村上虹郎、森崎ウィンらが互いを高めていく!『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2稽古場レポ

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宮野真守、蒼井翔太、北乃きい、笹本玲奈らが出演するブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1が千秋楽を迎えた1月13日、村上虹郎、森崎ウィン、宮澤エマ、田村芽実ら注目の若手俳優が集結したSeason2の稽古場を取材。2月1日(土)の開幕に向けて全力で作品作りに臨む熱気とエネルギーに溢れた稽古の模様を伝えていく。

シェイクスピアの悲劇「ロミオとジュリエット」に着想を得て、1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイドを舞台に、ポーランド系移民のトニーとプエルトリコ系移民のマリアが禁断の恋に落ちる姿を描いている本作。主役のトニー役はミュージカル初挑戦となる村上虹郎とミュージカル初主演の森崎ウィン、マリア役を宮澤エマと田村芽実がそれぞれWキャストで演じる。

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この日は、村上と宮澤、森崎と田村の組み合わせでの第2幕の通しが行われた。マリアがトニーとのデートのために準備をしながら「I Feel Pretty」を歌う場面から始まり、弾む声にひらひらと舞うスタートの裾、運命の出会いに心を躍らせ可憐な表情で歌う姿はまさに恋する乙女。こちらまで幸せな気持ちにさせられた。

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印象的だったのは、その後に胸を引き裂かれるような衝撃の事実を知ったマリアのもとにトニーがやってきて、それでもお互いを求めて「どこか遠くへ行こう」と空想の世界へと移っていく場面。これまでとは雰囲気が一変し、言葉なくダンサーたちによる圧倒的な表現力だけで何もない場所に夢のような美しい世界を描き出していく。名曲のひとつである「Somewhere」のメロディーが流れるシーンだ。

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このシーンは村上たちにも印象的なようで、ミュージカル初挑戦となる村上は「みんながダンスで地獄や理想の地、いろんな世界を表現しているんです。言語化されていない、あのような場面はストレートの舞台にはないので面白いと思いました。あそこで流れるメロディーも近くで聞いてるからこそ余計に感じるのですが、ダンサーさんたちのエネルギーが劇場に入った時に全く薄れずにみんなに届いてほしいなと思うばかりです」と、稽古を始めて改めて感じたことを語っている。

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宮澤も「この作品における踊りの大きさを改めて認識させるシーンだなと思っていて、緻密に豪華にセットを作り込んでいるのにこのシーンだけは本当に何もセットがなくて、踊りや私たちのリアクションだけでその世界観を描いているんです。私たちの意思とは関係なくダンサーのみんなに動かされてその中で引き裂かれていくんです」とこのシーンについて教えてくれた。

そして「冷静に考えるとたった今自分のお兄ちゃんが死んだって聞いて、それがトニーのせいで・・・そんなトニーとなぜ一夜を共にするのか。もしこの場面なく『どこか遠くへ行こう!』という流れだと、分からないと思うんです。でも“彼は悪くない、誰も悪くない”と言う感情を二人で肌を重ねて過ごすことでしか消化できないんだろうなと、この場面があることで分かるんですよね」と、マリアたちの思いをひとつひとつ理解しながら役を作り上げているようだ。

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村上はこの場面を「『イノセントワールド(=純粋な世界)』みたいなシーン」と表現。そんな幻想的な場面の後には生々しい“リアル”が続く。恋人をなくしたアニータ(May J.、宮澤佐江によるWキャスト)が、マリアの元を訪れトニーのことは忘れるようにと思いをぶつける場面。悲痛な叫びとも懇願ともいえる言葉、ベルナルドを愛し、マリアも大切に思うからこその熱弁に思わず目頭を熱くさせられる。

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稽古は村上&宮澤らの通しが最初に行われ、森崎&田村らはその様子を目の前で見守っていた。ジェッツのメンバーがクラプキのマネをするシーンなどではその時出番のないキャスト陣から自然に笑い声がこぼれるなどその時感じた気持ちを素直に出していたのが印象的だったが、その中で、このマリア(宮澤エマ)とアニータ(宮澤佐江)のシーンを見ていた森崎が涙を流している姿が目に留まった。

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実は稽古の前に、歌詞をセリフとして発する稽古があり、そこで改めてアニータの思いを感じたという森崎。「なんかすごいグッとくるんですよね。アニータの『私もベルナルドを愛していたわ』というセリフで息をのんで・・・」と教えてくれ、「僕、『ウエスト・サイド・ストーリー』ではアニータが一番好きで、だから泣いちゃってたかもしれないです。めちゃくちゃ良いシーンです」とその時のことを振り返った。

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この後に田村とMay J.による同じシーンの稽古も行われたが、田村も「このシーンの後、アニータがドクの店に行って、ジェッツの男性たちに襲われるようなシーンがあるんですけど、そこまで知っていると見ていても演じていても辛い気持ちになるんです。自分が初めてそのシーンを演じた時はアニータに気軽に触れることも出来なくて、アニータに感情を寄せてしまって酷いことをしてしまったような気持ちになって・・・。私も涙が止まらなくなりました」と思い入れがあることを明かす。

そして、「でもそれをも超えるマリアの愛があったんだなというのが分かりました。その愛の力、そこから生まれる憎しみがすごいなと感じました」とアニータとの場面をきっかけにマリアのトニーへの愛の強さをさらに理解することが出来たようだ。

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キャスト陣の心をも揺さぶる場面の後にも、トニーとマリアの愛を強く感じるシーンが最後まで続いていく。マリアがチノに殺されたと聞いたトニーが店を飛び出し、チノを血眼に探すシーンでは、村上、森崎共に只ならぬ雰囲気を発し、稽古場全体を“怒り”で満たす殺気溢れる姿が目に焼き付いた。ラストには、トニーを失うことになってしまったマリアの“怒り”と“哀しみ”も稽古場に満ちる。二人の愛の大きさを肌で感じることが出来た。

村上は誠実さの中にも若者らしい刺々しさを持ち合わせた、森崎は柔和でしっとりとした、違う雰囲気を持つトニーを作り上げていっているように感じた。そして、宮澤のマリアにはふわふわとしたかわいさの中に快活さがあり、田村のマリアには純粋さの中に揺るがぬ芯の強さが見えた。組み合わせによってさまざまな愛のカタチが出来上がりそうだ。

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また、2幕の通しの後にはジェッツとシャークスのダンスの魅力が爆発するプロローグと「Cool」の稽古も。舞台ほどは広くない稽古場すべてを使って激しく凛々しく、エネルギーに溢れたダンスを披露する。1つ1つの振りに意味があり、それを全員で確認しながら、理解しながら表現。上口耕平と小野賢章のリフ、渡辺大輔と廣瀬友祐のベルナルド、それぞれがジェッツとシャークスを力強く引っ張っていく。

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高く上がる足としなやかでキレのあるダンス。稽古場の端から端まで駆け抜ける疾走感で巻き起こる風が頬を撫で、爽やかさの中に努力が生み出す汗が光る。傍目にはハイクオリティに感じたが、細かいフリを微調整し精度を高めていく向上心を見せた。全力で歌い、踊り、若者たちの勢いや焦燥、反逆心、行き場のない思いを見事に表現していた。

稽古の合間には同じ役を演じる者同士で役の動きを確認したり、田山涼成、山口馬木也らベテラン勢も含めてお互いの演技の感想を言い合ったり、アニータがジェッツに襲われそうになるシーンの後にジェッツのメンバーがMay J.と宮澤佐江を気に掛けて「大丈夫ですか?」と声を掛けたりと、互いのパフォーマンスをしっかりと見つめて一丸となって作品を作り上げていっている様子だった。

稽古場取材時、本番まで残り半月というところ。すでにかなりの精度の様に見えたが、その段階でどれくらい仕上がっていると思うか聞いてみると・・・森崎が「多分終わるまで仕上がらないと思います」とコメント。

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そして「『毎回新しい発見があるよ』って最初に演出補の方に言われていたんですが、本当にその通りで。セリフを覚えて自分なりの解釈を持っていくんですけど、いざセリフを発するとその時で感情が全然違うんです。怒鳴るつもりはなかったのに怒鳴っていたり・・・それが人間味の面白さだなと思って。いい意味で完成がないので、毎回新しい発見をしていただければと思います」としみじみ語った。

色とりどりの個性で互いを高め合い、新たな二人の愛を紡いでいく。どこまで成長して進化していくのか、初日が待ち遠しい。

◆公演情報
ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2
2020年2月1日(土)~3月10日(火)
東京都 IHIステージアラウンド東京

【原案・初演時演出・振付】ジェローム・ロビンス
【脚本】アーサー・ローレンツ
【音楽】レナード・バーンスタイン
【作詞】スティーブン・ソンドハイム

ステージアラウンド版オリジナルスタッフ
【演出】デイヴィッド・セイント
【振付リステージング】フリオ・モンヘ

日本キャスト版STAFF
【翻訳・訳詞】竜真知子
【演出補】フリオ・モンヘ、薛珠麗

【出演】
トニー:村上虹郎、森崎ウィン(Wキャスト)
マリア:宮澤エマ、田村芽実(Wキャスト)
アニータ:May J.、宮澤佐江(Wキャスト)
リフ:上口耕平、小野賢章(Wキャスト)
ベルナルド:渡辺大輔、廣瀬友祐(Wキャスト)

シュランク:山口馬木也
クラプキ:辰巳智秋
グラッドハンド:岩崎う大(かもめんたる)
ドク:田山涼成

The Jets:永野亮比己、後藤健流、佐久間雄生、MAOTO、矢内康洋、森内翔大、富田亜希、平井琴望、弓野梨佳、植竹奈津美、平山ひかる、前田有希

The Sharks:茶谷健太、風間無限、練子隼人、根岸澄宜、尾関晃輔、理土、後藤紗亜弥、小林礼佳、石井亜早実、木原実優、藤森蓮華

Swing:佐野隼平、鯨井未呼斗、門間めい、篠本りの

【Season2公式サイト】https://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_2/
【ステージアラウンド公式サイト】https://www.tbs.co.jp/stagearound/
【公式Facebook】@stagearoundtokyo
【公式Twitter】@STAGE_AROUND

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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