌舞伎の楽曲にアレンジされた「シーモアバトル」をBGMと拍子木を打ちつけて音を出すツケ打ちにより、歌舞伎版『ファイナルファンタジーⅩ』ならではの迫力ある立ち回りや殺陣がスタート。

シーモアとワッカとの立ち回り、シーモアとルールーとキマリ、シーモアとアーロン、そしてシーモアとティーダの一騎打ちでは、シーモアとユウナによるアニマの召喚を巨大なスクリーンの映像で表現。様々な歌舞伎の演出を交えつつ、シーモアとの殺陣の相手を次々と変えながらの転換に、IHI ステージアラウンド東京の回転機構を用いてシームレスに表現することで、息もつかせぬ大迫力の立ち回りを作り上げていた。

そしてフォトコールの最後には、PVでも話題となったユウナの「異界送り」のシーン。楽曲「異界送り」をバックに、舞台中央にユウナ演じる米吉が登場して舞を披露。そして、ラストには歌舞伎の宙乗りでユウナがステージの上を移動し、神秘的なシーンを盛り上げていた。

歌舞伎化の発表から大きな話題を呼んだ本作。IHI ステージアラウンド東京で歌舞伎を上演するという二度とないこの機会、他では決して味わえない刺激的な新しいエンターテイメントとして、ぜひ劇場で体感してほしい。

木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』は、3月4日(土)から4月12日(水)まで東京・IHI ステージアラウンド東京(豊洲)にて上演される。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

目次

木下グループ presents『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』公演情報

上演スケジュール

2023年3月4日(土)~4月12日(水) 東京・IHI ステージアラウンド東京(豊洲)
※休演日:3月8日(水)、3月15日(水)、3月22日(水)、3月29日(水)、4月5日(水)
【前編】11:30開場/12:00開演 【後編】17:00開場/17:30開演
※各編途中休憩2回あり/前編後編の間には約90分の休憩あり

出演

尾上菊之助/ティーダ
中村獅童/アーロン
尾上松也/シーモア
中村梅枝/ルールー
中村萬太郎/ルッツ、23代目オオアカ屋
中村米吉/ユウナ
中村橋之助/ワッカ
尾上丑之助/ティーダ(幼少期)、祈り子
上村吉太朗/リュック
中村芝のぶ/ユウナレスカ
坂東彦三郎/キマリ
中村錦之助/ブラスカ
坂東彌十郎/ジェクト
中村歌六/シド
尾上菊五郎(声の出演)
※中村歌六、中村錦之助、尾上丑之助は後編のみの出演

スタッフ

【脚本】八津弘幸
【共同演出】金谷かほり

公式サイト

【公式サイト】https://ff10-kabuki.com
【公式Twitter】@ff10_kabuki
【公式Instagram】ff10_kabuki

IHI Stage Around Tokyo is produced by TBS Television, Inc., Imagine Nation B.V., and The John Gore Organization, Inc.




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