2017年10月28日(土)より神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>にて、ブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』が開幕する。アメリカの漫画家チャールズ・アダムスの漫画をドラマ、アニメ、映画化し大ヒットした『アダムス・ファミリー』は、2008年にブロードウェイでミュージカル化。日本では、2014年に白井晃の演出で上演された。
約3年ぶりの再演では一部新キャストを迎え、再び白井演出のもと新たな「アダムスファミリー」が誕生する。初日に先駆け行われたフォトコールでは一部の場面公開が行われ、その後の囲み会見には橋本さとし、真琴つばさ、壮一帆、昆夏美、村井良大が登壇した。
アダムス家のパパ・ゴメス役の橋本は、初演から続投。2014年度の読売演劇大賞優秀男優賞も受賞した同役を、3年ぶりに演じるが「気持ちは完全にフレッシュです!」という。演出も、変わらず白井が手掛けているが「これが初演か?というぐらい、白井さんの演出も細かくて。台本を見返してみると、自分の台詞にもほとんど全部にチェックが入っていました」と明かした。
アダムス家のママ・モーティシア役の真琴も「白井さんの演出が、初演以上に4回転ひねり、5回転ひねりとなっていて・・・伝わります(笑)?さらにパワーアップしています。最高の脚本、最高の演出、最高の音楽、そして最高のキャストで、劇場を沸かせたいと思っています」とコメント。
再演の大きな変化として、このモーティシアがWキャストとなっている。真琴と共に、本役に新たに挑むのは壮。初参加することについて、壮は「(元宝塚歌劇団の)尊敬する大先輩である真琴さんと同じ役ということで、かなりプレッシャーや葛藤もあったんですが、初演の皆様の熱量に負けないように、丁寧に稽古をしてまいりました。初参加ということを感じさせないぐらい、私も負けないエネルギーを持って、初日からぶっ飛ばしていきたいと思います」と意気込んだ。
妻役が二人になったことについて、橋本は「どっちを見てもモーティシアって、すごい不思議な現象なんですよ!稽古でも、後ろ姿だとどっちがどっちか、分からなかったり。初演の時はずっと真琴さんとやっていたので、真琴さんのモーティシアから僕のゴメスが生まれたような気がしていたんです。壮さんには、答えありきではない、すべて自分のものにしてしまうようなエネルギーを感じていまして、また新たなゴメスを引き出していただきました。もう、最高ですよね!」と満面の笑み。その上で「・・・プライベートで、二人も奥さんを持つなんて絶対ダメじゃないですか。役者でよかった~って思いますね(笑)」とおどけて見せた。
それぞれのモーティシアについて、真琴は「先日、白井さんから『今日は何かやけに色っぽかったね』と言われたんです。今回のテーマに“妖艶”を掲げていたので、ちょいと近づけたのかなと」と変化を挙げた。橋本がそれを「素晴らしい!」と讃えると、真琴からは思わず「へいっ!」と気風の良い返事が。「・・・それは色気ないね(笑)!」という橋本のツッコミに、真琴は笑いが止まらない事態に。
一方、壮は「お稽古中にさとしさんが『(二人は)お互い全然アプローチが違うのに、一周回って同じところに着地するんだね』って言ってくださったんです。モーティシアの人となりに、自分も少しでも近づけていたのなら、こんな嬉しいことはないです。さらに磨きをかけて、さとしさんを愛し、家族の皆さんも愛し、モーティシアとして生きることができたら・・・」と取り組みを明かす。すると、今度は「ゴメスじゃなくて、さとしって言ってくれるんだね」とツッコむ橋本。「すいません、ゴメスです!さとしさん愛したらおかしなことになっちゃう(笑)」と、壮も笑いが止まらなくなっていた。
そして、真琴がもう一つの見どころとして挙げたのが、ゴメスとモーティシアの“キスシーン”。これは初演にはなかったシーンだが「壮さんの、舞台上での初キスシーンです!女優デビューです!!」とアピールする真琴。それに対し「事務所の先輩に女優にしてもらいました・・・(笑)」としきりに照れ笑いを浮かべる壮だった。
続いて、アダムス家の長女・ウェンズデー役の昆は「自分が出演しているので、客席からは絶対に見ることができないんですけど・・・どのシーンも見てみたいんです」と作品への思いを語り、そのボーイフレンド・ルーカス役として臨む村井は「初演からの皆さんの、本番を踏んでいる百戦錬磨感を感じてきまして。とにかく食らいつこうと、ルーカスとしても、ちょっと変わった家族に食らいつくエネルギーが大事だなと思ってやってきました」と稽古を振り返った。
また昆は、新キャストとなった村井について「ふにゃ~っとした笑顔がルーカスにぴったりだなと思います」と言い、それに対し、村井はさっそく「ありがとうございます、これからもがんばってふにゃっとします(笑)」と笑顔を見せていた。
最後に、橋本は「綿密に作り直し、ニューメンバーも加わりまして『これ、最高のミュージカルなんじゃないですかね?』という手応えを感じています。カンパニーとよく言いますが、この作品に関しては“ファミリー”。そのファミリー感で、観に来たお客様にも“アダムスファミリーの一員になった!”という気持ちになってもらえると思います」と締めくくった。
このほか、初演からはフェスター叔父さん役の今井清隆、執事ラーチ役の澤魁士が続投。新キャストとして、高校一年生の女の子ながら弟パグズリー役にオーディションで抜擢された庄司ゆらの、いたずら好きのグランマ役に梅沢昌代、「バイネッケファミリー」としてルーカスの母アリス役に樹里咲穂、父マル役に戸井勝海が加わっている。
公開されたフォトコールでは、オープニングの墓場で歌われる「我らアダムス」、ウェンズデーの味方となり秘密を作ったゴメスに激怒しながらもモーティシアが明るく歌い上げる「死は近くにいる」、より一層恋の炎を燃やすウェンズデーとルーカスと共に情熱を思い出すアリスとマルによる「狂ってる」、家出をしようとするモーティシアにゴメスが思い出を語る「死ぬまで生きよう」の4曲が披露された。
登場人物は風変わりな人ばかりだが、ブラックユーモアに溢れ、ゴシックテイストたっぷりな物語は、エンターテインメント性たっぷりで心が躍る。ぜひ、「アダムスファミリー」の一員になりに劇場へ!
パルコ・プロデュース ブロードウェイ・ミュージカル『アダムス・ファミリー』は、10月28日(土)から11月12日(日)まで神奈川・KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>にて上演。その後、大阪、富山を巡演する。日程の詳細は以下のとおり。
【神奈川公演】10月28日(土)~11月12日(日) KAAT 神奈川芸術劇場<ホール>
【大阪公演】11月18日(土)~11月19日(日) 豊中市立文化芸術センター・大ホール
【富山公演】11月24日(金)~11月25日(土) オーバード・ホール
なお、神奈川公演の10月29日(日)、10月31日(火)、11月1日(水)の3日間、特別な「トリック オア トリート・カーテンコール」、仮装して観劇OKな「仮装DAY」、抽選で50組が参加できる「舞台上での撮影会」といったハロウィン特別企画が実施される。
仮装については、「初演の時も、客席にモーティシアやウェンズデーがいたんですよ。ぜひ、ゴメスもしてもらいたいですね」(橋本)、「フェスターいないかしら?」(真琴)、「学生服で金髪になればルーカスになれます」(村井)と、キャストも皆楽しみにしている様子。ぜひ、ふるってご参加を!
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)