東山義久と海宝直人がWキャストで主演を務める、ミュージカル『イヴ・サンローラン』の稽古場より、レポートが届いた。本作は、作・演出を荻田浩一、音楽を斉藤恒芳、衣裳を朝月真次郎が手掛けるオリジナルミュージカル。イヴ・サンローランを描くミュージカルは、世界でも初の試みだ。“モードの帝王”と呼ばれた、フランスが誇るファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗な人生の光と影を描く。
取材日の稽古場では、2幕冒頭のシーンをいちから組み立てていた。音楽の中で様々に展開していく場面を、細かく丁寧に作り上げていく。作品構造として特徴的なのは、イヴ・サンローラン、彼のパートナーであるピエール・ベルジェ（上原理生／大山真志）を中心に、ほかのキャストが舞台上に囲むようにいて、入れ替わり立ち替わりに様々な役を演じる。
2幕冒頭では、1958年にモンドリアン・ルックを発表し、1966年にプレタポルテのライン、リヴ・ゴーシュの一号店を出すなど、イヴ・サンローランが隆盛を極める頃が描かれている。仲間や投資家などに囲まれた華やかな世界だ。
舞台上では、様々な場所で物語が展開していくため、荻田が歌詞にあわせて役者たちの導線や動きを細かく指示しながら、振付の港ゆりかが具体的に振付を作っていく。荻田の頭のなかにあるイメージが、次第に形になっていくのがおもしろい。本番の舞台では観客の目が足りないのではと思うほどに盛りだくさんな場面が仕上がっていった。
キャストたちは、その細かな動きや振付を、頭と体に入れるのが大変そうなのだが、笑いが絶えないとても明るい稽古場。東山と海宝は眼鏡を、上原と大山と川原一馬がジャケットを身につけているのも、この役ならではだ。ダブルキャストの東山と海宝、上原と大山は、ともに入れ替わりながら稽古を進め、お互いに確認しあい、協力しながら作りあげていた。ダンスが得意な東山と、歌が得意な海宝が、お互いにアドバイスしあう姿も。
イヴ・サンローランが、とある男性に魅了される一瞬の場面の振付で、どう動くと美しく見えて動きやすいかを、東山が考えて海宝にレクチャー。また、三拍子の歌を確認しながら、言葉を音にどうはめるのか、東山が海宝に教えを請う。それぞれの持つキャラクターも異なる二人だが、技術的な面でも対照的な二人が、それぞれにどんなイヴ・サンローランを演じるのか、益々興味が湧いた。
上原と大山も、歌声はもちろん、動き方ひとつとっても違う。Wキャストならではの組み合わせの違いも楽しみだ。共に何役かを演じる安寿ミラの艶やかさ、伊東弘美の達者ぶり、皆本麻帆の奔放さ、ディオール役の川原（2月20日以降出演、2月19日までは大山が同役を演じる）のきらめきなど、見どころは尽きない。
ミュージカル『イヴ・サンローラン』は、2月15日（金）から3月3日（日）まで東京・よみうり大手町ホールにて、3月26日（火）まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される（※兵庫公演には上原の出演なし）。
