壮一帆「稽古場からずっと心が震えています」一つの事件を二つの視点で描く舞台『大悲』開幕

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2019年7月19日(金)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、舞台『大悲』が開幕した。本作は、劇団Innocent Sphere主宰の西森英行による書き下ろし作品で、白昼の小学校で実際に起こった「無差別殺傷事件」をもとに、弁護士と被害者遺族、二つの視点で描く人間ドラマ。弁護士役の西村まさ彦を主演とした「storyA 大悲31mm」、そして娘の命を奪われた母役の壮一帆を主演とした「storyB 大悲37m」と、二つの視点で物語を描く。

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【出演】
「storyA 大悲31mm」
西村まさ彦、玉城裕規
黒川深雪、三浦知之、吉田英成、小野田華凜(ハロプロ研修生)、武藤晃子/
壮一帆、河相我聞、正木郁/
久世星佳

「storyB 大悲37m」
壮一帆、正木郁
村上幸平、黒川深雪、三浦知之、吉田英成、小野田華凜(ハロプロ研修生)/
西村まさ彦、玉城裕規/
吉川友、西興一朗/
河相我聞

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本記事では、「storyB 大悲37m」を中心に紹介。白昼、小学校に侵入し8人の児童を次々に殺傷するという凶悪な殺人犯に佐久間護(玉城)に、長女・明日香(小野田)の命を奪われ、それぞれ後悔の念を抱く、母・清水結衣(壮)、父・謙介(河相)、兄で長男の秀斗(正木)。

当日、もし自分がこうしていたら、娘は殺されずにすんだのか。母は悩み、それにより家族関係も複雑になっていく。それぞれが、自分がこうしていれば・・・という思いを抱き、葛藤する。犯人に殺意を抱くもの、家族に対する信用を失っていくもの。この事件を報道しようとするマスコミに対する姿勢。「storyA 大悲31mm」とはまったく異なる緊張感に包まれ、愛する人の命を突然失った人間の心の機微が浮かび上がる。

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人は、事故であれ、病であれ、身近な人の命の灯火が消えた時、どんな形にしろ後悔の念を抱くのは想像できる。その想像が、ましてや殺人という凶悪な行為によって奪われた時。そんな状況に自分が立たされたかのような空間に一瞬にして引きずり込まれる緊張感が、劇場を後にしても心から離れない。そして、副題の「37m」の意味とは・・・それは、涙なくしては語れない数字となっている。その答えは、ぜひ劇場で確認していただきたい。

重大事件を起こした犯人と弁護士の目線「storyA 大悲31mm」と、被害者家族の目線「storyB 大悲37m」。起こる事件は一つであり、フィクションとして膨らませているが、見方によって感じ方も変わってくるだろう。

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以下、主演の壮と脚本・演出の西森からのコメントを紹介。

◆壮一帆
この作品を上演する意味は何か、ということを出演が決まった時からずっと考えていました。台詞を覚えながら役を染みこませつつ、私は今、この事件を“体験”しています。
粛々と感じ、それを表現していく・・・。稽古場からずっと心が震えています。

◆西森英行(脚本・演出)
この作品は、 実際に起こった事件を元にしています。
そして、その事件は社会に大きな衝撃を与え、教育・法律・精神医療、多くの分野に様々な影響を及ぼしました。私はこの事件について十数年前から取材を続けてきました。担当の弁護士さん、被害者ご遺族、当時の学校関係者、メディア関係者など多くの方々に話を伺いながら、この事件とは何だったのかを考え続けてきました。
自分とは違う価値観、自分とは違う立場、自分とは違う生い立ちに対して目を向け、知り、その心の営為を知る。
今回、そして、今という時代に、演劇というメディアを通してそんな時間を共有できることを願ってやみません。

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舞台『大悲』は、7月29日(月)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される。

【公式サイト】https://www.innocentsphere.com/daihi/

(取材・文・撮影/オフィシャル提供、編集/エンタステージ編集部)

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