株式会社BS-TBSと作家集団・株式会社クリエイティブボードが、バルス株式会社の提供する有料配信プラットフォームを活用し、家で楽しめるリモート配信劇場「うち劇」を設立した。「うち劇」では、出演する俳優らが自宅や事務所など別々の場所からPCを通して観客に向けて演じ、配信できるほか、異なる場所でも役者が演じやすい仕組みを構築。演出面でも、背景を合成するなどして「うち劇」ならではの臨場感を生み出す。その第1弾として、4月25日(土)に『マトリョーシカの微笑~刑事は二度死ぬ~』(脚本:太田善也、塩塚晃平/演出:太田善也)を配信し、染谷俊之、平野良、赤澤燈が参加した。
実際に、別々の場所から出演した3名。最初は手探りの様子だったが、話が進むにつれて芝居は熱を帯び、ぐいぐいと視聴者を物語に引き込んでいった。音声や画像という、配信ならではのギミックを、遊び心たっぷりにいじるシーンも・・・。何より「芝居ができる」ことへの3名の喜びが、画面越しにも伝わってくる瞬間が多々ある公演だった。
初の取り組みを終えた3名のコメントが届いている。
◆染谷俊之
皆様になかなか演劇が届けられないという状況の中、リモート朗読劇という形で演劇をお届けできたことを大変嬉しく思います。
最初はリモートで行うということはとても不安だったのですが、いざやってみるととても新鮮でいろいろな可能性を感じることができました。
もちろん、このコロナウイルス感染症の拡大が収まることが何より重要なことではありますが、このリモート演劇が、今までの劇場での演劇とは別の路線としてさらに発展していくというのも良いのではと思いました。
◆平野良
芝居をするのが1ヶ月ぶりで、最初に台本を読んだ時に台詞が入らず、芝居の能力が衰えてしまっていること驚いていました。
実は、様々なお仕事をしている方々が、在宅ワーク・リモートワークをしていらして、自分のような役者という仕事でもできないだろうかと思い、様々な方に相談をしていました。
そこへ、こんなにも早く、今回の話をいただけて、今までの芝居とは違った自分の新たな財産になりました。
もちろん、いち早く元通りの形の演劇ができる日が来ることが何よりですが、元通りの演劇に戻った時にも、今回のスタイルでや培った発想は、さらにいろいろなことができるようになったプラスの演劇スタイルになっているような気がします。
そして、何より今回、芝居ができてとても楽しかったです。
私たちも、これからも安全・健康に気をつけつつ、自分たちにできることを発信していければ良いなと思っています。
皆様もくれぐれもお体には気をつけてお過ごしください。
今回は、ご覧いただき誠にありがとうございました。
◆赤澤燈
まずは、ご視聴くださった皆様ありがとうございました。
初めての試みで最初はどうなるのだろうかと思ったのですが、皆さんのご尽力で無事終えることができました。
今回やってみて、「自粛」という状況の中、久しぶりに芝居をすることができて心が動きました。
やはり、ボクたち役者にとってはこういう場所はとても大事な場所だということを再認識した次第です。
きっと、この形も今後どんどん洗練されて、皆さんが安心して楽しめる場所が増えていけば良い・・・と思いました。
そして、皆さんが安心して外に出歩けるようになる日が来て、またぜひ劇場での演劇に足を運んでいただける日が来ることを願っております。
BS-TBSで数々の映画ドラマ映画を手掛けるプロデューサーの丹羽多聞アンドリウ氏は、「この世相を反映して、出演者と観客が一体となれるリモート劇はニーズが高いと思います。また、この機会に配信演劇という新しい表現の場を広げたいと考えています。仕事をなくしている演劇関係者や芸能事務所との協業を目指したいと思います」と語っている。
「うち劇」では、有料でのチケット販売視聴や、月額課金視聴などが実施可能。今後はこのプラットフォームを使い、芸能事務所や劇団との協業も視野に入れているとのこと。