2020年の演劇界の成果を顕彰する第28回読売演劇大賞の一次選考会の結果が、2021年1月21日(木)に発表された。なお、今回はコロナ禍で公演中止が相次いだ上半期分の選考会は行われておらず、通年の審査を行いノミネート作品・人物を決定した。
「読売演劇大賞」は、1月から12月までに上演された国内演劇を対象に決定する賞。選考委員のノミネート、投票委員の投票という2段階を経て、作品・男優・女優・演出家・スタッフの5部門の年間最優秀賞を決定。このほか、新人を顕彰する杉村春子賞や、長年の功績や優れた企画を顕彰する芸術栄誉賞が設けられている。
選考委員は犬丸治(演劇評論家)、小田島恒志(翻訳家)、杉山弘(演劇ジャーナリスト)、徳永京子(演劇ジャーナリスト)、中井美穂(アナウンサー)、西堂行人(演劇評論家、明治学院大学教授)、萩尾瞳(映画・演劇評論家)、堀尾幸男(舞台美術家)、矢野誠一(演劇・演芸評論家)。
作品賞にノミネートされたのは、『天保十二年のシェイクスピア』(2月・東宝)、『ゲルニカ』(9月・パルコ)、『リチャード二世』(10月・新国立劇場)、『NINE』(11月・梅田芸術劇場)、現代能楽集X『幸福論』~能『道成寺』『隅田川』より(11~12月・世田谷パブリックシアター)の5作品。
各部門のノミネート作品・人物は以下のとおり(50音順、敬称略)。
作品賞
『天保十二年のシェイクスピア』
・『ゲルニカ』
・『リチャード二世』
・『NINE』
・『現代能楽集X『幸福論』~能『道成寺』『隅田川』より』
男優賞
大谷亮介『All My Sons』
片岡仁左衛門『彦山権現誓助剣―毛谷村―』
小瀧望『エレファント・マン』
城田優『NINE』
山崎一『十二人の怒れる男』『23階の笑い』
女優賞
安蘭けい『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』
池谷のぶえ『獣道一直線!!!』
神野三鈴『All My Sons』
鈴木杏『殺意 ストリップショウ』『真夏の夜の夢』
那須佐代子『ミセス・クライン』『リチャード二世』
演出家賞
詩森ろば『All My Sons』『コタン虐殺』
瀬戸山美咲『現代能楽集X『幸福論』~能『道成寺』『隅田川』より』
原田諒『ピガール狂騒曲』
藤田俊太郎『天保十二年のシェイクスピア』『NINE』『VIOLET』
眞鍋卓嗣『雉はじめて鳴く』『少年Bが住む家』
スタッフ賞
梅田哲也『プレイタイム』の構成・演出
齋藤茂男『アルトゥロ・ウイの興隆』『現代能楽集X『幸福論』~能『道成寺』『隅田川』より』の照明
乘峯雅寛『プレッシャー―ノルマンディーの空―』『ミセス・クライン』の美術
前田文子『NINEN』の衣装
宮川彬良『天保十二年のシェイクスピア』の作曲
第1次選考会で選考委員がノミネート(推薦)した作品・人物は、そのまま「優秀賞」の受賞となる。この中から全国の演劇に関わる評論家やライター、制作者、研究者、劇場スタッフらで構成した106人の投票委員による投票により、5部門の「最優秀賞」を選出。
また、投票委員の推薦を基に「杉村春子賞」、5部門の最優秀賞と杉村春子賞の受賞者から、最高賞の「大賞」を決定。さらに演劇界に長年にわたり貢献したり、優れた企画を進めたりした功績のある個人や団体を顕彰する「芸術栄誉賞」も発表される。