2022年1月8日（土）に東京・シアターコクーンでオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『マーダー・フォー・トゥー』が開幕。坂本昌行＆海宝直人による二人芝居が展開される本作の公開ゲネプロと会見が行われた。
2013年にオフ・ブロードウェイのニュー・ワールド・シアターで公演され、ニューヨーク・タイムズ紙に『この傑作ミュージカルコメディを見逃すな！とにかく巧い！ Murder For Two は“粋”で、抜群の楽曲に彩られたコメディミステリー 』と称賛された本作。2016年に日本版を初演され、2人のキャストが13役を演じ、同時にピアノの弾き語りが披露されるという、今までにないミュージカルスタイルが注目を集め、坂本昌行は第24回読売演劇大賞・優秀男優賞を、照明・原田保氏が優秀スタッフ賞を受賞した。
物語は、偉大なアメリカ人作家のアーサー・ホイットニーが、自らのバースデーパーティーの席で銃に撃たれ、致命傷を負って殺されたところから始まる。現場から1時間と、最も近い町にいた新米刑事マーカス（海宝）は、寡黙な相棒のルーを引き連れ現場に向かい、アーサーの妻で有名女優のダリア、プリマドンナのバレット、精神科医のグリフなど個性豊かな容疑者たちと向き合うことになる。
計13人のキャラクターを二人だけで演じているが、劇中に流れる音楽も二人が交互に舞台上にあるピアノを生演奏するというスタイルで展開。主に容疑者は坂本が務めており、証言を重ねるキャラクターたちを眼鏡や姿勢、声色などの変化を駆使して瞬時にスイッチしながら演じ分け、舞台上に2人しかいないとは思えないほどの彩りを魅せていた。坂本の表現力の幅広さのおかげで混乱することなく見ることが出来、特に女性のキャラクターの演じ分けが面白く、とても魅力的だ。きっと観客もバレットの妖艶さに翻弄され、アーサーの姪で学生であるステフのかわいらしさに胸ときめかせることになるだろう。
海宝のマーカスもとてもキュートで魅力的だった。暗い過去を持ち、自由過ぎる容疑者たちに振り回されながらも刑事として事件解決に奔走する姿は一生懸命で健気で、可愛がらずにはいられないキャラクター。個性的な登場人物たちのせい（？）で混乱されつつも着実に事件の真相に近づいていく姿は、思わず応援しまいたくなるほどだ。
また、本作ではやはり二人が舞台上でピアノを生演奏するのも見どころ。入れ替わり立ち替わり弾きながら、キャラクターの心情や個性も表現。連盤するシーンでもマーカスと容疑者たちの関係を演奏しながらも見事に描き出し、二人並んで楽しそうに鍵盤を叩く場面はとても微笑ましかった。
とある事情で時間制限がある中、事件解決を目指すマーカスたち。坂本＆海宝が13キャラを演じる分ける圧巻の表現力と、見事なチームワークでメロディを紡ぎ出していくピアノ生演奏シーンの秀逸さを噛みしめながら、事件の真相とはいったい何なのか――その目で確かめてほしい。
公開ゲネプロ後に行われた会見には坂本と海宝が登壇。開幕に向けて坂本は「どうなるか分からない状況の中で一生懸命稽古をしてきましたが、プロデューサーから『カンパニー全員の陰性が確認できた』と聞きました。初日を迎えられることに、改めて大きな喜びを感じます」と笑顔でコメント。海宝も「ずっと稽古を頑張ってきました。お客様が入ってきてこそコメディ作品だと思うのでうれしいです。いよいよ“船出”と言う気持ちです。お客様を迎えることで作品が完成に向かうと思うと楽しみなので、気を引き締めてがんばりたいと思います」と力強く意気込んだ。
約18歳差の2人だが、劇中では息ピッタリの様子。それぞれの印象を聞かれると、坂本は「とにかくクレバーで、僕が適当なことをやってもすぐ反応してフォローしてくれます。あるセクションは、初演のときから毎回変えていいよとおっしゃっていただいていたんですがあの時は自分のキャパシティが足りず、毎回同じことをしていました。でも今回は折角なので、稽古から毎回違うキャラクターにしてたんですが、それにもいい感じで返してくれました」と明かし、海宝は「本当にストイック。誰よりも長く稽古場に残って演技を追求されていましたし、稽古室からずっとピアノを練習している音が聞こえて。『僕が足を引っ張るわけにはいかないな』と、坂本さんの背中を見ながら必死についていきました」とコメントした。
そして会見の最後には、海宝が「とにかく笑ってもらえる作品になっていると思います。いろいろと難しい状況ですから、大変なことを忘れて楽しんで帰っていただければ。そのために必死に演じますので、ぜひご期待ください」とアピールし、坂本が「みんな目に見えない脅威におびえていると思いますが、僕らはエンタテインメントのパワーをお届けして、日本中、そして世界中を笑顔にできたら」とメッセージを送り、締めくくった。
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『マーダー・フォー・トゥー』は、東京公演が1月8日（土）に開幕。上演時間は約1時間50分。上演スケジュールは下記のとおりだ。
オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『MURDER for Two マーダー・フォー・トゥー』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年1月8日（土）～1月23日（日） Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】2022年1月26日（水）～2月1日（火） 森ノ宮ピロティホール
【仙台公演】2月8日（火）、9日（水）仙台電力ホール
【松本公演】2月12日（土）、13日（日）キッセイ文化ホール 長野県松本文化会館 大ホール
スタッフ・キャスト
【出演】
坂本昌行 海宝直人
【作】KELLEN BLAIR
【音楽】JOE KINOSIAN
【演出】SCOTT SCHWARTZ＆J.SCOTT LAPP
【翻訳】北丸雄二
【訳詞】高橋亜子
【音楽監督】岩崎廉
【振付】本間憲一
【公式サイト】https://www.murderfortwo.jp/
【公式Twitter】@murder_JP_2022
