4人の新たな旅路と成長『はみだしっ子』続編の舞台写真到着

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2018年10月6日(土)東京・シアターサンモールにてStudio Life公演『はみだしっ子~in their journey through life~』が開幕した。本作は2017年10月に初舞台化された作品の続編で、中心となる4人グレアム、アンジー、マックス、サーニンは前作と同キャスト、さらに3チーム編成もそのまま上演される。ここでは同作のオフィシャルレポートをお届けする。

「はみだしっ子」は1975年から1981年にかけて「花とゆめ」(白泉社)誌上にて連載された三原順の漫画作品。4人の少年たちの心の彷徨を繊細に描いた同作品は、魅力的なキャラクターと劇的なストーリー展開で多くの読者を虜にし、作者亡き後も新しい読者を巻き込みながら熱烈な支持を得つづけ、現在でも再版を繰り返している稀有な作品だ。

『はみだしっ子』舞台写真_2

物語は、それぞれに家族の問題を抱え家を出た4人の少年、グレアム、アンジー、サーニン、マックスを中心に、自分の居場所を求めて旅に出た彼らの成長を描く。渡り鳥に会いに行くために北を目指す4人は、ひょんなことからスケッチブックを届けるためにある町に降り立つ。

しかし、そこでの出会いはそれぞれ心の傷をえぐる事件へと発展してしまう。逃げ込んだ先は幽霊屋敷。だが彼らは旅を続ける事で成長していた。仲間を想う気持ち、いたわる心、逃げることより立ち向かうこと。4人は家族の中では持ち得なかった強い絆で結ばれてゆく。その生きるきらめきを、3チーム(TRK、TBC、BUS)トリプルキャストの全く異なる個性で叙情的に紡いでいく。

『はみだしっ子』舞台写真_3

初日のTBCチーム公演でグレアムを演じたのは仲原裕之。4人の中でまとめ役のグレアムは、ほかの3人に心配をかけまいと気を使う大人びた行動をとる。その落ち着いたたたずまいやしっとりとした目線、内に秘める感情と静かに爆発する葛藤を仲原は体当たりで表現してみせた。ゆるぎない強さを手に入れ乗り越える姿は必見だ。

アンジー役には松本慎也。松葉杖の生活から解放されより活発に関係を深めていくが、昔の幸せが彼を苦しめていた。忘れていた母親の事で激しく反発するアンジー。そのどうしようもない複雑な想いを、松本の甘い声が振り絞るように切なく響く。アンジーもひとつ落とし前をつけるが、その変化にも注目して欲しい。

『はみだしっ子』舞台写真_4

やんちゃなサーニン役には千葉健玖。自由奔放で明るいキャラクターを千葉は生き生きと演じている。不運にも監禁されてしまい、過去に閉じ込められたトラウマと重なり自傷するサーニン。明るさの分闇も深く、その明暗を気迫の演技で見せつけている。

アイドル的な存在のマックス役には伊藤清之。3人に守られ無邪気さにほっこりしてしまう癒しの存在だ。いつも留守番で寂しがり屋ではあるがその愛らしさで関わる者の心を溶かしていた。兄たちが帰ってくる場所を作ろうと奔走する様を伊藤は熱演している。たくましくなろうと頑張るマックスを応援したい。

『はみだしっ子』舞台写真_5

そして前作を踏襲したシンプルなステージセットに驚かされる。しかしそのシンプルさがかえって個々が持つイメージを映し出し、物語が進むにつれて違和感が無くなることに気が付く。舞台セットや映像にこだわる作品を否定はしないが、本作の持つノスタルジックさと個人の想いにとてもマッチし、済んだ空気を感じるところも本作の魅力の一つだろう。

自由の地を求めるが大人の都合で振り回される4人。しかし確実に大人達の心にも種をまき、背中を押していた。待ち人からその手でつかむこと、自分達で生き始める彼ら。未来に向かう彼らの旅を見届けたい。

Studio Life公演『はみだしっ子~in their journey through life~』は10月6日(土)から10月21日(日)まで東京・シアターサンモールにて、11月2日(金)から11月4日(日)まで大阪・ABCホールにて上演される。

【公式HP】http://www.studio-life.com/

(C)三原 順/白泉社

(文/谷中理音、写真/オフィシャル提供)

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