2020年12月、東京・シアタークリエにてコーティング剤『ウイルス侍』による抗菌作業が実施された。
『ウイルス侍』は、塗布した部分に光(太陽光・室内の蛍光灯・LED照明など)が当たると、そこに付着した菌・ウイルスなどを無害なもの(水や二酸化炭素など)へ分解する光触媒のコーティング剤。シアタークリエに先んじて帝国劇場にて使用され、実際に効果が立証されている。
会見に登壇したシアタークリエ支配人の伊達学之は「シアタークリエは特徴として地下に劇場があり、600席という限られた座席数で、出演者との距離が近い贅沢な時間を過ごしていただけるのですが、コロナ禍ではそういった面が不安という声を多くお聞きします」とコメント。
「ウイルスは目に見えないものなので、なかなか不安を拭い去ることはできません。そこでこの『ウイルス侍』の導入を決めました。お客様に安心していただけるような体制を整えております」と経緯を明かした。
『ウイルス侍』は酸化チタン+酸化銅を主な原料とし、ウイルス抑制や有害物質の除去だけでなく、抗菌・防カビ・防汚・消臭などその効能は多岐にわたる。また、一度施工コーティングした場所は、研磨して削り落とさない限りその効果が長期間持続する耐久の高さを誇り、ホテルや飲食店など広く使われている。
光が当たることで効果を発揮する”光触媒”の多くは、室内蛍光灯の真下の明るさがないと十分な効果が得られないが、『ウイルス侍』は暗い寝室の読書灯ほどの光力でもその威力を発揮する。まさに劇場にぴったりのコーティング剤と言えるだろう。
実際にスプレーガンでの作業の様子を見学させてもらったが、1席に3分以上かけて、網目状にスプレーを散布。これを600席以上行い、さらには扉やロッカー、スタッフルームや楽屋など、人の手が触れる可能性がある場所には徹底的に塗布していくとのこと。帝国劇場の際には、多数のプロのスタッフで稼働しても丸1日かかる作業であったと言う。
かなり強力なコーティング剤ということで、客席が消毒の独特の匂いに包まれたり、座席が湿っぽくなってしまうのかと思いきや、まったくそんなことはなく、むしろ消臭効果により空気が澄んだように感じた。『ウイルス侍』は公的試験機関での安全性検証も行われているため、安心して腰かけ、舞台を楽しむことができるだろう。
12月12日(土)からは山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿が出演する『オトコ・フタリ』を控えた東京・シアタークリエ。スタッフ・キャスト一同、細心の注意を払い、徹底した感染予防で稽古に励んでいるとのこと。
【公式サイト】https://www.toho.co.jp/stage/theatre_crea/index.html
(取材・文/エンタステージ編集部 1号)