来たれ、未来のミュージカルスター!「渡辺ミュージカル芸術学院」の授業を受けてみた


多数の俳優・タレント・アーティストを輩出するワタナベエンターテインメントが、ミュージカル俳優を育成するための「渡辺ミュージカル芸術学院」を2019年4月に開校。現在、第4期生の「特待生選出オーディション」を行っている。同校では、どんなことが学べるのか?実際に、授業を体験した模様をレポートする。

もともと同社はワタナベエンターテインメントのスクールを2004年に開校し、山田裕貴や志尊淳といった才能豊かな俳優たちを輩出してきた。その15周年の節目に、かねてから社長の渡辺ミキが夢の一つに掲げていたミュージカルスターを生み出すことに特化した育成環境として、同校を立ち上げた。ただ学ぶ場所ではなく、“プリンシパル”を育てることを志している。

「渡辺ミュージカル芸術学院」の魅力の一つは、何と言っても講師陣の豪華さ。日本の演劇賞を総なめにする栗山民也氏、多数のミュージカル作品の振り付けを手掛ける前田清実氏をはじめ、充実の講師陣が授業を手掛けている。果たして、どのような授業が行われているのか?

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取材させてもらったのは、ボビー中西氏の担当枠。ボビー氏は1990年から2011年までニューヨークを拠点に活動し、名門ネイバーフッド・プレイハウス演劇学校で「マイズナー・テクニック」で知られるサンフォード・マイズナー氏から直接演技指導を受けてきた人物だ。著書「リアリズム演技」をもとに、ミュージカルだけでなく芝居の中で最も重要な「感情表現」の部分を重点的に指導している。

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取材したのは、2期生11名の進級試験の日。生徒たちに課せられたのは、部屋の外で感情を身体と心に満たし入室(感情準備)、その感情を相手役となるもう一人がピックアップし(アクティビティ)、相手に「何を感じたか」を言葉にして伝え、互いに同じ言葉を繰り返しながら、自分の中に湧き上がる感情を言葉に乗せていくレペテション/リピートエクササイズ)という課題だった。

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「感情を満たしてきた側は、部屋に入ったらその感情を手放して。受け取る側は引かないでどんどん関わっていくこと。感情は“個人的なこと”から等身大の自分と結びつけて。人生すべてが肥やしだからね」と、ボビー氏は“伝える”ために必要なことを丁寧に説明していく。

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生徒たちは、個々に感情を準備し、試験に臨んでいった。「喜び」「怒り」「哀しみ」「楽しさ」・・・相手の感情をきちんと読み取って、きちんと応えていくことは、日常的にはできているが、芝居になるととたんに疎かになってしまう落とし穴。マスクで目しか見えないけれど、生徒たちは豊かな感情と想像力を解き放つ。

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読み取ったビヘイビア(挙動、振る舞い、反応など)で少しずつ繰り返す言葉を変化させていく。感情を手放すことによって、2人の間で感情が転がり、思いも寄らない方向に話が進む。そこに、ボビー氏がタイミングを見計らって「このあと大事なオーディションが待っているとしたら?」「あなたの大事なものを相手が奪おうとしたら?」「飛行機の時間が迫っているとしたら?」と“転換”のきっかけを与えていく。

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「舞台上で楽な姿は見たくないんだよ。内面をすべてさらけ出すのが俳優にとっての仕事だから」とボビー氏。葛藤と葛藤のぶつかり合いの中に、個性が見えてくる。言葉の意味への思考を削ぎ落とした単純な繰り返しだからこそ、人間の中から瞬発的に湧き上がる感情のおもしろさと、生徒たちの持つ現在の技量が見えてきた。

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ボビー氏は、それぞれの感情準備を丁寧にヒアリングしながら、ノート(アドバイス)を出していく。中には、1年前に課題として指摘されていた自分の殻を破れたと褒められ、思わず涙する生徒の姿も。生徒たちの芝居に求めるものも、演技指導でも、共通していたのは相手に関わろうとする大切さ。「気遣い、思いやりは想像力だよ」という言葉が印象的だった。

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「渡辺ミュージカル芸術学院」では2年制を敷いており、1年目は「入学試験合格者のみのベーシックレッスン」として、技術だけではなくメンタル面の鍛錬なども行いながら、長く前向きに取り組める人材の下地を作っている。1年間のレッスン終了後、進級試験があり合格者のみが2年目へと進級できる(取材したのはこのタイミング)。

2年目は「進級試験合格者のみのアドバンスレッスン」として、表現の幅を広げるためのカリキュラムを実施していく。毎週月曜日から土曜日(9:10〜16:10)までみっちり詰まった年間35週のレッスンに加え、2年間で卒業公演を含む試演会を6回上演。なお、優秀者は卒業後にワタナベエンターテインメントに所属することができる。

1期生募集時は400名超の応募があり、最終選考に40人が進み、17名が入学。そのうち11名がワタナベエンターテインメント所属となった。

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2期生募集時も同等の応募があったが、入学のレベルに達していた人数が少なかったため、入学者は11名に絞り込まれた。また、男女比としては女性が圧倒的に多いが、業界的に役は同等にあるため、ミュージカル俳優を目指していて技量のある男性にはぜひチャレンジしてほしいとのこと。

現在募集が行われている4期生特待生の優秀者には、「ワタナベエンターテインメント所属」「レッスン費全額免除」「渡辺ミュージカル芸術学院への入学資格」などが特典として用意されている。

ミュージカル界に興味のある方、俳優になるための一歩の踏み出し方が分からない方など、興味のある方はぜひ、このチャンスを逃さずに。募集要項は以下のとおり。

詳細:https://we-school.net/auditiontop/wmac_ad/

渡辺ミュージカル芸術学院「特待生選出オーディション」

応募資格

15歳(高校生以上)から29歳までの男女
※未成年者は保護者の同意が必要
※特定の芸能事務所・レコード会社・出版社などに所属・契約していない方
※未経験の方でも受験可能

審査内容

<第一審査>
書類・演技・ダンス・歌の選考を行い、合格者のみ第二次選考に進出
※第一次選考通過した方は第二次選考(最終選考)に進出
※第二次選考(最終選考)の内容は第一次選考合格者のみに通知

チケットぴあ
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