2021年4月よりKAAT神奈川芸術劇場にて『近松心中物語』が上演されるが、このほどメインビジュアルと、公演日程詳細が公開された。
本作は、KAAT神奈川芸術劇場の新たな芸術監督に就任した長塚圭史が、メインシーズンの幕開けに選んだ作家・秋元松代の名作。近松門左衛門の「冥土の飛脚」をベースに他作品の要素を加え、近松作品の魅力をふんだんに盛り込んだシンプルで力強い言葉と蜷川幸雄の劇的な演出により、観客からの圧倒的支持を得て1000回を超えて上演され、演劇界の金字塔と称された。
元禄時代、境遇の違う二つの恋の情景を、華やかな演出で描いたことで人気を博した本作を、長塚は格差を問われる現在を深く突き刺す普遍的な戯曲と捉え、俳優とともに台詞の魅力を紐解きながら新たな「近松心中物語」を創り上げる。
飛脚宿亀屋の養子で、一途でまじめな忠兵衛(田中哲司)が、郭町で偶然出会った遊女・梅川(笹本玲奈)を見初めてしまったことで始まる元禄の悲恋。その二人の恋を後押ししようと、自分の店にあった金を無断で貸してしまう、忠兵衛の幼馴染で古道具屋の婿養子・与兵衛(松田龍平)と、与兵衛を心から慕っている女房のお亀(石橋静河)。
はじめは純粋な恋心と親切心だったはずが、そのために金に追い詰められ、世間から逃げ出さざるを得なくなる元禄時代の二組の恋の物語を、近松の世話物としては意外性が際立つ今回のビジュアルに凝縮した。
コメント紹介
◆田中哲司
『近松心中物語』は蜷川幸雄さんの為に書かれた戯曲であり、完成され熟練された作品です。その秋元松代さんの名作に、最大限の敬意を払いつつ、しかしそれに囚われず、恐れず、真摯な気持ちで取り組んで行こうと思います。これはもう、戦いだと思っています。敵はかなり手強いです。横浜のKAATで、長塚圭史君を始め、座組の皆でぶつかって、令和の時代に元禄の花を咲かせられる様頑張ります。
◆松田龍平
この度『近松心中物語』をやることになりました。長塚さんとは3回目になりますが毎回とても大きな課題を頂けるので、今回も戦々恐々ですが、それを乗り越えて新しい景色をみたいなあと楽しみにしています。座組みの皆とともに夢中になって魅力的な物語を届けられるようがんばります。
◆笹本玲奈
近松心中物語の梅川は、いつか和物に挑戦したときに演じてみたいと思う憧れの役でした。今まで様々なバージョンで上演されてきた歴史ある作品に、演出の長塚圭史さんをはじめ素晴らしいキャストの皆様とご一緒出来る事をとても嬉しく思っております。
ミュージカルでは洋物のドレスを着用する事が多く、日本人なのに着物を着る機会もこれまで殆ど無かったので勉強しなければいけない事が山ほどありますが、今はお稽古の開始日が待ち遠しく期待で胸が一杯です。
◆石橋静河
今回、お亀というとても魅力的な役に出会えたことを嬉しく思います。人とのつながりが希薄な今、お亀のように誰かを好きになるがあまり命を捨ててしまう、ということの意味を考えさせられます。若気の至りと言ってしまえばそれまでですが、人との出会いは、時に命を揺さぶるほどのパワーがあるのだと私は思います。二十代も後半に差しかかってきた今の自分の、無知さ愚直さをぶつけながら、この役に挑みたいと思います。
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『近松心中物語』公演情報
上演スケジュール
【神奈川公演】2021年9月4日(土)~9月20日(月・祝) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
【北九州公演】9月25日(土)・9月26日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【豊橋公演】10月1日(金)~10月3日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【兵庫公演】10月8日(金)~10月10日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【枚方公演】10月13日(水) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
【松本公演】10月16日(土) まつもと市民芸術館 主ホール
キャスト・スタッフ
【出演】田中哲司/松田龍平、笹本玲奈/石橋静河
綾田俊樹、石橋亜希子、山口雅義、清水葉月、章平、青山美郷、
辻本耕志、益山寛司、延増静美、松田洋治、蔵下穂波
藤戸野絵 福長里恩/藤野蒼生 (Wキャスト)
朝海ひかる、石倉三郎
【作】秋元松代
【演出】長塚圭史
【音楽】スチャダラパー