岸惠子のひとり語り『輝ける夕暮れ』が、2019年5月18日(土)に東京・新宿文化センターにて開幕した。本作は2部構成で、前半は自著小説「わりなき恋」(幻冬舎)を一人芝居で上演、後半は岸のフリートークとなっている。演出は星田良子。開幕前日に行われた取材会では、岸が公演への思いを語った。
「わりなき恋」の主人公は、69歳のドキュメンタリー作家・伊奈笙子。58歳で既婚者の九鬼兼太と出会い、やがて惹かれあっていく笙子の姿を、岸は時に激しく、時に軽やかに表現。また、刻々と変化する心情に寄り添うような魅力的なドレス、重々しいロングコートといった衣裳の変化にも注目。卓越した演技と臨場感あふれる舞台演出で、成熟した男女の恋を魅せる。
「人生の夕暮れどきは、もっと輝いていると思うの」と岸。「わりなき恋」は高齢者の恋愛を描いた物語のため、少々生々しい描写もあるが「私はそんな生々しさから逃げずにとことん描こうと思って、私流の美学で人生の美しさを追求したんです」。
後半は、稀代の話し手でもある岸によるフリートークを展開。86歳を迎えた“今”の心情を、ユーモアと気品に満ちあふれた語り口で届けてくれる。今年5月に発売したばかりの新作エッセイ「孤独という道づれ」にも触れ、「『孤独という道づれ』を執筆するにあたって、女盛りの自分じゃなくて、今の自分が何を考えているかを書いてと言われたの。昔があって今があるわけだから難しいなと思ったけれど、フリートークではその時話したいなと思ったことを話したいと思います」と笑顔を見せた。
歳を重ねるということに、美しく、そして堂々と向き合う岸の“今”を、ぜひ劇場で。上演日程は、以下のとおり。
【東京公演】5月18日(土)14:00公演 新宿文化センター大ホール
【愛知公演】5月23日(木)14:00公演 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【埼玉公演】5月28日(火)14:00公演 埼玉会館大ホール
【千葉公園】6月2日(日)14:00公演 千葉市民会館大ホール
【神奈川公演】6月5日(水)14:00公演 神奈川県相模女子大学グリーンホール大ホール
【東京公演】6月8日(土)14:00公演 たましんRISURUホール(立川市市民会館)大ホール
【大阪公演】6月11日(火)14:00公演 フェスティバルホール
【東京公演】6月17日(月)14:00公演 なかのZERO大ホール
【神奈川公演】6月20日(木)14:00公演 関内ホール
【千葉公演】6月27日(木)14:00公演 八千代市市民会館大ホール
【公式HP】https://sunrisetokyo.com/kishikeiko2019/