刺激的な男女の三角関係を描き、ニューヨークや韓国で大ヒットしたミュージカル『マーダー・バラッド』のスペシャルミニライブ付き制作発表が、2016年10月10日(月・祝)に東京・DDD AOYAMA CROSS THEATER(DDD青山クロスシアター)で行われ、出演する中川晃教、平野綾、橋本さとし、濱田めぐみ、演出の上村聡史が登壇した。
この日の会見では、抽選で選ばれた120名のオーディエンスを前に、まずはミニライブからスタート。中川は「この日のために、一生懸命練習しました」とにっこり。生バンドをバックに、タイトルと同名の「マーダー・バラッド」を含む全5曲を出演者たちが熱唱した。
パンチのきいたエネルギッシュなパフォーマンスの後、平野は「歌っただけでも、まだブルブル足が震えてるんです。作品に、何か吸い取られていくようなエネルギーがある」と語った。濱田も「(作中の)音楽には、滝のような一直線さがあるのに、登場人物たちの感情は、千々に乱れるイメージ。そういう意味では、音楽のエネルギーが強いので、それに飲み込まれないようにするのが、いまの私たちの課題ですね」と同意していた。今回初めてミュージカル作品の演出を手がける上村も「(キャストの)皆さんは、板の上でどうあるべきかを熟知されている。そこに歌が加わると『物語とかどうでもいいんじゃない?』と思ってしまうことが何度もあります」と語った。それほど本作がパワフルなのは、台詞が一切なく、全編歌のみで構成される90分のノンストップミュージカルだからだ。
ハードな作品ではあるが、稽古場は和気あいあいとしているそうで、橋本は「自然体でいられる」と嬉しそうにコメント。自分の身に着けている衣装を、平野から「学ランに見えてきた・・・」と指摘されたと明かし、「みんなツッコミ上手なんです」と笑いを誘う一幕も。こうした中から生まれる本作は「この4人が集まったのが最大の魅力」と中川が力説したように、4名の個性がぶつかりあって、色香あふれる躍動的な作品になることは間違いないだろう。
物語はニューヨークを舞台に、濱田演じるナレーターの語りで展開していく。俳優という夢に破れてバー「キングス・クラブ」のオーナーになったトム(中川)、その元恋人で結婚した夫との間で揺れ動くサラ(平野)、サラの夫で詩の博士号を持つマイケル(橋本)、複雑に妖しく絡み合う3人の関係。やがて「キングス・クラブ」未解決殺人事件が起こるのだが・・・。
演出の上村は、第69回文化庁芸術祭大賞や、第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞を受賞した実力派。訳詞・上演台本は、作詞・作曲家として数多くのヒット作を生み出し、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』などの日本語訳詞を担当した森雪之丞が手がけている。
ミュージカル『マーダー・バラッド』は、11月3日(木・祝)から11月6日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールにて、11月11日(金)から11月27日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演される。
(取材・文・撮影/尾針菜穂子)