山崎樹範、松島庄汰、安西慎太郎らが観客を“崩壊”の渦に巻き込む!崩壊シリーズ『派』開幕

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2019年10月18日(金)に~崩壊シリーズ~第3弾『派』が東京・俳優座劇場にて開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、山崎樹範、松島庄汰、安西慎太郎、前島亜美、伊藤裕一、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、梶原善、作・演出のオークラが登壇した。

「崩壊シリーズ」とは物語と共にステージセットが激しく崩壊していくという奇想天外な演出により、開幕と同時に口コミで話題となった喜劇。イギリスの頭脳派コメディ劇団「Mischief Theatre(ミスチーフシアター)」が2015年英国オリヴィエ賞最優秀コメディ賞を受賞した『THE PLAY THAT GOES WRONG』の日本上演版となる『九条丸家の殺人事件』(2016)を第1弾とし、その後、日本オリジナルとして第2弾『リメンバーミー』(2017)を上演している舞台シリーズ。

第3弾となる本作でも、山崎、伊藤、上地、大水、梶原が続投し、オークラが引き続き作・演出を担当。新キャストに松島、安西、前島を迎えて、作品に登場する劇団「荻窪遊々演劇社」の“崩壊”していく劇中劇が描かれる。

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物語は、結成5年を迎えて劇団員も減り、客席も閑古鳥が鳴く劇団に解散の危機を感じる座長の栗須が、小劇場界で注目されている若き新進気鋭作家を迎えて再起を図る公演の開幕目前から始まる。選んだ題材は「法廷モノ」。ところが、新進気鋭作家率いる新メンバーの「クール派」と、座長を筆頭とする「お涙頂戴派」で意見が割れ、劇団が二つの派閥に対立したまま、本番を迎えてしまうことに・・・。

挨拶に立った座長・栗須健司役の山崎は「観てくださる方に夢や希望を与えたい・・・なんて気持ちはさらさらございません(笑)。つたない小さな劇団がミスをしながらも悪戦苦闘する物語でして、我々の汗をかいて、這いつくばっている姿でたくさん笑ってください」と呼びかけ「もしかするとその先に感動が待っているかもしれませんので、皆さんと一緒にピリオドの向こう側を見たいと思っております」と期待を寄せた。

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シリーズ3作目となる本作について、作・演出のオークラは「第1弾から観ている方も、初見の方でも、芝居を見慣れていない方でも楽しめる作品です。演劇を好きな人でも見方を変えてくれれば楽しめると思います」と説明。

「法廷モノ」をテーマとした理由を「最近、舞台の仕事が多かったのですが、その合間に『逆転裁判』というゲームで息抜きしていて、それで舞台でやりたいなと思って、今回、それだけの知識で作りました」とぶっちゃけると、あらためて明治初期という時代設定ということで「昔の裁判資料はすごく読みました。でも、裁判の知識がなくても楽しめる作品です」と語った。

照明および音響担当・鳥場明役の伊藤は「僕たちが演じる劇団員は成長していないんですけど、作品は格段に成長を重ねてきているので、今回は最高傑作にできるようにがんばりたいです」と意気込みを披露。

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舞台監督・杉山杏里役の上地は「舞台監督なので、セットが崩壊するのは私が裏でやっていて、すごいと思って観てください」と笑顔を見せた。続けて、山崎演じる栗須との夫婦役に絡めて「役では結婚しているんですけど、プライベートでは何もないので、この舞台で何かあったらいいな」と願望を明かすと、梶原から「それは関係ない話なので止めてください」とツッコまれて会場は笑いに包まれた。

小道具兼劇団員・城山一路役の大水は「前回から2年半経ちまして、体力は衰え、髪も若干薄くなり、どんどんダメになっていると自負はあるんですけど、その衰えた可笑しみを舞台に活かしたいです」と飄々とコメント。

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劇団員・出水護役の梶原は「コメディーというのはお客様が笑ってくれて初めて完成するものです」と真面目に挨拶すると「とある映画で中井貴一さんが記者会見の場で言ってたコメントなんだけど誰もツッコんでくれない」と自身も出演する映画『記憶にございません!』と絡めたネタだったと自ら明かして笑いを誘った。

そのネタを、山崎が「中井貴一感がすごかったので、ツッコめなかたった」とおだてると、梶原は「完成度が高すぎたか、ゴメン。そっちの映画でも活躍しているのでよかったら見てください。今日も付け焼き刃みたいな芝居をやるのでよろしくお願いいたします」と梶原らしい茶目っ気たっぷりの挨拶に会場は爆笑。

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劇団員で新進気鋭の作家・志戸新留役の松島は「六本木の俳優座ということで、ハロウィーンで沸く六本木で一番盛り上がる場所になります!」とテンション高く挨拶。劇団員・馬倉阿嵐役の安西は「おもしろすぎるなと思うぐらいの作品です。手ぶらで来て、手ぶらで帰るということがすごく最高なエンターテインメントだと思います」と述べた。

劇団員・阿賀桜役の前島は「人生で初めて舞台上であることをしますが、観に来てくださる方々がどんなリアクションをされるのかドキドキです。どこまで“崩壊”できるか毎回チャレンジしていきたいです」と意気込んだ。

新キャストの3人の印象について、山崎は「頼もしくて、真面目だし、お芝居もしっかりしています。第4弾があるんだったら、古参のメンバーが全員いなくなって、この3人が中心でいいかもしれません(笑)」と絶賛。記者から、前島の出演は山崎からの「可愛い子を入れて欲しい」という要望だったのでは?と暴露されると、上地から「私の気持ちも考えてよ!」とのツッコミ。山崎は「一人より二人いるほうがいいでしょ」とフォローしながらもタジタジとなっていた。

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本作の大きな見どころでもある、大小様々なステージセットが物語と共に崩壊していくことについて、上地は「皆さんの想像をいろいろ超えるいろんなものが壊れていく」、大水は「出演しているのに、舞台上で声を出して驚いちゃうぐらい視覚的なおもしろさもすごくある」とアピール。

セットだけでなく、劇中劇の芝居がセットと共に崩壊していくのも本作のおもしろさ。加えて今回は、『派』のタイトルにあるように劇団の中で派閥ができてしまい、芝居の中の「有罪・無罪の派閥」と、劇団員同士のリアルな派閥争いが重なり合うことで、物語が思わぬ展開になってしまう。

劇団解散を必死に食い止めようとする栗須、栗須に将来について決断を迫って憤る杏里、やる気のない出水、飄々と流される城山、裏方ながら目立とうとする鳥場。古参メンバーを演じる山崎らの暴走と、芝居の“崩壊”に振り回される様は相変わらずのおもしろさだが、梶原が「古いメンバーにもフレッシュなところがある」と見どころに挙げるように、前作までとは違った新たな一面も見せてくれる。

本作から登場するキャラクターたちも、そんな古参メンバーに負けず劣らず個性豊かすぎる面々が揃っている。新進気鋭で独善的な志戸、地下アイドルの阿賀、阿賀のファンである馬倉という新メンバーの見どころについて、松島は「唯一ちゃんとしている僕が、芝居が下手な人たちに巻き込まれる姿を観てください」、安西は「とてもピュアで真っ直ぐで、とにかく前島さんが演じる桜ちゃんが大好きというところが見どころです」、前島は「ポイントは一つで、元地下アイドルということです」とそれぞれ挙げた。

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真面目すぎて“崩壊”に振り回される志戸、時代設定が明治なのに、その見た目と存在が自体が“崩壊”を起こしている阿賀、地下アイドルのファンすぎて芝居に集中できない馬倉。新キャストの3人による“崩壊”の新風も爆笑必至となっている。

理想が強すぎる新進気鋭作家や、ファンをお客として呼ぼうと地下アイドルをキャスティングするという小劇団あるあるなど舞台好きな方たちの笑いを誘う小ネタも満載の本作。伊藤は「分かっていても笑っちゃうというところがあるので、何度観ても楽しめます」と語ると、山崎は「見どころが多すぎて、見どころを見失わないでほしいです」と呼びかけた。

各々が台本とは全く違う行動を起こし始め、舞台がどんどん“崩壊”! 果たして「荻窪遊々演劇社」は解散することになるのか!? さらなるパワーアップを果たした“崩壊”ぶりで爆笑間違いなしの類を見ない舞台が開幕した。

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~崩壊シリーズ~第3弾『派』は以下の日程にて上演。

【東京公演】10月18日(金)~11月4日(月・祝) 俳優座劇場
【大阪公演】11月9日(土)~11月10日(日) 松下IMPホール
【仙台公演】11月13日(水) 電力ホール
【富山公演】11月18日(月) 富山県教育文化会館
【金沢公演】11月20日(水) 北國新聞赤羽ホール
【名古屋公演】11月21日(木) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
【福岡公演】11月23日(土)~11月24日(日) イムズホール

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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