『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』『ユリ熊嵐』などで知られる幾原邦彦監督の最新作となる「さらざんまい」を舞台化した、さらに『さらざんまい』~愛と欲望のステージ~』が、2019年11月28日(木)に東京・シアター1010にて開幕した。初日前日には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、木津つばさ、設楽銀河、野口準、中村太郎、高本学が登壇した。
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本作は、浅草を舞台に中学生の矢逆一稀(木津)、久慈悠(設楽)、陣内燕太(野口)が、謎のカッパ型生命体“ケッピ”にカッパに変身させられ、ゾンビの尻子玉を奪うため奮闘する中で、人間の“つながり”と“欲望”を描いた物語。脚本・演出を伊勢直弘が担当し、幾原監督が舞台版でもスーパーバイザーを務めている。
木津は、稽古を振り返りながら「僕たちは本当に仲良くいろいろなことを学び、これからも多くのことを学んでいくんだろうなと思いながら、稽古を重ねてきました」と挨拶。「アニメに忠実な部分もありつつ、演劇的な描写で描かれています。そして、僕たちが実際にカッパになります。映像ではございません!僕たちがしっかり“カッパ”になりますので、それを楽しんでいただければ」と見どころを明かした。
一方、設楽は「一人一人が誰かのために全力を出しています。楽しい現場です!」と本作を評し、「それぞれの関係性がすごく密に描かれている作品です。そんなところにも注目してもらいたいです」とアピール。
野口は「原作の魅力がぐっと2時間に詰まった素晴らしい作品になっています。衝撃的な展開がいくつもあるので、演じている僕たちが驚くこともありました。でも、それすらも気持ち良く、観ていて楽しい作品になると思います」と本作への思いを語った。
「自分でこの作品の稽古の動画を観ても、おもしろい作品になったなと思います」と胸を張った、警官の新星玲央役の中村は、玲央を演じるにあたっては「一人で戦わなければいけないシーンも多く、一人で芝居をしている孤独感を見せるのが大変だった」と吐露し、「多くの時間を使って稽古をしてきたので、本番では玲央の葛藤や孤独を観せていけたら」と意気込んだ。
同じく警官の阿久津真武役の高本は「稽古の段階からこのカンパニー一丸となって、みんなで助け合いながら駆け抜けてこれたと思います。本番でもみんなが(新たなことを)発見し、色々なことで成長できる舞台だと思いますので、カンパニー一同、熱量を持って全力で成長できるようにがんばっていきたいと思います」とコメントした。
また、稽古場でのエピソードを聞かれると木津は「死ぬほど飯を食いに行ったね」と即答。中村も「アンサンブルの方も(含めて)全キャストで仲が良くて、バランスのいいカンパニー」と同意。野口は「稽古初日に(演出の)伊勢さんが、相手の名前を呼びながら行うバレーボールのパスをするゲームを(稽古で)してくれて、それで一気に仲が良くなりました」と話すと、高本も「メインの3人(木津と設楽と野口)は年齢が若いこともあって、初めから勢いがあったイメージがあります。僕は、主演のつばさとは昔から一緒にやっていたこともあってカンパニーに溶け込みやすかったです」と笑顔を見せた。
ゲネプロでは、プロジェクションマッピングと演劇的な手法が同居する演出が目を引いた。演劇的手法としては、特に紗幕を使って別空間を作り出していたことが印象的で、それにより観客は登場人物たちの過去にも思いを馳せる。一方で、プロジェクションマッピングをうまく活用することで、不可能かと思われたストーリーも見事に舞台上で成立し、観るものを物語に引き込んでくれる。想像するまでもなく、ステージ上に浮かび上がった浅草の街は原作ファンにとってうれしい限りだろう。
テンポ良く進むストーリー展開、随所に配した笑い、歌やダンスが彩る愛と欲。ステージから、演劇という表現で“つながりたい”という思いが手を伸ばす。
さらに『さらざんまい』~愛と欲望のステージ~は、以下の日程で上演。上演時間は、約2時間15分(休憩なし)を予定。
【東京公演】11月28日(木)~12月1日(日) シアター1010
【大阪公演】12月7日(土)・12月8日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
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(C)イクニラッパー/シリコマンダーズ (C)舞台「さらざんまい」製作委員会
(取材・文・撮影/嶋田真己)