2017年12月9日(土)に東京・日本青年館ホールにてCosmos Synphony『Pukul(プクル)-時を刻む愛の鼓動-』が開幕した。初日前日には公開ゲネプロが行われ、湖月わたる、水夏希、蘭乃はな、舞羽美羽、坂元健児、大貫勇輔、島地保武、岡幸二郎、そして日替わりで出演するスペシャルゲストより姿月あさとが登場し、各国の音楽や民族舞踊の要素を取り入れたダンスと歌とで、美しく神秘的な作品世界の全貌を披露した(日替わりスペシャルゲストは、姿月のほか春野寿美礼、彩吹真央が参加)。
タイトルの「Pukul(プクル)」とは、「鼓動」と言う意味。第一幕では、宇宙の創造主が現れ、宇宙の鼓動、そして星々の鼓動を呼び起こし、太陽と地球の誕生を促す。3神役の岡、坂元、姿月はまばゆい衣裳に身を包み、聴く者を圧倒する歌声を響かせていた。太陽役を演じる湖月が、真っ赤なドレス姿で優雅にターンを繰り返すことで、徐々に太陽系が出来上がっていくような光景が浮かび上がってくる。その中には、青い衣裳をまとった水が地球として存在し、蘭乃と舞羽は、太陽と地球と共に生きる月と星となっていた。
その後、舞台は地球へと移動する。「大地の鼓動」では湖月が韓国の三面太鼓を打ち鳴らす中、蘭乃、舞羽、舞城のどか、鶴美舞夕が韓国長太鼓を使って、リズムを合わせながら湖月の周りをくるくると踊る。「風と空の鼓動」では、水が中国舞踊をベースをした踊りを青や白の長いシルクの布をひらめかせながら披露、そして「炎の鼓動」では、男性ダンサーがグルジニアンダンスをベースにした力強いダンスを見せ、炎をイメージさせる音圧や振動を伝えてきた。最後は「生命の鼓動」へ。演出・振付を手掛けた謝珠栄と、オリジナル楽曲を手掛けた玉麻尚一のこだわりが随所に散りばめられ、さらにクリエイティブカンパニーNAKEDが制作したプロジェクションマッピングの効果で、壮大なスケールのステージを生み出していた。
一方、第二幕は第一幕とは大きく雰囲気を変え、地球上に命を授かった人々の生涯を追っていく内容。ここでは数々のミュージカルや宝塚歌劇団にて作曲、音楽監督を務めてきた長谷川雅大が楽曲を担当し、スタンダードジャズやポップスを織り交ぜながら、人生の楽しさ、せつなさ、愛、夢、希望、友情など、人間のあらゆる感情を表現していた。
その中には、女性キャスト全員で、学校を去る女子生徒を先輩や友人たちが涙ながらに見送るナンバー「That’s what friends are for.」や、男性キャスト全員で思春期のやるせない感情を歌とダンスで爆発させる「Stand by me」というナンバーもあった。フィナーレで、全キャストが揃って歌い上げる「The Rose」は圧巻だ。
命の大切さ、人生の素晴らしさを体感できるスペシャルショー。ただ座って聴いているだけで、身体中が浄化されていくような心地良さを感じるかもしれない。
Cosmos Synphony『Pukul(プクル)-時を刻む愛の鼓動-』は12月16日(土)まで東京・日本青年館ホールにて、12月21日(木)から12月25日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演。
(撮影/花井智子)
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)