城田優、演出で「今までで一番の加藤和樹だと言わせたい」ミュージカル『ファントム』製作発表レポート

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2019年11月から上演されるミュージカル『ファントム』の製作発表会見が、7月22日(月)に都内にて行われ、ファントム(エリック)役の城田優と加藤和樹、クリスティーヌ役の愛希れいかと木下晴香、シャンドン伯爵役の廣瀬友祐と木村達成が登壇した。本作は、フランスの小説家ガストン・ルルーのベストセラー小説「オペラ座の怪人」を原作とし、脚本をアーサー・コピット、作曲をモーリー・イェストンが手掛け、怪人ファントムの“人間像”に焦点を当てた“もう一つのオペラ座の怪人”。今回の上演では、初演でもファントムを演じた城田が演出にも挑戦する。

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製作発表では、城田、加藤、愛希、木下が劇中歌「You are music」を披露。同じ舞台には、決して立つことのない二人のファントムと、二人のクリスティーヌが共演する、貴重な機会となった。

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会見では、まず本作の作詞・作曲を手掛けたモーリー・イェンストンからのビデオメッセージが紹介された。イェンストンは、ファントム役を経験している城田が主演と演出を兼ねることについて「非常にいいアイデアだと思います。城田さんは俳優として非常にすぐれた直感と知性を兼ね備えています。さらに、感情を理解して描写する感受性がとても豊かです」とし、「城田さん自身が“自由”であることが重要」とコメント。

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また「私にはファントム役がどうあるべきか、という明確な案はありません。ですから、これまでに才能があふれた人と一緒に作れるのは幸せなことです。信じています。クレイジーなアイデアでも構いません。やってみてください」とエールを送った。

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これを聞いた城田は「率直に、楽しみでしかないです。プレッシャーと言いますか、責任感を持つことが非常に大事ですが、ここに座っている方々をはじめとする出演者の皆様と、支えてくださるスタッフの皆様のサポートをいただきつつ、僕自身も思い入れのある作品をより素晴らしい舞台にできるよう、初日に向けて精一杯日々取り組んでいきたいです」と前を見据えた。

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Wキャストの加藤にとって、城田は自身の初舞台をと共にした盟友だ。そんな城田の元で本作に携わることを「自分にとって大きな意味があること」と言い、「僕のことをよく知っている彼だからこそ一緒に作り上げられる役があると思います。それは僕だけではなく、他の役者さんに対しても、彼独自の見方で演出してくれると思います。そして、これは自分にプレッシャーをかけることにもなるんですが、彼からは『絶対に今までで一番、加藤和樹が良いと言わせる作品にする』とメッセージをもらいました。とことん話し合って、演出・城田優に最後までついていきたいと思います」と明かした。

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元・宝塚歌劇団月組トップ娘役で、ミュージカル『エリザベート』でエリザベート役を務めている愛希は「『ファントム』という作品、そしてクリスティーヌという役にはずっと憧れがありました」とし、「クリスティーヌは、真っ直ぐで純粋ですが、その中にエリックが感じる母性が魅力だと思います。そのバランスがとても難しいと思いますが、真摯に向き合っていきたいです。Wキャストの木下晴香ちゃんと一緒に、精一杯務めてまいりたいと思います」と挨拶。

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映画『アラジン』実写版でジャスミン役の吹替で注目を集める木下も「たくさんお話をさせていただいている中で、この作品やミュージカルに対してすごく熱い思いを持った城田さんのもとでこの作品に携わることができることに幸せを感じています。難しい楽曲が多いので、どうやってこれを届けるのか、挑戦できることに対してワクワクしています。クリスティーヌに関しては、2014年版を観た時に『無邪気すぎた』という台詞が印象に残りました。私自身、新しい一面として衝撃的なクリスティーヌを皆さんにお届けしたいです」と続く。

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廣瀬は「城田優演出版のミュージカル『ファントム』に出演できることが光栄であり、嬉しく思っています。とても楽しみにしておりますので、この作品がより魅力的になるよう、1ピースとしてがんばりたいと思います」。

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そして、木村は「この座組の一員に選んでいただいたこと、本当に嬉しく思います。僕は自分の役を演じるだけで精いっぱいですが、今回、城田さんはファントムを演じながら演出もされるという・・・こんなに勉強させていただける座組はなかなかないと思っています。いろんなことを吸収しながら、この作品の一員として素晴らしいものに出来るようにがんばりたいと思います」と、真摯に決意表明をしていた。

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城田は、頭の中にある構想として「ミュージカルを作る上で一番大切なのはお芝居の歌だと僕は思っています。初めて舞台の演出をさせていただいた時も同じテーマを掲げていたのですが、歌い上げるミュージカルではなく、心情に訴えかけるミュージカルを作りたい。『ファントム』にも心打たれる涙なしには見られないシーンがたくさん出てきますが、それをいかに、観てくださる方の心に届けられるか。出演者の皆様には、これまでにないぐらい注文をすることがあるかもしれません。正直、僕は誰もが思いつかないようなアイデアが出るような才能を持っているとは思いません。自分なりに一生懸命考えながら、浮かんだことをどれだけおもしろく具現化できるか。キャスト・スタッフの皆さんと寄り添いながら作っていくことを、大事にしたいと思います」と熱い胸の内を吐露した。

また、本作に対して「僕は主だったバージョンはすべて拝見しているのですが、本作の素晴らしさは“家族愛”にあると思います。エリックという名前の怪人が、人間としての人生が描かれていること。ファントムは、直訳すると“おばけ”になりますが、オペラ座に住むおばけがどうして誕生したのか。そこにある“家族”の物語にすごく心を打たれるんだと思います。また、モーリーの音楽がいろいろな切り口で、曲によって違う世界に連れていってくれます」とその魅力を力説。

2014年に同作に出演した際を振り返ると「もっと良くできたなあ」という悔いもあったという城田。「今回は、自分が思う最大限の魅力をお客様に伝えたい」という思いから、演出と主演を兼ねるという難易度の高いチャレンジに挑むことにしたという。

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Wキャストといえば、その個性の違いも楽しみの一つ。城田は、同役を演じる加藤の魅力について「加藤さんとは、僕が19の時にご一緒して、そこから7、8年の時を経て『ロミオ&ジュリエット』のティボルト役でWキャストをやらせていただきました。僕が思う彼の魅力は、ひたすら真っ直ぐで不器用なところ。不器用が故に、ひたすら真っ直ぐ、役柄や作品を追求していくんですよ。エリックも不器用な人物なので、彼がこの役を演じる上では武器になるんじゃないかと。僕はどちらかというと器用な方なので、そういう点でも違うエリックが出来上がるんじゃないかと思います」。

一方、加藤は城田について「最大の魅力は、負けず嫌いなところだと思います。昔からで、しかもそれを隠さない。出来なくても何としてもやりきる、という負けん気を持っているので、彼に出来ないことはないんじゃないかと。でも、虚勢じゃないんですよ。人として弱い部分も見せてくれる。そして、人が好き。愛ある人なので、ついていきたいと思うんです」とコメント。ちょっと照れくさそうな二人からは、その関係性が出来上がるまでの時間が垣間見えた。

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クリスティーヌ役の二人は、この製作発表までに数度しか会う機会がなかったそうだが、愛希が「晴香ちゃんからは、音楽に対する愛や情熱をすごく感じます。普段はすごくかわいらしいのに、歌ってる時の目の強さがすごい・・・!」と評すると、木下は「すごく活躍されている方なので、初めてお会いする時はドキドキしていたんですけど、かわいらしいお姉さんで・・・。でも、この製作発表の歌披露のための稽古でご一緒して、努力があって今の素晴らしいお姿があるんだなと思いました。舞台で放つ輝きを学ばせていただきたいです」と答る。顔を見合わせフフフと笑った二人が、それぞれどんな役へのアプローチをするのか、楽しみだ。

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廣瀬と木村は、ミュージカル2019年版の『ロミオ&ジュリエット』での共演が記憶に新しい。「彼(木村)の最大の魅力は・・・“眉毛“かな?」と言う廣瀬の言葉に、思わず「ぶはっ!」と吹き出してしまう木村。「明るくて愛嬌のある、人間力があるんですよ。僕はそれがすごく羨ましい」と加える廣瀬を、木村は「廣瀬さんは、淡々とおもしろいことを言える方なので、僕はお笑いの師匠だと思っています(笑)。楽屋では笑い合いながらふざけ合える良き先輩なんですが、舞台では突き飛ばしても本気で突き飛ばさないと動いてくれないような、『俺の気持ちをちゃんと動かしてくれよ』とリアルな芝居を追求する、熱いハートを持った方です」とリスペクトしていた。

最後に、城田は「これから、心一つに、このファントムという最高のミュージカルを、よりオリジナルな、こんなファントム観たことないと思っていただけるような、やったことのないことをたくさん散りばめていけたらと思います。ぜひ、ご期待ください。そして、この作品を通して愛や生きる上でのポジティブなエネルギーを、メッセージとしてしっかり届けられるよう、一同がんばっていきたいと思います」と締めくくった。

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ミュージカル『ファントム』は、以下の日程で上演される。チケットは、9月7日(土)10:00より一般発売開始。

【東京公演】11月9日(土)~12月1日(日) TBS 赤坂ACTシアター
【大阪公演】12月7日(土)~12月16日(月) 梅田芸術劇場 メインホール

【公式サイト】http://www.umegei.com/phantom2019/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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