2018年11月10日(土)、東京・DDD青山クロスシアターにて舞台『カクタス・フラワー』が開幕した。初日前にはフォトコールと囲み会見が行われ、水夏希、吉田栄作、増田有華、松本幸大(宇宙Six/ジャニーズJr.)、松尾伴内、青木さやかが登壇。見どころや稽古場でのエピソードなど明かしつつ、本作の楽しさをアピールした。
アメリカの脚本家、エイブ・バロウズ作の『カクタス・フラワー』は、1965年にブロードウェイで初演。続演1234回の大ロングランを記録したという傑作コメディーだ。
「仕事も私生活も順風満帆だった中年の歯科医」だというジュリアン役の吉田は「若い彼女を好きになってしまい、彼女に嘘をついてしまったことから大変なことが起こっていきます。そこから大切なものを知って真実を掴んでいく、最後はほっこりする物語です」と作品のあらすじを紹介。
「テンポがものすごく大事」という吉田の言葉通り、フォトコールで公開された数分間のシーンだけでもスピード感にあふれていて、なかでも吉田と松尾のコミカルな掛け合いに思わずくすりとさせられる。この二人のやりとりについて、吉田は「稽古を重ねていくうちに生まれたものもある」と教えてくれた。
水が演じるのは、本人曰く「(宝塚の)男役が活かされるような」生真面目な看護師・ステファニー。キリッとしたメガネ姿を披露した水は「そんな真面目な女性が解放されていくような・・・あとは見てのお楽しみです」と、ストーリーが進むにつれて変化があることを匂わせた。
吉田演じるジュリアンの恋人・トニ役の増田は「ザ・外国人!みたいに天真爛漫な、自分が思ったことを直球で相手に投げるような役。会話というよりは、一人で言いたいことを言って周りを掻き乱していく女の子です」と自身の役どころを説明。「迷惑をかけつつがんばります(笑)」と笑顔を見せて意気込んだ。
「好青年で作家志望」だというイゴール役の松本は「途中でラッパーもやりますし、ウェイターもやります」と、一人3役をこなしていることを明かした。さらに「今までやったことのない役をやらせていただけるので、すごくいい経験だと思います。皆さんすごい方ばかりなので、まずは負けないように。最初は緊張していましたが、今は楽しみしかないです」と気合い十分。
「先輩から教わったことはたくさんあります」と続ける松本に、松尾が「うん、言って言って!」と促すと、間髪を入れずに松本が「あ、松尾さんはないです(笑)」と即答。「ないの!?」と嘆く松尾とのやりとりが笑いを誘い、チームワークの良さを発揮した。その後、松本は「伴内さんはすごく褒めてくれます。稽古場で“良かったよ”ってボソッと言ってくれるので元気をもらいました」と、松尾とのエピソードもしっかりと教えてくれた。
さらに松本は「僕は日本人なので、どうしても日本らしい行動をしてしまうんですけど、この物語はニューヨークが舞台なので。そういう所作は栄作さんから教えていただきました」と続ける。これについて、渡米経験のある吉田が「ついお辞儀しちゃったりとか、“おいで”のジェスチャーも逆の意味になっちゃったりとかね(※日本では手のひらを下にして手招きするが、これはアメリカでは“あっち行け”の意味)」と解説。松本は「自然とやっちゃっていたんですよね・・・」と、一つ一つの仕草にも苦労したことを明かした。
また、松本が「自分は男なのに男の行動というものが分からなくて・・・(笑)。水さんには、女性との踊り方とか男役の知識を教えていただきました」と打ち明ければ、水もにっこり笑顔。このときにダンスシーンの存在が明かされ、吉田も「(ダンスは)少しですが、楽しい見どころのシーンです」と答えていた。
コメディー作品ということで、松尾や青木の本領が発揮されるのでは?と記者から声が掛けられると、松尾は「そんなことはないですよ!」と謙遜し、青木も「(間の取り方や掛け合いが)活かされるといいなと思います」と謙虚な姿勢を見せた。
松尾は、ジュリアンと学生時代からの親友であるハーヴェイ役を演じるが「これだけかっこいい人はいないですから嬉しいですよ!」と吉田と親友設定であることに喜ぶ。松尾は他の役もこなしているそうで、吉田が「松尾さんの(もう一役の)サンチェスも見どころ。ぜひ楽しみに劇場へ来ていただければ」と、楽しい役どころであることをアピールした。
青木も、歯科医院に通う患者・デュラント夫人役だが「松本くんとラッパーの役をやったり、ハルという若い女の子の役をやったり」と一人3役をこなすとのこと。ハルというキャラクターは増田のお気に入りだそうで、増田は「個人的にはハルさんがすごすぎて。稽古場でも笑いをこらえるのに必死で、皆さん半笑い状態でやるくらい毎回おもしろいことをしてくださいました(笑)。お客様にも期待していただきたいです!」と“ハル推し”をアピール。すかさず青木が喜びの声をあげ、和気あいあいとした雰囲気がこちらまで伝わった。
さらに青木は「私の年齢で見ると水さんの役に感情移入するんですよね。誰かと一緒に人生を過ごすっていいなと思えるし、若者の恋愛模様もよく見える。大人ってこういう所があるけど恋愛偏差値は変わっていなくて、でもそれがいいなって思います」とコメント。この言葉には、水をはじめとするキャスト陣も大きく頷いていた。
最後は、あらためて吉田が挨拶。「元宝塚に元AKB、ジャニーズ、たけし軍団、そして我々(吉田と青木)ワタナベエンターテインメント。日本代表といっても過言ではないメンバーが集まりました(笑)。力を合わせてがんばりたいと思いますので、ぜひ観に来てください。お待ちしております!」と観客へ呼び掛け、会見を締めくくった。
舞台『カクタス・フラワー』は11月10日(土)から12月8日(土)まで東京・DDD青山クロスシアターにて上演。その後、大阪と静岡を巡演予定。公演の詳細は以下の通り。
【東京公演】11月10日(土)~12月8日(土) DDD青山クロスシアター
【大阪公演】12月11日(火) サンケイホールブリーゼ
【静岡公演】12月13日(木) 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
(取材・文・撮影/堀江有希)