2020年11月から12月にかけて東京・シアタークリエにて上演されるミュージカル『RENT』の製作発表が10月8日(水)にYouTubeにて生配信され、花村想太、平間壮一、堂珍嘉邦、甲斐翔真、遥海、八木アリサ、加藤潤一、光永泰一朗、RIOSKE、上口耕平、フランク莉奈、鈴木瑛美子、宮本美季、吉田広大、ICHI、コリ伽路、奈良木浚赫、小熊綸、吉田華奈、吉原シュートが登壇。「Seasons of Love」「Another Day」「What You Own」などの名曲を披露するほか、キャスト陣から本作への思い入れや意気込みなどが語られた。
ミュージカル『RENT』は、1996年の初演以来ブロードウェイで12年4か月のロングラン、世界15カ国で各国版の上演、2006年には映画化もされた世界中で愛される名作。1830年頃のパリの下町を題材にしたプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースに20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジに舞台を置き換え、当時の若者の生き方や世相をドラマティックに描いている。
本作で描かれる若者たちは若き芸術家、音楽家たち。貧困、エイズ、ドラッグといった死と隣り合わせの生々しい問題に直面しているにもかかわらず、愛や友情を信じ、夢に向かって輝き続けようとする若者たちの物語を、バラエティー豊かなミュージカルナンバーによって鮮明に紡いでいく。
今回行われた製作発表では最初に、キャスト20名による「Seasons of Love」が披露された。初日約1カ月前ながらそのハーモニーはすでに美しく素晴らしく重なり胸に沁み入り、さまざまな若者の葛藤などが垣間見ることができた。また、マーク役の花村、平間、ロジャー役の堂珍、甲斐、ミミ役の遥海、八木アリサ(それぞれWキャスト)による「Another Day」、花村、平間、堂珍、甲斐による「What You Own」も披露され、たった3曲ながら『RENT』の世界の一片を感じさせてくれた。
歌唱披露後には、キャスト20名が再び舞台上へ上がり、1人1人挨拶。今回初めて本作に出るマーク役の花村は「2017年に僕は初めて『RENT』という作品に触れて、この作品をきっかけにミュージカルのステージに立ちたいという夢を持った一人なので、その夢が叶おうとしていることが本当に幸せです。命かけてやっていきたいと思います」と並々ならぬ思いを見せ、これまで2015年、2017年にエンジェル役として出演し、今回初めてWキャストでマーク役を務める平間は「YouTubeを見てくださっている皆さん、ご飯を食べながらみてくれてるんですかね。時間を割いてくださってありがとうございます。楽しい話出来るかなぁ・・・楽しんでもらえるようにがんばります!」と配信先のファンに思いを馳せながら無邪気にあいさつした。
2015年、2017年に続き、3度目のロジャー役となる堂珍は「この作品は僕にとっても沢山ターニングポイントになっている作品で、今回はきっちり最後まで走り抜くことを目標にやっていけたらと思っています」と意気込み、ロジャー役新キャストとなる甲斐は「世界中で愛されるこの作品に出演できることをうれしく思います。初めてミュージカルのオーディションを受けたのが『RENT』で、色々あって幕が開くかどうか不安でしたが、どうにか上がりそうで、そしてこうやって製作発表という形で皆さんに発信できることが幸せです」と喜びを噛みしめた。
歌唱披露で力強い歌声を聴かせてくれたミミ役新キャストの遥海は「ミュージカルをやれると思ってなかったのですが、初めてのミュージカルが『RENT』で・・・言葉にできない感情が多い。ミュージカルはまだわからないことが多いんですけど稽古が始まって皆さんにたくさん支えていただいてるので、自分なりのミミを精一杯がんばっていきたいと思います」と語り、同じく新キャストの八木は「今日は初めてカラオケじゃないところで歌を歌うっていうのがすごく緊張したんですけど・・・初ミュージカルで皆さんとご一緒できてとてもうれしいです。この2020年にこの『RENT』をお届けできることにとてもワクワクしています。毎日精一杯がんばってます」と初々しくコメントした。
2012年、2015年以来5年ぶりににコリンズを演じることになった加藤は「新しいキャストのみんなと愛を紡いでいい作品にしてこの世の中がんばっていきたい」としみじみ語り、2017年から引き続きコリンズを演じる光永は「僕はキャストで選んでいただくずっと前から“レントヘッド”(=『RENT』の熱狂的ファン)で、ものすごく大好きで。そんな作品の舞台に立てて『Seasons of Love』歌ってる時も泣きそうになりました。
90年代のニューヨークで、エイズという全く分からない病気で混乱してたものが2020年に全世界で起こった新型コロナウイルスというものに通じるものがあるのかなと。時を超えて今につながるメッセージが必ずこの作品にあると思うので、精一杯僕たちもつたえられるようにがんばりたいと思います」と熱く語った。
エンジェル役新キャストのRIOSKEは「初めてのミュージカル、初めての舞台なんですけど・・・最初オーディションに受かったと聞いた時は信じられなくて。本当にずっと大好きな作品で、世界中でこんなに愛されている作品に出るってことはやっぱり自分の中でもハードルが高くてプレッシャーがあって・・・今も不安はありますけど、毎日毎日幸せに稽古をしているので、この幸せな自分の気持ちや沢山の思いを早く皆さまに届けたいです」と笑顔で語り、同じくエンジェル役新キャストの上口は「見に来て下さった皆さまが2020年を振り返った時に、いろんなことがあったけどあの時『RENT』を見てよかったと思っていただけるような、そんな作品を目標に挑みます」と爽やかに挨拶した。
モーリーン役新キャストのフランク莉奈は「2011年にミュージカル界に飛び込んだんですが、ずっと『RENT』に出ること、モーリーンを演じることが長年の目標でした。2020年というすごく大変な年ですけど、今年『RENT』に出られることをすごくうれしく思います。毎日この作品の持つ力に私自身すごく励まされながら稽古をしています。すてきなキャストの皆さんとスタッフの皆さんと力合わせてこの作品を届けたいと思います」と念願の役に感無量の様子。
同じくモーリーン役新キャストの鈴木は「この時期に『RENT』を届けられることは意味のある素晴らしいことだなと改めて実感してます。今までいろんな方がモーリーンを演じて、いろんな形のモーリーンがいるので、自分はどんなモーリーンを演じたらいいのだろうかとか不安があるんですけど。『RENT』に入ってから心がオープンになっていて、皆さんのおかげで全て受け止めてくれるという安心感があるので、この気持ちをずっと忘れないでモーリーンという女性を作り上げていきたいと思います」と笑顔で語った。
2015年2017年に続き今回が3回目のジョアンヌ役となる宮本は「毎回本当に違う『RENT』という世界を新しいキャスト、カンパニーと作っていくんですけど、2020年という年はソーシャルディスタンスで人と繋がれない・・・みんな抑えつけられ、我慢する日常が続く中、人間にはこんなにも激しい感情がいくつもあって繋がるっていうことがこんなにも素晴らしいことなんだっていうのを稽古を通して日々感じています。今年ならではの『RENT』というものを伝えられるようにがんばります」としみじみ。
ベニー役新キャストの吉田は「ベニーの持つ目標に向かう強さや憎たらしさ、そしてその中でも垣間見える仲間に対する優しさを自分なりに表現できればと思います。そしてこの『RENT』を通して、僕ももっともっと愛を知っていくんだろうし、その愛を皆さまに届けられるのが楽しみです」とコメントした。
また、さまざまな役を演じ、物語をさらに盛り上げていくICHIは「大好きな作品に出られて幸せですし、同じベクトルで歩いていける仲間、家族が居ることが幸せです。稽古が始まって壁にぶつかることもあるけど、全身全霊、殻を破ってがんばりたいと思います」と意気込み、コリ伽路は「まさか自分がこの作品に出られるとは。皆さんと一緒に『RENT』のメンバーになれて幸せで仕方ないです。日々の稽古で皆さんの愛を感じるし、最後までこの仲間と乗り切っていきたい」と意気込んだ。
さらに奈良木は「今回3回目。新型コロナウイルスの影響で自分が出ることが決まって・・・自分が何が出来るかなと考えながら行動していくのが大切だなと感じてます。この機会に感謝して、今年しかできない『RENT』を届けられるようにがんばりたい」と語り、小熊は「たくさんの愛を精一杯みんなに届けて、支えていきたいと思います」と決意。
吉田は「毎日このカンパニーのみなさんとより良い作品を作り上げるために葛藤しながらそれぞれお稽古に励んでいます。なので、ご来場いただく皆さまに本当に満足していただけると思いますのでぜひ楽しんでいただければと思います」とアピール。最後に吉原が「本当に素敵な方々とできるのが毎日幸せです。僕自身はトランスジェンダーなんですが、そのことを皆さんに改めてカミングアウトして、その時の皆さんの反応がとてもあたたかったので僕はすごく居心地がいいんです。そんな素敵な方たちと『RENT』を一緒にできて幸せです。ぜひ皆さん劇場に足を運んでください」と挨拶した。
なお、今回製作発表に登壇できなかったSUNHEEは11月20日(金)以降の公演にベニー役で出演予定で、ベニー役の吉田は11月20日以降はミスター・ジェファーソン役での出演を予定している。
現在稽古中の本作だが、日本版リステージを担当するアンディ・セニョールJr.が新型コロナウイルスの影響により来日できていないためリモートで稽古を進めているとか。その状況について、平間は「すべてが新鮮ですよね。マスクをつけたまますることもそうですし。心を開いて距離を縮めていきたいところを、このひとつ壁があることで『う~っ!』ってなることもあるけど、この状況がみんなをひとつにしているのかなとも思います。今しかできない稽古だと思うと、また特別な『RENT』になるのかなと思っています」ともどかしさを感じながらも前向きに捉えて稽古に励んでいる様子だ。
会見では、Twitterで募集したファンからの質問が投げかけられる企画も。ミュージカル初心者に向け、本作のおすすめシーンや見どころを聞かれた花村が「全部ですね!」と答えると平間から「間違いない!」という賛同の声が上がった。
最後に、キャストを代表して花村と平間が挨拶。花村は「『Seasons of Love』でも言ってるように、人生は1分の積み重ね、もっといえば1秒、一瞬の積み重ねだと思うんですけど。そこに感動というスパイスが加わると一生心に残るものになると思います。“永遠”という存在。その永遠になる瞬間が『RENT』にはたくさん詰まっているので、無理にとは言いませんが・・・足を運んでいただけたらうれしいです」と熱くコメント。
そして平間が「“愛”という言葉。人によっていろんな形がありますし、色も違うし、臭いだって違うかもしれない。何か整理がつかないことがあった時に、この『RENT』が皆さんの気持ちを受け取れる場所でありたいなと思っています。今の段階では稽古場で泣いたり、いろんな苦しい思いがありながら戦っているのですが、皆さんの前に立つときには皆さんの愛を受け取れる場所でいられるようにがんばるので、無理だけはしないようにしてぜひ劇場に足を運んでください」とアピールして会見を締めくくった。
ミュージカル『RENT』は下記の日程で上演。チケットは東京公演の一般発売が10月10日(土)10:00よりスタートする。
【東京公演】2020年11月2日(月)~12月6日(日) 日比谷シアタークリエ
【愛知公演】2020年12月11日(金)~12月12日(土) 愛知県芸術劇場 大ホール
【公式サイト】https://www.tohostage.com/rent2020/
(文/エンタステージ編集部 写真/オフィシャル提供)