松岡充を主演に迎え、2019年秋に新作上演することを発表していた、池田純矢の「エン*ゲキ」シリーズ。そのタイトル『絶唱サロメ』と、全キャストが明らかになった。
「エン*ゲキ」とは、俳優である池田が、自身の脚本・演出により「演劇とは娯楽であるべきだ」の理念のもと、誰もが楽しめる王道エンターテインメントを上演する企画。2015年に#01『君との距離は100億光年』にはじまり、2017年に#02『スター☆ピープルズ‼』、2018年に#03『ザ・池田屋!』を上演してきた。
第4弾となるこの『絶唱サロメ』は、1893年にオスカー・ワイルドによって書かれた戯曲『サロメ』に池田が着想を得て、古典×歌×演劇の究極融合であり、ミュージカルでも音楽劇でもない、新たな“LIVEエンターテインメント”として練り上げたものだという。
池田は「松岡さんと出会って以来、どうしてもこの人を主人公に作品を描きたいと思っていました」と、台本をすべて書き終えた上で、松岡にオファー。断られたら「お蔵入り」だったが、共演する中で“アーティスト”としてシンパシーを感じた松岡は「タイミング的にも口説かれ方においても、“やります”と言うしかない状態でした(笑)」と快諾したという。
さらに、豊原江理佳、納谷健(劇団Patch)、小浦一優(芋洗坂係長)、声優・女優としてだけでなく『プリキュア』シリーズ主題歌など、アーティストとしても活動する吉田仁美、そして「エン*ゲキ」シリーズ皆勤賞であり欠かせない存在である鈴木勝吾、そしてシルビア・グラブと、バラエティに富んだ顔ぶれが集結した。
発表にあたり、池田と松岡から以下のコメントが届いている。
◆池田純矢(作・演出)
松岡さんと出会って以来、どうしてもこの人を主人公に作品を描きたいと思っていました。なぜなら、歌も芝居もビジュアルも性格も、どうしようもなく人を惹きつけるパワーがあって、こんな“この世のものじゃない感”のある魅力を持った人は他にはいないと思うからです。そこで僕は勝手に企画を立て、台本を書き、劇場を押さえ、松岡さんにオファーをしました。「松岡さんが断るならこの企画はお蔵入りです」と言って(笑)。そうして、エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』が立ち上がりました。
題材にしたのは、1893年にオスカー・ワイルドによって書かれた『サロメ』。残酷で妖艶な美しさのある物語だと言われますが、たとえば残酷性の裏には愛があるように、その奥にはただ表面的に美しいとか残酷であるといったことにとどまらないものがあるような気がしていて。その芯の部分を表現することが、松岡さんの魅力をビビッドに出すことにつながるのではないかと思ったんです。また、この戯曲の古典ならではの言葉の美しさは、音楽の歌詞にも似ている。これも松岡さんの歌の魅力を存分に活かせると思いました。ただ、これはミュージカルでも音楽劇でもありません。歌をちゃんと歌として歌う、これまでにない演劇と音楽の融合を考えています。
エン*ゲキは、自分が今一番おもしろいと思うことを、今自分ができる全力で作りたいと立ち上げた場。まさしく、今僕が思う一番がここに集約されています。
◆松岡充
音楽デビューして今年で24年。俳優活動を始めてからでも17年になります。その間、様々な出会いがありいろんな経験をしてきたからこそ言えるんですが、池田純矢という人間の才能は、年齢やキャリアだけでははかれないものがあります。演者としても共演して注目せざるを得ないものがありましたが、その後、いろんな話をしているうちに、クリエイターとしてもプロデューサーとしてもおもしろいアイデアを持って実行していることがわかり、「いくつ顔を持ってんねん!」と興味が湧いてきて。
彼の魅力に惹きつけられていたところ、今回のオファーをいただいたので、タイミング的にも口説かれ方においても、「やります」と言うしかない状態でした(笑)。
これまでいろんな活動を経験してきて、今後の人生で当てのないチャレンジはしたくないという想いがあります。その点、台本を書き上げてからオファーをいただいたことだけでもとても安心感がありました。おまけにそれが「これ現実的なこともちゃんと考えてる?」と言いたくなるくらい(笑)、純粋にやりたいことだけを詰めた、丸裸のような内容。同じアーティストとして非常に共感し、やりがいを感じました。また『サロメ』を、誰にでも分かる深い人間ストーリーとして描こうとしていること、そして音楽の使い方、すべて、見たことのないところに行きたいと思っていることがにじみ出ています。純矢がやろうとしていることは、ある意味パンク。おもしろくなるはずです。
エン*ゲキ#4『絶唱サロメ』は、10月5日(土)から10月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演される。その後、10月下旬に大阪・サンケイホールブリーゼで大阪公演も行う。チケットは、7月に一般発売を予定。
【あらすじ】
王女サロメは生きることに嫌気がさしていた。ある晩、王であり義理の父が向ける悍ましい視線から逃れるようにテラスへ出ると、美しい唱声を聴く。牢獄に幽閉されていた声の主・ヨカナーンは、唱う言葉がすべて現実のものとなる不思議な力を持っていた。妖艶な魅力に取り憑かれるように惹かれていくサロメ。いつしか逢瀬を重ねていく二人だったが、王はそんな関係を赦しはしない。そして、ヨカナーンは世界の根幹を揺るがす重大な秘密を明かし、サロメとある約束を交わす・・・。
【公式HP】http://www.enxgeki.com/
【公式Twitter】@enxgeki