演出家ケラリーノ•サンドロヴィッチ(KERA)が主宰し、1993年に結成された劇団「ナイロン100℃」が、2018年に25周年を迎えた。これを記念して4月に6年ぶりの再演となる人気作『百年の秘密』、7月に新作『睾丸(仮題)』が上演される。
ナイロン100℃は、日本の小劇場界をリードしてきた劇団の一つ。KERAが元々ミュージシャンということもあって、音楽の影響を強く感じさせる演劇作品を多数生み出してきた。なかでもナンセンス・コメディ作品が傑出しており、演劇を愛する人々の心を掴んでいる。
劇団員には、犬山イヌコ、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城など、ナイロン100℃の前身となる「劇団健康」時代から25年以上、共に歩んで来たメンバーも在籍。メンバー個々の活動はもとより、劇団としての活動もいまだ衰えを知らず、むしろより力強く意欲的な作品を上演し続けている。
2012年初演時より 撮影:引地信彦
そのナイロン100℃が2018年に上演する作品の一つ『百年の秘密』は、2012年に初演され、男性であるKERAが女性同士の繊細な心理と、半世紀に渡る家族の物語を描き、高い評価を得た作品。友情を結んだ二人の少女がそれぞれの人生を生き、人生の局面で再会する・・・。二人の間の秘密、そして二人を取り巻く秘密の深淵が、シリアスかつシニカルに描かれ、一族の栄枯盛衰が描かれる大河ドラマだ。再演を待ち望んでいたファンも多く、この度、待望の再演となった。
物語の主人公となる二人の女性役を演じるのは犬山イヌコと峯村リエ。このほか、みのすけ、大倉孝二、松永玲子、村岡希美、長田奈麻、廣川三憲、安澤千草、藤田秀世、猪俣三四郎、菊池明明、小園茉奈、木乃江祐希、伊与勢我無、萩原聖人、泉澤祐希、伊藤梨沙子、山西惇が出演する。
一方、7月に上演される『睾丸(仮題)』は、KERA曰く、1970年代に起きた連合赤軍の内ゲバ事件を素材とした群像劇になる予定とのこと。出演は三宅弘城、みのすけ、新谷真弓、廣川三憲、長田奈麻、喜安浩平、吉増裕士、眼鏡太郎、皆戸麻衣、菊池明明、森田甘路、大石将弘、坂井真紀、根本宗子、安井順平、赤堀雅秋。
劇団員が一堂に会し、また実力派の客演陣が劇団のアニバーサリーイヤーを盛り上げる。創立25周年に際し、主宰・作・演出のケラリーノ•サンドロヴィッチがコメントを寄せた。
◆ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃25周年記念公演仮チラシより)
四半世紀、続けてしまった。こんなに続くなんて夢にも思わなかった。
ずっと一緒に創作してくれた劇団員、支えてくれたスタッフと客演陣、そしてこんなに安定しない作風と身勝手な態度を見捨てずにいてくれた観客の皆様に謝意を。
25周年を記念して、2018年は、近年の劇団公演の中では抜きん出た一作、どうしても再演したかった『百年の秘密』と、赤軍派の内ゲバ事件に材をとる予定のやさぐれた新作群像劇『睾丸』(仮題)を上演する。
もう暫くの間、我々にしか作れない演劇をやり続けるつもり。しくよろ。
ナイロン100℃ 45th SESSION『百年の秘密』は、4月7日(土)から4月30日(月・祝)まで、東京・下北沢 本多劇場にて上演される。その後、兵庫、愛知、長野を巡演。また、ナイロン100℃ 46th SESSION『睾丸』(仮題)は、2018年7月より池袋 東京芸術劇場 シアターウエストほかにて上演される。日程は以下のとおり。
◆ナイロン100℃ 45th SESSION『百年の秘密』
【東京公演】4月7日(土)~4月30日(月・休) 本多劇場
【兵庫公演】5月3日(木・祝)・5月4日(金・祝) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【愛知公演】2018年5月8日(火)・5月9日(水) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
【長野公演】2018年5月12日(土)・5月13日(日) まつもと市民芸術館 実験劇場
◆ナイロン100℃ 46th SESSION『睾丸(仮題)』
【東京公演】7月 東京芸術劇場 シアターウエスト ほか