新国立劇場・演劇芸術監督の宮田慶子任期ラストシーズンのテーマは「世界を映し出す」

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新国立劇場 開場20周年記念「2017/2018シーズンラインアップ説明会」が2017年1月12日(木)に新国立劇場で行われ、宮田慶子・演劇芸術監督が計8演目を発表した。2017年10月から2018年8月にかけての「2017/2018シーズン」は、宮田にとって演劇芸術監督として携わる最後のシーズンとなるが、その演目には日本初演作が3本、新作1本、新訳上演1本と冒険的なラインアップが並んだ。

この日の説明会で宮田は「2017/2018シーズン」のラインアップについて「『世界を映し出す』をテーマとした贅沢なラインアップになりました」と話し、それぞれの作品の見どころを解説。その全8演目を紹介しよう。

「2017/2018シーズン」オープニングを飾るのは、10月に上演される『トロイ戦争は起こらない』。今なお世界の演劇史に名を残すジャン・ジロドゥの不朽の名作を、岩切正一郎による新訳で上演する。演出を栗山民也が手がけ、鈴木亮平、一路真輝、鈴木杏ら豪華キャストたちが出演。宮田は、本作を「念願叶った作品」と説明し、期待をのぞかせた。

11月には、日本初演となる『プライムたちの夜』が決定。本作は、現代欧米戯曲の日本初演作品を上演する企画の第5弾として上演されるもので、同劇場初登場となる浅丘ルリ子が主演を務める。4人の登場人物たちの会話からその背後にある「老い」というテーマを浮かび上がらせ、衝撃的な物語が展開する。

12月には『かがみのかなたはたなかのなかに』を、近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松たか子という2015年上演時と同じキャストで再演する。未来のおとなと、かつての子どもたちへ向けて贈る、少しビターでファンタジックでアイロニカルな物語は、子どもと一緒にも楽しめる作品だ。

2018年は、3月に鄭義信による新作『赤道の下のマクベス』(出演:池内博之、浅野雅博、ほか)、4~5月には現代欧米戯曲の日本未発表作品を上映する企画第6弾で、2014年のオリヴィエ賞にもノミネートされた『1984』(出演:井上芳雄、ほか)、5~6月には『ヘンリー四世』の続編である『ヘンリー五世』(出演:浦井健治、岡本健一、中嶋朋子、中嶋しゅう、ほか)、また同6月には井上ひさし・作『夢の裂け目』(出演:段田安則、木場勝己、ほか)、7月には蓬莱竜太新作が上演されることが発表された。

『1984』は、次期演劇芸術監督就任が決定している小川絵梨子による演出で、日本初演となる。また『ヘンリー五世』は、『ヘンリー六世』、『リチャード三世』、『ヘンリー四世』と2009年から同劇場が取り組んできた、シェイクスピア歴史劇の完結編ともいえる作品。3代続いた歴史がついに完結するとあって、ファンにとっては見逃せないものとなる。

そして、シーズンラストの作品にして、宮田の任期最後の演目は、蓬萊竜太の新作と発表された。演出は、もちろん宮田が担当。声高に問題提起するのではなく、提起すべき問題が自然と浮き彫りになってくるような、「現在」を見つめる戯曲を提案したという宮田に、蓬萊がどう答えるのか。期待して待ちたい。

なお、この日の説明会には、飯守泰次郎・オペラ芸術監督、大原永子・舞踊芸術監督も出席し、それぞれオペラ、バレエ、ダンスのシーズンラインアップを発表した。

◆新国立劇場 開場20周年記念 2017/2018シーズン 演劇ラインアップ(計8演目)
2017年10月『トロイ戦争は起こらない』
【作】ジャン・ジロドゥ/【翻訳】岩切正一郎/【演出】栗山民也
【出演】鈴木亮平、一路真輝、鈴木杏、谷田歩、川久保拓司、金子由之、大鷹明良、三田和代、ほか

2017年11月『プライムたちの夜』
【作】ジョーダン・ハリソン/【翻訳】常田景子/【演出】宮田慶子
【出演】浅丘ルリ子、香寿たつき、佐川和正、相島一之

2017年12月『かがみのかなたはたなかのなかに』
【作・演出】長塚圭史/【振付・音楽】近藤良平
【出演】近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松たか子

2018年3月『赤道の下のマクベス』
【作・演出】鄭義信
【出演】池内博之、浅野雅博、ほか

2018年4月~5月『1984』
【原作】ジョージ・オーウェル
【作】ロバート・アイク、ダンカン・マクミラン
【翻訳】平川大作/【演出】小川絵梨子
【出演】井上芳雄、ほか

2018年5月~6月『ヘンリー五世』
【作】ウィリアム・シェイクスピア/【翻訳】小田島雄志/【演出】鵜山仁
【出演】浦井健治、岡本健一、中嶋朋子、中嶋しゅう、ほか

2018年6月『夢の裂け目』
【作】井上ひさし/【演出】栗山民也
【出演】段田安則、木場勝己、ほか

2018年7月『蓬莱竜太新作』
【作】蓬莱竜太/【演出】宮田慶子

(取材・文/嶋田真己)

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