出演をためらう浅丘ルリ子に演出・宮田慶子が本気で説得!舞台『プライムたちの夜』開幕

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東京・新国立劇場の開場20周年記念公演となる舞台『プライムたちの夜』が、2017年11月7日(火)に東京・新国立劇場 小劇場にて開幕した。最先端の欧米戯曲を日本で初演する企画の第5弾は、アメリカの新進作家ジョーダン・ハリソンの作品を取り上げる。演出を手がけるのは新国立劇場芸術監督の宮田慶子、出演は新国立劇場初登場となる浅丘ルリ子をはじめ、香寿たつき、相島一之、佐川和正の4名。初日前日にはフォトコールと囲み会見が行われた。

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【あらすじ】
とある家の居間、85歳のマージョリー(浅丘)が30代のハンサムな男性(佐川)と会話をしている。だが、昔の二人の思い出に話が及ぶと、その内容に少しずつ齟齬が生まれる。戸惑うマージョリー。実はその話し相手は、亡き夫の若き日の姿に似せたアンドロイドだった。
薄れゆくマージョリーの記憶を何とかとどめようとする娘夫婦(相島・香寿)。愛する人を失いたくない家族の愛をテクノロジーはどこまで補えるのだろうか・・・。

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本作は2014年にロサンゼルスで行われた初演直後から反響を巻き起こし、2015年にピュリッツァー賞の最終候補作品となり、オフ・ブロードウェイで再演。さらには映画化され、2017年サンダンス映画祭でプルミエ公開され高い評価を得た。

会見の場で、宮田は「最近はAIのことがたびたびニュースに取り上げられますよね。将棋でついにAIが勝ったとか。この話はちょっとだけ未来の、AIがアンドロイドという人間の姿をして家庭の中に入りこんでしまったことによる、家族の物語なんです。親子の問題、夫婦の問題、高齢化社会など、いろいろな問題を抱えていますが、果たしてAIはその問題を解決できるのか?というのがテーマです」と見どころを説明した。

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浅丘は、本作への出演について「初めてだらけです。新国立劇場に出るのも、お客様が300人というのも、出演者が4人というのも初めて。そして共演する皆さんも初めての方ばかりです。すごく最初は戸惑いましたが、やっていくうちに不思議な舞台だな、これは観る方がどのように感じてくださるのか気になります」と語った。

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実は、オファー当時の浅丘は、出演することを非常に悩んでいたといい、宮田は「だから私、直訴に行ったんですよ、膝詰め談判で(笑)。『おもしろいのでぜひ出演してください!』って」と振り返る。その言葉に「だって、わけが分からなかったんだもん・・・(笑)」と自信がなかった様子を小声でつぶやく浅丘。そんな浅丘に、当時のやりとりを想像させるように宮田は「やれば分かりますから!・・・ってひたすらお願いしたんです」と苦笑しながら続けた。

浅丘が出演を悩んだ理由についは、「その時は『やすらぎの郷』(テレビ朝日系列)と『おんな城主 直虎』(NHK)の台本が山のように積まれていて、それらを先に、早く読まなければならなかったんです。それらの作品がすべて終わってから、改めてこの舞台の脚本を読み始めたら『うわ・・・これ何?わけが分からない!私にはできないわ(両手をヒラヒラさせて脚本を見ない振り)』ってお断りしたのに(宮田が)『もうパンフレットもできています。チケットも売れ始めております。今さらダメです』って。・・・じゃあ仕方がないわねって(笑)」と、浅丘が当時の状況を説明すると、その横で宮田がガッツポーズを見せ、その仕草に相島が吹き出していた。

一方、浅丘へのオファーが実現した宮田は、稽古場で感じたこととして「大先輩である浅丘さんの柔軟さ、自由さ、芝居に対する情熱、たくさん、いろいろなことを学ばせていただく機会になりました。浅丘さんのおかげでこのカンパニーが家族としてまとまることが出来たと思います」と改めて浅丘に尊敬と感謝の意を伝えていた。

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「稽古場に入って立ち稽古になっていくと、自分の中にいろいろなものが入ってきて・・・そうしたらこの本、おもしろいじゃない!と感じてきて。だから今張り切ってやっているんです」と浅丘。その心を捕まえた本作の魅力をぜひ劇場で。

新国立劇場開場20周年記念公演『プライムたちの夜』は11月26日(日)まで、東京・新国立劇場 小劇場にて上演。その後、11月29日(水)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて公演を行う。

また、11月14日(火)の公演終了後には、新国立劇場 小劇場内で浅丘、香寿、宮田が登壇する「新国立シアタートーク(入場無料)」も開催。本公演のチケットを提示すれば参加可能とのこと(満席の場合、制限有)。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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