年末の風物詩となった、演劇製作会社る・ひまわり×明治座の“祭”シリーズ。2021年は、シン る・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』(通称:シンる)と題し、“新ジャンルミュージカル”を展開する。
商業演劇スタイルに則った第一部の芝居パートでは、原田優一の演出で鎌倉幕府創設の物語『明治座で逆風に帆を張・る!!』を上演する。本作でW主演を務める内藤大希、平野良と、キーパーソンを演じる佐奈宏紀に、今年の年末公演にかける思いを聞いた。
癒着・・・?!ではなく、3年連続主演は絶対的信頼の証
――情報解禁と共に、風物詩的なビジュアルが公開されました。
平野:今年のテーマは、海賊と海軍です。
内藤:すごくしっかり作り込まれているんですよ。
佐奈:ただし、例のごとくこの姿をステージ上でお見せすることはありません(笑)。
――(笑)。『シンる・ひま』へのご参加が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
佐奈:ここ数年はゲストなどで出していただいていたんですが、きちんと出演者として参加するのは2018年末の『歳が暮れ・るYO 明治座大合戦祭』以来です。“祭”シリーズは、何回経験しても慣れることがないんですよ。毎回試される舞台だなと思っています。しっかりやったことは伝わるし、やらなかったらツケが回ってくる。そういうのが露骨に出る場所だと感じてきたので、改めてがんばらねばと身が引き締まる思いがしました。
平野:僕は、3年連続で座長のお話をいただいて、真っ先に、お客さんはもちろん、周りの事務所さんとかに「平野、癒着してる・・・」って思われないか心配になりました(笑)。角が立たないか不安に・・・。だから、そこは先に確認してほしいって周囲にお願いして、大丈夫と言っていただいたので、皆さんがよろしければ、精一杯がんばりますとお引き受けさせていただきました。
内藤:3年連続でやった人、初めてですよね?絶対的な信頼を置かれているんだなあと。それか、癒着してるか。
平野:おいおいおい(笑)!
佐奈:早速ここで角が立ってた(笑)。
内藤:(笑)。W主演として一緒に立つ相手が良くんだというのは、僕的には安心しかないです。知り合ってからは十数年経つんですけど、近くにいたけど、一緒に歩んだことはなかったのでとても楽しみ。テニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』1stシーズン)の頃から同じ時間がんばってきた、貴重な仲間でもあるので。
あと、僕『3年B組金八先生』がすごく好きなんですよ。良くんが出ていた時も観ていて。ギター弾いてたこととか、めっちゃ覚えてる。
平野:まじで?!うわ~、すごい!よく覚えてるね。当時、小学生ぐらいじゃないの?
内藤:最近、また観返したんですよ。
平野:観たんかい(笑)。
内藤:芸歴の長い先輩である大人な良くんと、一緒にW主演を務めさせていただけることは光栄だし、単純にがんばろうと思っている次第です。
平野:それで言うと、今年は少し今までと心持ちが違うかもしれない。しんちゃん(安西慎太郎)と一緒にやった時は、座長として初めて参加するという意味で支えてもらったし、去年もこばかつさん(小林且弥)にいっぱい支えてもらったのね。だから、今回はW座長だけどどちらかというと大希を支える側になれたらいいなと思っています。
――今回、タイトルにミュージカル(オリジナ・る ミュージカ・る)と銘打たれているのも初めてですよね。
平野:どこまでミュージカルになるのか、まだ全然分かってないんですが、「めっちゃ歌うよね~」って言ってて、逆にそこまでじゃなかったらどうしよう。
内藤:蓋を開けてみるまで分からないですからね。
平野:でも、僕はすでにちょっと不安。この二人の歌のうまさももう知ってるし、プラス、今回はじめましての方々も経験豊富なすごい方ばかりだから。芝居班に回してくださいってお願いしても、W座長でソロ1曲もないとか、無理じゃん(笑)。だから、めっちゃ胃がキリキリしてます。
佐奈:僕はもう、しっかり練習してがんばるだけ。今回、心強い歌うま兄さんたちがこれだけ揃っているので、これはチャンスと考えるしかない!ここで歌が上手くならないと、今後のチャンスが来ないんじゃないかなと思っているぐらいなので、「見て、盗む」を本気でやりたいと思っています!
内藤:今回、演出は優一さん(原田優一)、作曲がオレノグラフィティさんですよね。僕、優一さんとオレノさんたちが作ったミュージカルを拝見させていただいたんですけど、オレノさんは本当にいろんなジャンルの楽曲を作られるなあと思いました。それぞれの持っている声との適正や感覚に寄せた楽曲を提供してくれるんだなと。例えば、良くんだったら芝居歌、佐奈だったらロック、僕だったらバラードとか。
だから、みんなが同じ土俵で取り組むんじゃなく、それぞれ得意分野で勝負させてもらえる気がして、おもしろいものになるんじゃないかなって期待しています。
平野:いい感じにしてほしい~(笑)。
内藤:「詰め込む」っていうのはるひまさんの作品のイメージでもあると思うので、音楽もきっと詰め込んでくれると思ってます。
祭シリーズに新風を吹き込む新顔参加に胸アツ
――今回は鎌倉幕府創設の頃が題材ということで、内藤さんが源頼朝、平野さんが北条義時、佐奈さんが源義経を演じると伺いました。
佐奈:昔は「いいくに(1192)作ろう 鎌倉幕府」で年号覚えていましたけど、今は「いい箱(1185)作ろう 鎌倉幕府」なんですよね。と言いつつ、僕、歴史弱いんです・・・。以上です!
平野:以上かいっ(笑)!
佐奈:僕は義経役をやらせていただくんですけど、当て書きをされているという話を聞きました。その分、3人の関係性はより深いところまで作っていけるんじゃないかなと思っています。
平野:役者って、セッションする時、別にスキルを見るわけではなく人となりを見るんです。たまーに視野が狭くなっちゃって、大丈夫かな?って心配になる人もいるんだけど。この二人には何の心配もしていません。
内藤:公演が始まる前に、こういった取材などでちゃんと話す機会をいただけたのも大きいです。話していて、良くんが“お兄ちゃん気質”っていう読みは間違っていなかったなと思えましたし。だからこそ、何よりも僕自身が楽しめたらいいなって思ってます。
――今回、“祭”シリーズ初参加の方も多いですよね。
内藤:ね~!新しいですよね。
平野:龍ちゃん(小野田龍之介)、おばたのお兄さんとWキャストでしょ。『メリー・ポピンズ』でももう中(もう中学生)とWキャストやってたんだけど、芸人さんとセット枠なのかな(笑)?
内藤:僕、小野田と大山真志は、20代の頃からよく知る仲なんですよ。るひまさんの作品には、まず真志がお世話になって、次に僕だったので、小野田が来た!って感じです(笑)。さらにspiもいる。このメンツとるひまさんの軸がここで合うんだ!って思うと胸アツです。今年は、特に胸アツキャスティングです。
佐奈:僕は、spiさんとさかけんさん(坂元健児)と、またここで再会できるのがすごく嬉しいです。舞台『銀牙』を一緒にやっていたので。安心ですし、とにかく嬉しいです。
平野:あと、鯨ちゃん(鯨井)も名前があって驚いたな。お互い長くやってるけど、ここで一緒にやるのは新鮮。
佐奈:鯨井さんも、おもしろいこと好きな方ですからね。
平野:そうそう。歌も好きだしね。楽しみ。
――まさに「シンる・ひま」となりそうですが、お三方とも“祭”シリーズの座長経験者ということで、“座長あるある”ってありますか?
佐奈:舞台の最初、緞帳が上がる前は死ぬほど緊張します(笑)。大希くんと一緒にW主演をやらせていただいた時は、ギリギリまで手を握って「大丈夫、俺らならきっと言える」とか言い合ってました。
内藤:この舞台、まず口上を述べないといけないからね。
佐奈:あの時、死ぬかと思うぐらい緊張するんです。二人で震えちぎってました。そして、終わったあとの挨拶はふにゃふにゃ(笑)。
内藤:そう、もう何にも言葉が浮かばないの。本編はうまくいったのに、述べられん感謝を!ってなって、最後ぐにゃって終わるっていう(笑)。
佐奈:締まらん!は、この二人あるあるかもしれないです(笑)。・・・その節はすみませんでした!
内藤:僕、もう一つあります。明治座さんの楽屋がとっても広くて寂しい(笑)。広すぎる楽屋って、一人だとどうしていいか分からないんですよ。テレビもお風呂もあるし。
平野:ちょっとした旅館だからね。
内藤:そう。だから、どうしても空間が余るんですよ。だから、「落ち着かん・・・」って、その広い部屋の中をRPGみたいにぐるぐるして、ようやく落ち着きどころを見つけたあたりで、「時間です」って声がかかる。身の丈に合っていない感じがして、あんまりくつろげないんです(笑)。
平野:年末の“座長あるある”かぁ・・・。僕、最初に座長をやらせていただいた時が、原田さんが“祭”シリーズを初めて演出するタイミングで、それまでのシリーズの流れとちょっと違っていたんですよ。去年はおなじみの板さん(板垣恭一)だったけど、コロナ禍だから人数をぎゅっと絞っていて、また密度が違っていて。だから、ものすごい人数でやる公演の座長は経験していないから、このシリーズならではっていうのは思い浮かばないなあ。
内藤:連続座長で角が立つ、というのは?
平野:ここで出てきた(笑)!
今年の第二部は「ファンサをやりきる!」
――これがないと年が越せない気がするので、年末を楽しみにしております。
佐奈:本当に!どんなお話になるのかも楽しみですし、このメンバーで何が作れるのか、どこまでミュージカルと振り切るのか、想像がつかないことばかりで、楽しみしかない!皆さんも一緒に楽しんでいきまショウ!Let’s Go!!
平野:最後、英語なんだ(笑)。
内藤:タイトルが『明治座で逆風に帆を張・る!!』となっていますが、「逆風に帆を張る」って言葉は、今の僕たちにリンクする言葉でもあると思うんです。年末、明治座で気張って、僕たちが僕たちであると示すものを、お客様にバン!と提示して観ていただきたい。そして、「やっぱり舞台っていいな」と改めて皆さんに感じてもらえたらいいです。一致団結してがんばります。
平野:去年、公演が始まる前から祈りに似た感覚をずっと持っていました。去年はしんちゃん(安西慎太郎)が途中で体調を崩してしまって、本番、急遽アンダーで入ってくれていた方が変わってくださったんですけど、コロナ関係なく、いつどこで何が起こるか分からないものです。そんなデンジャラスな日々の中、年末をまた最後まで走り抜けられたら奇跡だし、その奇跡をまた浴びたいです。逆風も風は風。無風より、風が吹いていた方が絶対に人生豊かになるはずだと信じています。
実は、去年の公演の振り返りイベントをやった頃に、前回出ていたメンバーと、「次にまた出れたら、全力でファンサしよう」って言ってたのよ。辻ちゃん(辻本祐樹)とか、上手に手を振ってたんだけど、なんか、気恥ずかしくてあんまりやれなかった人も多くて。でも、応援してもらったらちゃんと返さないとって思ってて。
佐奈:万物を愛そうということですね。
平野:次の機会は、全力でやりきろう。例えば、1曲の中で10人以上は必ず目を合わせるとか、うちわの要望には5人以上応えるとか。
内藤:目標を立てるんですね!
平野:そう。ちゃんと意識するの。そんな感じで、二部ではファンサービスする気まんまんでございますので、そこも楽しみにしていてください!
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
シン る・ひま オリジナ・る ミュージカ・る
『明治座で逆風に帆を張・る!!』公演情報
第一部:オリジナ・る ミュージカ・る「明治座で逆風に帆を張・る!!」
第二部:ショー「ジャングルジャナイトクルーズ」
上演スケジュール
2021年12月28日(火)~12月31日(金) 明治座
※12月31日(金)17:30公演はフライングカウントダウンを行う
※全公演ライブ配信予定
スタッフ・キャスト
【脚本】赤澤ムック
【演出】原田優一
【音楽】オレノグラフィティ
【出演】
内藤大希、平野良/
佐奈宏紀/松田岳、前川優希、櫻井圭登、井深克彦、鯨井康介/
大山真志、伊藤裕一、spi、原田優一/
小野田龍之介(Wキャスト)・おばたのお兄さん(Wキャスト)、三木眞一郎(Wキャスト)・松村雄基(Wキャスト)/
粟根まこと、辻本祐樹/
坂元健児/
水夏希
◆チケット発売:2021年12月4日(土)10:00~
※詳細は「シン る・ひま」公式ホームページをご覧ください。
第一部
オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』
あらすじ
東にあるという黄金の国「ジパング」。
「朝廷」が支配するこの国でクーデターなく、政権交代を実行したサムライたちの物語。
「狗」と呼ばれ蔑まれた、東国武士たちがその手で新しい時代を切り開くまでの、男たちのサクセスストーリー。
嵐も曇天も、全て青天に変えて突き進め!!
逆風を追い風に変えて進むサムライたちの青春群像劇。
日本の武士魂をミュージカルでお届けします。
配役
源頼朝:内藤大希 北条義時:平野良
源義経:佐奈宏紀
北条時房(鳩):松田岳
源範頼:前川優希
大江広元:櫻井圭登
静御前:井深克彦
弁慶:鯨井康介
中原能親:大山真志
梶原景時:伊藤裕一
木曽義仲:spi
九条兼実:原田優一
語り部:小野田龍之介/おばたのお兄さん(Wキャスト)
王:三木眞一郎/松村雄基(Wキャスト)
北条時政:粟根まこと
安達盛長:辻本祐樹
後白河法皇:坂元健児
北条政子:水夏希
第二部
ショー『ジャングルジャナイトクルーズ』
夢と魔法の明治座の地下王国「カマクーランド」で繰り広げられるショー。
船長が様々なキャラクター、ユニットのもとにご案内。
日替わりゲスト
12月28日(火)昼:安西慎太郎
12月28日(火)夜:安西慎太郎&小林且弥
12月29日(水)昼:木ノ本嶺浩
12月29日(水)夜:浅野内匠頭&片岡源五右衛門(安西慎太郎&木ノ本嶺浩)
12月30日(木)昼:佐藤貴史&加藤啓
12月30日(木)夜:毛利亘宏(少年社中)&林剛史
12月31日(金)昼:中村太郎
12月31日(金)夜:安西慎太郎
【公式サイト】https://shin-lehima.com/