栗山民也×大竹しのぶで『ザ・ドクター』医療機関のパワーゲームを通して描く現代の縮図

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栗山民也×大竹しのぶで『ザ・ドクター』医療機関のパワーゲームを通して描く現代の縮図

2021年10月末から12月末にかけて、海外新作舞台『ザ・ドクター』の上演が決定した。本作は、少女の死をきっかけに始まったある医療機関で繰り広げられるパワーゲームを描いた社会派現代劇。演出は栗山民也。主演は大竹しのぶが務める。

2019 年に、ロンドン・アルメイダ劇場のアソシエイトディレクターであるロバート・アイクが、1912年に発表されたシュニッツラーの『Professor Bernhardi(ベルンハルディ教授)』を翻案し、自ら台本を手がけて演出した本作。

ザ・ガーディアンをはじめとする各紙で絶賛されたほか、翌年2020年には英国で最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞「Best New Play(作品賞)「Best Actress(女優賞)」にノミネートされた。今回、栗山と大竹のタッグで日本初上演を迎える。

主人公は、医療研究所の所長でありエリート医師のルース。ある少女の死をきっかけに、宗教・ジェンダー・階級差など、あらゆる社会問題がルースの頭上に降りかかり、医師としての自分を見つめ直していくことになる。大竹は、自らの医師としてのアイデンティティと向き合う難役で、現代社会の縮図とも言える物語に身を投じる。

共演には橋本さとし、村川絵梨、橋本淳、宮崎秋人、那須凜、天野はな、久保酎吉、明星真由美、 床嶋佳子、益岡徹らが名を連ねた。

PARCO プロデュース 2021『ザ・ドクター』は、10月30日(土)・10月31 日(日)に埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、11月4日(木)から11月28 日(日)まで東京・PARCO劇場で上演後、12月に兵庫・豊橋・松本・北九州を巡演する。

目次

コメント紹介

◆栗山民也(演出)
~『The Docter』と出会う~
パルコのプロデューサーから、「面白い本が見つかったよ」と連絡。タイトルは、『ザ・ドクター』。初演が2019 年ロンドンのアルメイダ劇場で、私もロンドン滞在のたび、胸躍らせ何度も通った。自由で、とても好きな小空間だ。そこでの企画は、現在のあり様に対し鋭く問い掛けるものが多く、実験的で多種なレパートリーが組まれている。見逃すわけにはいかない。
『ザ・ドクター』の戯曲を、早速めくってみる。医学と宗教、そして歴史認識、アイデンティティ、人種、ジェンダー、資本主義の罠などの多くの問題群が、まるで現代の病を鋭利に切り取ったモンタージュのように映し出される。あのロンドンの小さな劇場の中、キャラ クターたちの熱くぶつかり合う欲望のディベートが聞こえてくるよう。この作品の稽古は、きっとこの息苦しいまでの協奏とぶつかり合い の時間を、じっと見つめる作業から始まるだろう。

◆大竹しのぶ(主演)
2年前に行ったロンドンで、この芝居は絶対に観た方がいいよと友人に勧められたのが『ザ・ドクター』だった。言葉もわからないのに、主演女優に目が釘付けになり、11人の出演者の細やかな表情に引き込まれ続けた時間。大仰な芝居は何もなく、その場で感じ考え、言葉を発する。
これが演劇なんだ、真実の芝居なんだ。
ジュリエット・ステイーブンソンの魅力に打ちのめされ、最前列に座っていた私は、カーテーンコールで立ち上がり夢中になって彼女に拍手をしました。
まさかその役を自分がやるなんて。
あのエネルギーを、美しさを、再現できる様に、皆でがんばっていきます。

PARCO プロデュース 2021『ザ・ドクター』公演情報

上演スケジュール

【埼玉公演】2021年10月30日(土)・10月31 日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【東京公演】2021年11月4日(木)~11月28 日(日) PARCO劇場
【兵庫公演】2021年12月2日(木)~12月 5日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【豊橋公演】2021年12月10日(金)~12月12日(日) 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT
【松本公演】2021年12月18日(土)・12月19日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
【北九州公演】2021年12月25日(土)・12月26日(日) 北九州芸術劇場 大ホール

スタッフ・キャスト

【作】ロバート・アイク
【翻訳】小田島恒志
【演出】栗山民也

【出演】
大竹しのぶ/
橋本さとし 村川絵梨 橋本淳 宮崎秋人 那須凜 天野はな 久保酎吉/
明星真由美 床嶋佳子 益岡徹

あらすじ

イギリス最高峰の医療機関・エリザベス研究所。その創設者であり、所長のルース・ウルフ(大竹しのぶ)は、訳あって自ら妊娠中絶を行い、敗血症で運び込まれた14歳の少女を看取ろうとしていた。そこに「少女の両親から傍についていてほしいと頼まれた」というカトリックの神父ジェイコブ・ライス(益岡徹)が現れる。神父に対し、ルースは面会謝絶を告げて、集中治療室への入室を拒否する。
若手医師(那須凜)から少女の容態の急変を 知らされ、同僚の医師ポール・マーフィ(橋本淳)やマイケル・コプリ―(宮崎秋人)と手を尽くすが少女は死を迎える。少女の死に立ち会えなかった神父は、典礼を拒絶されたとして怒り、この出来事を公にすると告げて去る。
ほどなく、このことはインターネットから発信され、研究所の出資者の耳にも入ってしまう。ブライアン・シプリアン教授(久保酎吉)や、広報担当のレベッカ・ロバーツ(村川絵梨)は、ルースへの批判を不当なものとして、相手にはしていない。だが、次期所長の座を狙う野心家ロジャー・ハーディマン教授(橋本さとし)やマーフィらは、一部の出資者たちが怒っていることを問題視。それでも毅然と「自分に落ち度はない」と主張するルース。その姿勢は、自身の元教え子で保険担当大臣のジェマイマ・フリント(明星真由美)からも支持されたように見えた。
しかし、彼女を断罪しようとする出資者の動きにより、世論は激化。信仰、人種、ジェンダー・・・、アイデンティティの違いもあいまって、 医師たちもまた医学上、宗教上の主張により対立。研究所内の分断は深まり、パワーゲームは白熱していく・・・。
自宅では、パートナーのチャーリー(床嶋佳子)や近所に住むサミ(天野はな)と心を通わせ、自分を見つめ直すルース。自分を取り戻した彼女は医師としての信念を貫くことを決意。自分を責め立てる人々が待ち受ける、テレビのディベート番組への出演を決める――。

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