等身大のロック!“心”を動かす真田佑馬の音楽『27 -7ORDER-』レポート

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2020年2月9日(日)に東京・天王洲 銀河劇場にて真田佑馬の主演舞台『27 -7ORDER-』が開幕した。本作は、2019年に上演された舞台『7ORDER』のスピンオフ作品で、国民を統制する法に抗う“7ORDER”の中で、一人葛藤するユウマ(真田)のバックボーンが描かれ、真田はユウマと、ユウマの父カズマの二役に挑戦している。本記事では、初日前に行われた公開ゲネプロの模様をレポートする。

「7ORDER project」とは、安井謙太郎、真田佑馬、諸星翔希、森田美勇人、萩谷慧悟、阿部顕嵐、長妻怜央の7人が“Happy をみんなで作りあげていく”をモットーに、自分たちなりの新たなエンターテインメントを創造していくプロジェクト。

プロジェクトの第1弾として2019年に舞台『7ORDER』を上演。第2弾では、森田を主演に据えた『RADICAL PARTY – 7ORDER -』で物語の中で7人が出会う前の過去が描かれた。脚本は丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)と河西裕介、演出は丸尾が手掛ける。

(以下、物語のあらすじに触れています)

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共通して描かれいてるのは、国民を統制するために施行された「AZ法」に支配された世界。多国籍民の流入によって荒廃した近未来、国民の生活は一変してしまった。個人は「A」から「Z」にランク付けされ、職業や居住区までが制限される。ランク下位に分類された人間は、音楽を効くことさえも禁止されてしまう。

そんな世界で、「Z」にランク付けされた7人が出会った。彼らは、自分たちの自由を取り戻すために“音楽”で立ち向かおうとする。盛り上がるメンバーの中で、ユウマは一人戸惑っていた。

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友人・ゲンキ(中島健)に励まされながらも、ギターに触れることに積極的になれないユウマ。ユウマの父・カズマは、伝説のバンド「memento mori」のギタリストだったが、彼を捨て27歳でこの世を去った。母も、彼を生んですぐに他界した。ユウマは両親のことを何も知らない。ただ、自分を捨てた父親のようには「なりたくない」という想いを抱えて生きてきた。

そんなある日、「G」にランク付けされ国家機関で働いているかつての同級生・ヤマト(財木琢磨)からあることを頼まれる。それをきっかけに、カズマは父と向き合うことに。父を知る唯一の手がかりは、1冊の日記帳だった。

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父カズマは「memento mori」として、ボーカリストのショー(定本楓馬)、ベースのゴロウ(白石康介)、ドラムのヒビキ(瓦林拓弥)と活動していた。父がどんな想いで音楽と向き合っていたのか。そして、ジャニス(石井美絵子)と呼び、唯一愛した女性とどうやって出会ったのか・・・。

父の過去に触れる中で、ユウマは「スコアクラブ」と名乗るカート(梅津瑞樹)、ブライアン(北川尚弥)、ジミヘン(松田昇大)、シド(高橋祐理)らと出会う。「7ORDER」とはまた違う仲間を得ることで、ユウマは何を思うのか――。

真田は一人二役をほぼ舞台上からハケることなく演じ続ける。子から父へ、父から子へ。真田は「着替えている瞬間はまた別の役を演じているよう」と言っていたが、暗転の中、現在の真田を含めた「27」の年月が行き来する。丁寧に、ゆっくりと、着実に。

脚本・演出の丸尾は、真田と本作について話した当初は「“愛と暴力とSEX”みたいな、尖った舞台にしてやろうと話していたんです。でも、出来上がったのは、“親と夢と仲間”という、すごくあったかい舞台になりました」と語っていた。

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本シリーズは、「7ORDER」の面々が演じる役については、本人と同じ名前が採用されている。それだけに、役を通して見える“個性”が大切に描かれているように感じる。そして、真田の場合は“音楽”にも色濃くその気配が漂う。

劇中では、真田が作詞・作曲を手掛けた「Love Shower」「27」をユウマとして披露している。この楽曲たちが、実に染みた。きっとこれが、彼の「大切にしているもの」であり、「等身大の“今”の姿」なのだと伝わってくる。音楽はそれだけでも強い力を持っているが、物語と手を取り合うことで、何十倍も、何百倍も、“表現”を豊かにし、新しい世界へと解き放つ。

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一方で、「memento mori」のカズマとしてロックで荒々しく歌い上げる姿も彼の一部なのだろう。また、定本のぎらつく目とシャウトはバンドのカリスマ性を際立たせる。稽古中は実際にスタジオにも入っていたそうで、汗が蒸発して室内がくもってしまうほど熱い練習を重ねてきたという。

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また、物語も多角的な面を見せ始めた。「Z」ではないランク付けをされた人間は、何をどう考え、生きているのか。一人、立場の違う存在となっている財木が見せる秘めた葛藤は、物語の中にコントラストを生む。

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ロックの歴史にその名を刻む、偉大なミュージシャンの名前を冠する「スコアクラブ」のメンバーも個性豊かだ。「7ORDER」以外の面々と出会うことで広がる世界と、浮かび上がる絆。この先にどんな未来が待っているのだろうと、ワクワクしてしまう。

会見で、真田は「音楽ってすごくいいなって思うんです。いつもは、自分がつくった曲を7ORDERのメンバーが歌っているんですが、この舞台で共演する皆さんが歌ってくれている姿を見て、心を動かす瞬間というのは一番、音楽の中で生まれやすいんだなと思いました」と語っていた。

27歳の父と、27歳の息子。そして、27歳の「真田佑馬」という表現者。27年という時間には、愛も哀も、たくさんの出会いも生む。そこから溢れたメロディは、時代の流れ、置かれた環境もすべて飛び越えていくのだろう。そう思わせてくれる瞬間が、確かにあった。

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『27-7ORDER-』は、以下の日程で上演。上演時間は、約2時間(休憩なし)を予定。

【東京公演】2020年2月9日(日)~2月16日(日) 天王洲 銀河劇場
【神戸公演】2020年2月21日(金)~3月1日(日) AiiA 2.5 Theater Kobe

※高橋祐理の「高」は「はしごだか」が正式表記

(C)7ORDER project

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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