松崎史也が脚本・演出を手掛け、岡宮来夢、立花裕大、橋本真一、法月康平、中村誠治郎が出演する『5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]』が東京・品川プリンスホテル ステラボールで上演中。ウィリアム・シェイクスピア四大悲劇の中でも最高峰の名作「ハムレット」を男性5人で紡ぐミュージカルにアレンジされた本作。出演者は5人ながら、ハムレットを演じる岡宮以外はヒロインであるオフィーリアをはじめとした女性役もすべて4人が入れ替わり立ち代わり演じて物語を展開している。
舞台の上下にはさまざまな衣装がかけられた4人分のラックがあり、立花、橋本、法月、中村がその場でキャラクターにあった衣装に着替えては真ん中にある物語の“舞台”へと上がっていく。場面ごとにオフィーリア、ガートルード、クロ―ディアス、ポローニアス、レアティーズ、ホレイショ―らの配役がコロコロと変わっていくさまは見ていてすごく楽しい。入れ代わり立ち代わりで演じているにも関わらず、それぞれがキャラクターを理解し繊細に演じていることで違和感なく観ることが出来るのは感動的だし、どの舞台でも一度は考えてしまう「この俳優さんが演じるこの役も観たかった・・・!」という願いがそれぞれ叶うのもこの舞台ならでは。
4人の表現力が光る舞台の真ん中、ハムレットを演じる岡宮の存在感も大きく、父の亡霊が告げる真実に苦悩し、愛する人を守るために傷つけること、そして復讐することに葛藤する姿は痛々しくも愛おしく、思わず目を奪われてしまう。また、岡宮から発せられる力強く熱のこもった歌声は大きな会場を包み込んで一気にハムレットの心の中へ引き込んでいく。舞台初主演ながらその姿は安心感があり頼もしく、心強い先輩4人と共に見事な“悲劇”を体現していた。
公開ゲネプロ動画の映像を観れば感じてもらえると思うが、岡宮だけでなく立花、橋本、法月、中村が紡ぐ歌声も素晴らしい。繊細で気迫のある歌声によってよりキャラクターの心の底を覗くことができ、シェイクスピア作品らしいセリフ量の多さとスピード感のある展開ながらしっかりとその心に寄り添うことが出来た。
5人によって美しく激しく紡がれるナンバーは耳に残るものが多く、特にハムレットが亡霊に追い込まれていく場面で歌われる「復讐せよ、復讐せよ」という恐怖を煽られるメロディー&フレーズが脳に焼き付いて、帰り道に無意識に口ずさんでしまう人もいるだろう。
5人しか舞台上に立っていないというのが嘘だと思うほど壮大に感じられる、圧倒的な歌唱力と繊細な演技で紡がれる復讐の物語を、ぜひその目で、耳で感じてほしい。
『5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]』の上演時間は休憩時間なしの約1時間50分。東京・品川プリンスホテル ステラボールでの公演は11月23日(月・祝)まで。18:00の千秋楽公演は生配信で観ることができ、11月24日(火)18:00から12月1日(火)23:59までのアーカイブ配信も決まっている。また、2021年5月31日(月)にDVDの発売も予定している。
公演情報
5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]
2020年11月19日(木)~11月23日(月・祝) 品川プリンスホテル ステラボール
【脚本・演出】松崎史也
【出演】岡宮来夢、立花裕大、橋本真一、法月康平、中村誠治郎
【公式サイト】 https://www.nelke.co.jp/stage/5guys_hamlet/
【ライブ配信特設ページ】 https://theater-complex.jp/movie/detail/1054
(取材・文:エンタステージ編集部3号/撮影:小境勝巳)