エンタステージ、「演劇と私」について本気出して考えてみた~1号編~

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演劇界にとって、激動の2020年が終わろうとしています。エンタステージ編集部では、今年をどう振り返ろうかと考え、編集部員それぞれが“演劇と自分”について改めて考えてみることにしました。

本来ならば、1年を総括して日頃読んでくださる皆様と交流しながら注目の集まった方やトピックスなどを振り返っていくのですが、今年はスポットライトを浴びる機会が誰しもあったとは言えず、考えた末にこのような形で振り返ることといたしました。

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1号は、日頃は取材記事や動画作成などを担当させていただいております。もともとは、ひょんなことから演劇にハマり、ただただ客席に座り続けていた人間でした。年間250日くらい劇場の椅子に座り続けて○年。とにかくいろんな方の作品を見たくて足を運んでいました。劇場という空間が好きすぎて旅行に行った時は、その土地の劇場を観に行く・・・なんてこともしていました。

一観客だった私が、演劇を「伝えたい」という思いを抱いたのは、今と同じように演劇が厳しい状況に置かれた、東日本大震災が起こった頃のことでした。当時も劇場の閉鎖や公演中止・延期が相次ぎ、「芸術の持つ力」についてたくさんの意見・議論が飛び交っていたと記憶しています。

あの時も「自粛ムード」の中、エンターテインメント業界についてはいろんなことを言われていましたが、少なくとも私の心を救ってくれたのはやはり「演劇」でした(間接的被災をした人間の心の話として捉えてください)。

観に行ったのは、パルコ劇場で上演されていた三谷幸喜さん作・演出の『国民の映画』。三谷作品だからワハハと喜劇かと思いきや、一筋縄ではいかないずっしりとくる作品でしたが、帰り道に「観てよかった!」と笑っている自分に気づきました。心が動いたのを感じました。陳腐な言い方になってしまいますが、「生きている」ことを実感させてくれたのが、私にとっては「演劇」でした。

目の前に役者さんたちがいて、虚構の中で生きているというリアルは、人の心に火を灯してくれる。もちろんその火は知らなくても生きていけるものかもしれないけれど、知ったらきっと、人生がもっと豊かなものになるよ。そんなことを伝えたくて、誰かの背を押したくて、記者を志しました。

コロナ禍では「不要不急」の言葉が飛び交い、エンターテインメントを取り巻く方々は大変傷ついたと思います(あんまり言いたくないし、書きたくない言葉です・・・)。それと同時に、模索する強さも身につけたように感じました。奇しくも、自粛期間が終わり7月に上演された三谷さんの『大地(Social Distancing Version)』を取材した際、現代演劇の象徴として鳴らされた銅鑼の音を聞いた時にそのことを強く意識しました。

その象徴とも言えるのが「配信」技術の発展だったのではないでしょうか。劇場での公演だけでなく、ライブ配信・アーカイブ配信で見る演劇、リモートで作られる演劇、Zoomの機能を駆使した演劇・・・苦肉の策でもありましたが、いろんな表現が模索されてきました。観ている側としておもしろかったのが、自粛期間にトライ&エラーを繰り返しながら、その技術やアイデアが飛躍的に発展していったところです。限りない「表現」の未来を感じました。

同時に、物理的な距離を超えることができる観客が増えたことは、今後の大きな財産になるのではと思います。劇場に行きたくても行けない状況に置かれている方たち、そもそも劇場に足を運んだことがなかった方たち。限られた空間の中で共有していたものに対し、客席数を全国に広げることができたのは、今後の演劇界にとってもエポックメーキングなことだったと思います。

・・・とはいえ、演劇を観る上でやはり「生」で観ることを以上の喜びはない!

前向きに、いいように考えてみたけど、やっぱりなかった。自粛明けに、久しぶりに劇場でお芝居を観れた時の気持ちは、言葉に言い表しようのないものでしたし、客席が集中して舞台に魅入っている時に生まれる熱気はほかでは得難い体験だということも、このコロナ禍で感じたまぎれもない現実でした。また、配信でどれぐらい客席減を補えているのか、想像どおりのチャンスとなっているのかも気になるところです。

しかし、チケット買ってから観劇に行くまでの間って、なんであんなにドキドキするんでしょうね。今、無事に幕が開くのかという別のドキドキ感もどうしてもあるんですが・・・!

取材を通して見えた演劇の現場では、本当に細かく注意を払って作品作りに取り組んでいました。コミュニケーションを取る上でもどかしさも感じながらも、作品を私たちのもとへ届けようと手を尽くしています。現時点でも、来年がどうなるのか誰にも分からない状況ですが、準備されている公演がなるべく(できれば全部)観たいと思う方の元に届くように、微力ながら演劇サイトとして活動していけたらと思っています。誰かの背を、少しでも押せたら。そして、私自身も「生きてる」って、たくさん感じたい。

最後に、2021年が少しでも明るいものになることを願って、私が個人的にチケットを買ってドキドキしている公演をご紹介します。

皆さん、健康に良い年をお迎えください。

◆梅棒 11th STAGE『ラヴ・ミー・ドゥー!!』

【東京公演】2021年2月19日(金)~2月28日(日) サンシャイン劇場
【愛知公演】2021年3月6日(土)~3月7日(日) ウィンクあいち
【大阪公演】2021年3月11日(木)~3月14日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール

【公演特設サイト】http://umebou11th.dynamize.net

TVメディア、宝塚歌劇団や2.5次元舞台などでの振付・演出でも活躍するダンスエンターテインメント集団「梅棒」。ストーリー性のある演劇的な世界観をジャズダンスとJ-POPで、彼らにしかできない唯一無二の公演を毎回見せてくれます。本作で描くのは、2014年から2015年に上演された梅棒 3rd STAGE『男なら、やってやれ!!』の数年後の世界。なお、本公演から多和田任益さんが新メンバーとして加わります。

【1号メモ】梅棒さんの公演を観たことがない方も、「振付のクレジットで見たことがある!」ということが多いのでは。それほど、今や振付という点でも欠かせない存在となった梅棒さん。私が梅棒さんに初めて出会ったのは、国内最大の振付コンテスト「Legend Tokyo」でした。梅棒が日本一に輝いたのが「Legend Tokyo chapter.2」の時。それを90分の劇場完全版にしたのが3rd STAGE『男なら、やってやれ!!』。ぜひ、大会の様子を映像で観てみてください。ワクワクが増しますよー!

チケット購入:チケットぴあ

◆音楽劇『プラネタリウムのふたご』

【プレビュー公演】2021年2月6日(土)・2月7日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】2021年2月13日(土)・2月14日(日)
【東京公演】2021年2月19日(金)~2月23日(火・祝)

【公式サイト】https://www.planetarium-twins2020.com/

2004年に三島由紀夫賞候補にもなった、いしいしんじさんの小説を、永田崇人さんと阿久津仁愛さんのW主演、ウォーリー木下さんの演出・脚本で舞台化します。彗星にちなんでテンペルとタットルと名付けられ、一人は手品師に、一人は星の語り部へと成長するふたごの物語です。
【1号メモ】いしいしんじさん作品をウォーリー木下さんの手で舞台化する機会は、以前に『麦ふみクーツェ』でもありました。これがとても素晴らしかった・・・。今も心に残り続ける作品です。この組み合わせ、期待しかない!また、原作小説の中にある一節「だまされる才覚がひとにないと、この世はかさっかさの世界になってしまう」という言葉が、今、とても染みます。お時間あるようでしたら、ぜひ原作小説を読んだ上で、舞台を観てほしいなと思う作品です。

◆『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stage本物の英雄(ヒーロー)PLUS ULTRA ver.

2020年、幾度となく悔しい思いをしたヒロステ。でも、どんな困難にも負けない。それがヒーロー!わずか6公演しかできなかった公演が、パワーアップして来年上演されると、「ジャンプフェスタONLINE2021」内で発表されました。まだ詳細は明らかになっていませんが、勇気、出ました!

関連記事:どんなにピンチでも、最後は絶対に勝つんだ!『僕のヒーローアカデミア』The “Ultra” Stageジャンプフェスタ2021レポート

【1号メモ】私には、2,5次元作品を取材する中で3回「時代が動くぞ・・・!」と思った瞬間があるのですが、ヒロステの初演はその一つです。年末、お時間のある方は、ぜひ初演を観てみてください。Blu-ray&DVD化されているほか、U-NEXT、Amazonプライムなどでレンタル配信もされています。
チケットを持っていた公演がたまたま中止にならず観ることができた「本物の英雄(ヒーロー)」は、その予感を確信に変えてくれる素晴らしい公演でした。2021年、より大きくなったヒーローの登場を待ちながら、楽しみに来年を生きたいと思います!

U-NEXT視聴詳細・チケット購入はこちら

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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