2021年11月20日(土)に東京・東急シアターオーブで開幕するミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』のフォトコールと会見が行われ、主演・増田貴久の他、唯月ふうか、松下優也、雛形あきこ、黒須洋嗣、林愛夏、ブラザートム、春野寿美礼、石川禅、そして、演出・振付を務めたクリス・ベイリーが登壇した。
本作は、1961年にブロードウェイで初演され、以降1417回のロングランヒットという記録を打ち立てたウェルメイド・コメディのミュージカル。1962年のトニー賞最優秀ミュージカル作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演男優賞、製作者賞、演出賞、指揮・音楽監督賞の7冠を達成し、大きな注目を集めた。2011年にはダニエル・ラドクリフ主演でリバイバル上演し、トニー賞8部門にノミネートした注目作だ。
2011年版クリエイティブチームの一人であるクリス・ベイリー氏の演出・振付により2020 年9月、増田貴久主演で上演。初めて海外ミュージカルに挑んだ増田は、抜群の歌唱力と表情豊かなダンスで見事に主人公・フィンチを体現し好評を博した。2021年版は新たに唯月ふうか、黒須洋嗣、ブラザートム、春野寿美礼、石川禅らが加わり、来日したクリス・ベイリー氏直々の演出を受け、パワーアップした舞台を見せていく。
物語は、ビルの窓ふき清掃員・フィンチ(増田)がある日「努力しないで出世する方法」という本に触発され、“入るべきは大企業”という教えに沿って、大勢の社員を抱えるワールドワイド・ウィケット社に飛び込むところから始まる。フォトコールでは、フィンチがワールドワイド・ウィケット社に入ることを決め入社を決めるまでの一幕冒頭と第二幕終盤の場面が披露された。
今回は直接、クリスの指導を受けたということで、より一層当時の時代背景などの理解を深めていった一同。増田は「約一か月ガッツリお稽古してきて、良い雰囲気で毎日楽しくお稽古させていただきました。(クリスさんに)直接演出していただいて、毎日刺激的でした。初演の時ももちろん自信たっぷりで最高のものができたと思っていますが、今回は違うアプローチで改めて新しいものを作っている感覚です」とコメント。
また、「セリフは日本語ですが、僕に『今、まっすーはどういう思いでこのセリフを言ったの?』と聞いてくださって、『こういうアプローチを加えたらどう?』とたくさんアドバイスをいただきました。言葉の壁も感じず、気持ちの部分で通じ合っていたなと。全部信頼して、ついていきました」としみじみ語った。
ローズマリー役の唯月は今回初参戦ということで「ついに初日を迎えるのを徐々に実感しています」と緊張した面持ちで語り、「初演メンバーの皆さんが稽古初日から『ウェルカム!』という姿勢で迎えてくださって、このカンパニーの一員になれたことがうれしかったです。とても居心地のいいカンパニーで、お家に帰っても『早く稽古場に行きたいな』と思っていました。伸び伸びとローズマリーを演じて、このワクワク感を伝えられたらと思います」と意気込んだ。
初演に引き続き、バド役で出演する松下は「約一年ぶりで久しぶりに稽古に入ったら意外とセリフをすぐに思い出しました。それくらい、身体に染み込んでいたんだなと。去年、『やりきった』と思っていたのですが、クリスとベスのディレクションを通して、自分が知らなかった部分や気づけなかったことでヒントをいただけました。新しい『ハウ・トゥー・サシード』になったと思います」とこちらも直接指導に寄って新たな挑戦ができた様子。
ヘディ・ラ・ルー役の雛形も「一年前も沢山刺激を受けた印象だったのですが、直接演出を受けて、より密な時間を過ごさせていただいけて、あっという間にここに立てているなと感じています。見ていただけるのが楽しみです」と語り、スミティ役の林も「私もまた素敵な作品を届けられることがとてもうれしいです。直接演出していただいて、作品の魅力をもっともっと教えていただけたのでお届けできればと思います」とコメント。
また、青春時代にブロードウェイのアポロシアターなどに憧れを抱いていたというトゥインブル/ウォンパー役のブラザ―トムは「ブロードウェイから来た方とご一緒出来ることがとても幸せ」と喜び、クリスの演出の素晴らしさを熱弁。そして春野は「直接ご指導いただいたことで、埋められてなかった部分を理解することができました。それによって新たなインスピレーションを受けたので、再演ではこの年代のアメリカの様子というものをより深くお伝えできるのではないかと思います。初日を迎えるのはドキドキするけど楽しみです」と自信を見せた。
今回初参戦組のブラット役・黒須は「僕自身5年ぶりのミュージカルで、決まったと聞いたときからボイトレを頑張りました。クリスとベスのディレクションで絶対良いものになってると思います」と熱く語り、ビグリー役の石川は「まさか自分がこのミュージカルの名作に携われるとは」と驚きつつ、「台本を読ませていただいたときに、ビグリーの“責任の重さ”を感じました。初演メンバーの皆さんが優しくしてくださるので甘えながら頑張りました。素晴らしいダンスシーンなどが繰り広げられていますのでお楽しみください」とアピールした。
そんなキャスト陣の言葉にクリスは「何かお返ししないと(笑)」とお茶目に言いつつ、「舞台上にいらっしゃる皆さんや、アンサンブル、スタッフの皆さんと1つのチームとしてこの作品を作り上げられることを、とても贅沢に感じます。皆さんの才能や、個々の個性など、いろいろなことが合わさって、今作のように、また新しい公演を作ることができました。本当に幸せです」と嬉しそうにコメントした。
最後に増田が「本作は1961年に初演されたミュージカルで、クリスから作品の舞台となるアメリカの、当時の時代背景を教えてもらいながら、作品の理解を深めてきました。また、単純に『観て楽しい』と思える作品でもあると思います。素晴らしい時間を、1人でも多くのお客様に過ごしていただけるよう、1日1日しっかり公演を行っていきますので、楽しみに劇場までお越しください」とアピールして会見を終えた。
ミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』は、11月20日(土)から12月7日(火)まで東京・東急シアターオーブ、12月14日(火)から12月16日(木)まで大阪・オリックス劇場にて上演される。上演時間は休憩20分含む約3時間の予定だという。
あらすじ
ビルの窓ふき清掃員フィンチ(増田貴久)は、ある日「努力しないで出世する方法」という本を読んで感化され、出世を強く意識するようになる。“入るべきは大企業”という本の教えに沿って、ワールドワイド・ウィケット社に飛び込んだフィンチは、偶然出会った社長のビグリー(石川禅)に直談判。そんな彼を一目で気に入った秘書のローズマリー(唯月ふうか)は友人である秘書のスミティ(林愛夏)とともに何かと世話を焼く。
人事部長のブラット(黒須洋嗣)に社長の関係者だと勘違いされたフィンチは首尾よく入社、トゥインブル(ブラザートム)が郵便室長を務める郵便室に配属される。そこには社長の甥で出世を狙うバド(松下優也)がいた。本の教えに沿って行動するフィンチは、社長秘書のミス・ジョーンズ(春野寿美礼)にも気に入られ、ヘディ・ラ・ルー(雛形あきこ)という専属秘書も付き、出世はトントン拍子。
ローズマリーとの恋も上手く運んで、全てが順調・・・だったある日、重大なアクシデントが発生。果たして、フィンチの幸運もこれまでなのか・・・!?
ミュージカル『ハウ・トゥー・サクシード』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2021年11月20日(土)~12月7日(火) 東急シアターオーブ
【大阪公演】2021年12月14日(火)~12月16日(木) オリックス劇場
スタッフ・キャスト
【脚本】エイブ・バローズ、ジャック・ウェインストック、ウィリー・ギルバート
【作詞・作曲】フランク・レッサー
【原作】シェパード・ミード
【演出・振付】クリス・ベイリー
【翻訳・訳詞】高橋亜子
【音楽監督】荻野清子
【演出補】荻田浩一
【出演】
増田貴久 唯月ふうか 松下優也 雛形あきこ 黒須洋嗣 林愛夏 ブラザートム
/春野寿美礼 石川禅
青山航士 武藤寛 風間由次郎
大村真佑 工藤広夢 坂元宏旬 柴原直樹 MAOTO 松本和宜 りんたろう
天野朋子 熊澤沙穂 咲良 田口恵那 笘篠ひとみ 米島史子