世界初演舞台『FORTUNE(フォーチュン)』製作発表会見レポート!森田剛セリフ量に驚き「サイモン来た・・・!」

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2020年1月から2月にかけて、東京芸術劇場プレイハウスにて上演されるPARCO PRODUCE 2020『FORTUNE(フォーチュン)』の製作発表会見が都内で行われ、主演を務める森田剛の他、吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾、サイモン・スティーヴンス(作)、ショーン・ホームズ(演出)、ポール・ウィルス(美術・衣装)が登壇。2日前から稽古に入ったという本作への意気込みや見どころなどを語った。

本作は、『ブルーバード』『ポルノグラフィー』『オン・ザ・ショアー・オブ・ザ・ワイド・ワールド(広い世界の岸にて)』『ハーパー・リーガン』『夜中に犬に起こった奇妙な事件』など、多くの戯曲を生み出したイギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスが、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作でもある『ファウスト』を大胆にも現代のロンドンを舞台に置き換えた意欲的な新作。

演出は、イギリスを代表する劇場リリック・シアターの芸術監督経験を持つショーン・ホームズが手掛け、イギリスに先駆け日本で世界初上演される。そして、悪魔に魂を売った男の顛末を描く本作の主演を担うのが森田だ。

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本作の脚本を書いたサイモンは「昨年初めて妻と一緒に日本に休暇で訪れたのですが、その時にこの美しい日本に恋をしてしまいました。この国で仕事ができることをとてもうれしく思っております」と語り出し、「才能のある日本の俳優の皆さんと作品を作れることを大変光栄に思います。僕は作品を作る際に、俳優を通して世界を立ち上げていくということを行っています。今回、最高の作品が出来ると思います」と自信を見せた。

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また、今作で日本での演出デビューを果たすショーン・ホームズも「サイモンも言っていたように、この街で皆さんと作品を作ることが出来て光栄に思います」と語り、「準備の為にこれまでに2度来日することができ、一度目は日本の俳優の方と一週間のワークショップを行い、2回目の来日の時には本読みを行うこともできたので、そういった経験を通して日本の文化が分かり始めてきたと思います。そして日本の演劇界というものについても分かり始めてきたかなと思います」と日本での作品作りに手ごたえを感じ始めている様子。

さらに「本当に大変光栄なことに、我々英国から来たクリエイティブチームと日本の素晴らしいクリエイティブチームでコラボレーションが出来ております。音楽のかみむら周平さん、ステージングの小野寺修二さんなど素晴らしい方たちのサポートを得まして、俳優の皆さんと僕の演出、サイモンの戯曲、ポールのデザイン、そういうものが集まって、もうすでに他にはない作品作りが出来ているのではないかと思います」とコメントした。

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今作で美術、衣装を務めるポール・ウィルスは「これまでの僕のデザイナーとしてのキャリアの中でも最もエキサイティングで沢山のことを教わったのがサイモンとショーンの『ポルノグラフィー』でした。なので、ある日ショーンから電話があってこの作品のことを聞いて夢が叶ったと思いました。昨年一度日本でデザインをしたことがあるのですが、また日本に二人と一緒に帰ってこれたこと、そして素晴らしい日本のスタッフ、俳優の皆さんと一緒に作品を作れることが素晴らしいなと思います」と感慨深げに語り、最後に日本語で「ありがとうございます」と感謝を伝えた。

そんなクリエイティブ陣の並々ならぬ思いが詰まった本作で主演を務める森田は、若くして成功した映画監督ながら幼いころのトラウマで人を信じ切ることが出来ず常に喪失感を抱きながら生きてきた中で、望ものを全てを手に入れるために悪魔と契約し闇に落ちていくことになるフォーチュン・ジョージを演じる。

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森田は「お三方に日本に来ていただいてすごく感謝しているし、すごく幸せな事だなと思っています。何年か前にサイモンの舞台(『夜中に犬に起こった奇妙な事件』)をやらせてもらったんですけど、その時ものすごい苦労したんです。またそこに飛び込むということは勇気がいることでしたが、僕にとってもチャレンジだし、刺激のある舞台なのでぜひやりたいなと思いました」と明かし「日本初上演なので、日本が一番良かったと思ってもらえるようにしっかりやりたいと思います」と意気込んだ。

さらに今回の台本を読んだ時に「びっくりしたのは、セリフの量。前回もそうだったんですけど・・・『あ、これだ・・・サイモン来た・・・!』という感じで拝見しました(笑)」と驚いたことを振り返りつつ、「その中には父親はや母親、周りの人たちとの関わり合いが描かれていて、その人たちによって自分が心を動かされる、愛がすごく詰まった本だなと思いました。これはチャレンジしたいなと思いました」と魅力を語った。また、膨大なセリフ量を覚えることについて「受験勉強みたいな感じですかね(笑)。机に向かってとにかく読むという作業になると思います」と明かした。

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向上心が強く、真っ直ぐな信念を持った若き映画プロデューサー・マギーを演じる吉岡は「私が10代の時にこの仕事をやりたいと明確に思ったのが、小劇場の学生演劇を見た時でした。その時から舞台のとりこで、事務所の方に『舞台がやりたいんです』とお話していて、やっと『FORTUNE(フォーチュン)』という素晴らしい作品と出会えました」と嬉しそうに語り「脚本家のサイモンさん、演出のショーンさん、美術監督のポールさんと会って、モノを一つ一つ積み上げていく楽しさみたいなものを、稽古始まってまだ2日目なんですけど心からうれしくて楽しくてすごく噛み締めています」としみじみ。さらに「若いですがプロデューサーとして成功を収めているとても強い信念を持った知的な女性なので、自分自身がぶれないように、役に染まって皆さんと一緒に戦って素晴らしい作品を届けられる努力をしていければ。心を真っすぐにして演じていけたらと思います」と意気込みを語った。

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また、ドラッグディーラーとしてフォーチュンに接近する悪魔・ルーシー役の田畑は「今までにない演じたことのない役を頂いたなと思いました。正直すごく不安で、沢山の期待やワクワクもあるんですけど今回は色んな意味で私自身も挑戦だなと。今までと違う面を皆さんに見せられたらいいなと思っています。いい具合に『FORTUNE(フォーチュン)』の世界に上手く溶け込んで、いい意味で期待を裏切られたらと。体当たりで頑張りたいと思います」と新たな挑戦に心を躍らせる。

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一方、フォーチュンの母親・キャサリン役の根岸は「初めて本を頂いたときは『こんなむちゃくちゃな話どうやるんだろう』と思って想像がつかなかったですが、今までストレートプレイでイギリス人演出家の方とやったことがなかったので興味がありました」と振り返り、「ショーンが日本でワークショップをやるというので参加させていただいたんですけど、ものすごく面白くて!『演劇の国の人だ、シェイクスピアを生んだ国だな』としみじみ思って、これはきっと面白いものになるとその時からずっと稽古が始まるのを楽しみにしてました。ふたを開けてたら、イギリス人クリエイターはとてもタフです。“Soタフ!”。本当にどんどん可能性を広げていただいてるんですが、稽古ですでにへとへと状態です(笑)。それくらい楽しく精一杯みんなで作っています」と興奮気味に語った。

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そして、フォーチュンが11歳の時に蒸発し、9年前にドラック中毒で死亡した父・ショーン役を演じる鶴見は「ゲーテの『ファウスト』をモチーフにした作品と聞いていたので小難しくて難解な話なのかなと覚悟して台本を読んだのですが、とても現代的で濃密で読んでいくのが非常に楽しい台本でした。私たち俳優と言うのは常にチャレンジをし続ける仕事なんですけど、まさにふさわしい機会を与えてもらったと全員思っているのかなと」と楽しそうに語る。

また、「日本では、(私たちが)どういう人間か知っている人は多いけどイギリスのクリエイターの皆さんはどういう俳優か知らないと思うんです。彼らもチャレンジだと思うので、その気持ちに応えるべく、精一杯今の俳優としての自分に何が出来るのか試す機会でもあるので素晴らしい有意義な仕事だと思います。文化の違うイギリスと日本のクリエイターと俳優がコラボレーションして何が生まれるか。世界に先駆けての上演ということで、これがスタンダードになってこの作品が世界を巡ることを考えると我々としても夢が持てますし、役者冥利に尽きる仕事に携われているなと思います」としみじみ語った。

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製作発表会見の後に行われた囲み取材には森田、吉岡、田畑、根岸、鶴見が登壇。始まったばかりの稽古だが、森田は「お互いの想像力やイマジネーションをぶつけ合って、少しずつ進んでいます。それぞれが作品に責任を持ってやるというのはすごく良いことだなと。みんなで意見を言い合いながら作っています」とコメント。

また、己の欲望を追い求めて悪魔と契約を交わす役どころだが、「僕が思うのは、普段の生活で何気ない幸せだったりを発見できる自分がいるのはすごく幸せな事だと思うし、演劇の場合、舞台で自由に開放できる場所があるので普段窮屈な生活をしていても、舞台に出たら自由に・・・と言うのがあるからすごい幸せだなと思います」と自身の幸せ観を明かし「ラブストーリーがあったり、家族の愛がテーマになっていて人との関わりがすごく描かれている作品なので、どのシーンを見ても共感できると思います」と作品の魅力を改めて語った。

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吉岡も「(フォーチュンが)魂を売ってしまった後にラブストーリーに変わっていくので、『それは真実の愛なんだろうか?』と言う問いかけがすごく面白いなと思っていて。燃えるように恋に落ちていくシーンもあるけど、『本当にそれは恋ナノ?』っていう本質的なところに問いかけていくように、自分のキャラクターを作っていければいいなと思います」と作品の面白さを語りつつ、これからの目標を明かした。

そんな中、稽古での動きで田畑が筋肉痛になった話に。鶴見が「(ゆっくり)動く“等速”をやっているんですけど、起き上がって立ち上がるだけでものすごい筋肉痛になるんです(笑)」と説明すると、田畑は「でも大丈夫です、頑張って体力を・・・!楽しみたいと思います(笑)!」と気合を入れていた。

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さらにそれぞれが複雑な役作りをしている中で、鶴見は「作り手が楽したものをお見せしても満足していただけないと思うんです。みんな楽しいフリしてるけどすごい大変なんですよ(笑)」と明かし「稽古時間ギリギリまでやってますし、どんな角度から突っ込まれてもいいように今みっちり濃密に作っています。まだ2日目だからこんなに喋れているけど(笑)、多分本番前になったら・・・(ぐったりする)。エネルギーと体と心を使って作り上げていくと思います」とカロリーの高い作品作りへ不安を抱きつつも楽しみにしている様子だった。

そして最後に、森田が「日本初ということで皆さんが感じたことのない観たことのないような舞台が観られると思います。ぜひ劇場に遊びに来てください」とメッセージを送って会見を締めた。

PARCO PRODUCE 2020『FORTUNEフォーチュン』は、以下の日程で上演される。

【東京公演】2020年1月14日(火)~2月2日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
※1月13日(月・祝)にプレビュー公演あり
【松本公演】2020年2月7日(金)~2月9日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
【大阪公演】2020年2月15日(土)~2月23日(日・祝) 森ノ宮ピロティホール
【北九州公演】2020年2月27日(木)~3月1日(日) 北九州芸術劇場 大ホール

【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/fortune/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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